- バロンドールの結果に「おかしい」と感じたのは自分だけ?
- 過去にどの年の受賞が物議を醸したの?
- そもそも誰がどんな基準で選んでいるの?
バロンドールの結果が「おかしい」と言われるのは、毎年のことです。原因は特定の選手ではなく、賞の仕組みそのものにあります。評価の基準があいまいで、年によって重視されるものが変わるからです。この記事では、実際に大きな議論になった6つの年を得票データつきで振り返り、「おかしい」と感じる理由を5つに整理します。
バロンドールが「おかしい」と言われた年の一覧
まずは、結果が大きな議論を呼んだ年を一覧で確認しましょう。受賞者が悪いという話ではありません。どの年も「別の選手が取るべきだった」という声が強く上がった年です。
| 年 | 受賞者 | 議論になった点 |
|---|---|---|
| 2010年 | メッシ | 3冠とW杯準優勝のスナイデルが4位。記者の票だけならスナイデルが1位だった |
| 2013年 | C・ロナウド | 投票の締め切りが史上初めて延長された。3冠のリベリーは3位 |
| 2020年 | 該当者なし | コロナ禍を理由に中止。大本命だったレヴァンドフスキが受賞を逃した |
| 2021年 | メッシ | 年間を通じて得点を量産したレヴァンドフスキが33点差の2位 |
| 2024年 | ロドリ | 本命視されたヴィニシウスが41点差の2位。レアル・マドリードが授賞式を欠席 |
| 2025年 | デンベレ | 18歳のヤマルが2位。ヤマルの父親が選考に疑問を示した |
こうして並べると、議論の中身は毎回ちがうことが分かります。タイトルを取った選手が落ちた年もあれば、タイトルが決め手になった年もあります。この一貫性のなさが、「おかしい」と感じる一番の原因です。
理由1:評価の基準があいまいで、人によって解釈が変わる
バロンドールの評価基準は、次の3つです。
- 個人のパフォーマンス(決定的で印象に残る活躍だったか)
- チームの成績とタイトル
- 品格とフェアプレー
問題は、この3つをどの割合で見るかが決まっていないことです。ゴール数のような明確な物差しはありません。投票する記者が、それぞれの感覚で順位をつけます。
2024年:ヴィニシウスではなくロドリが受賞
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基準のあいまいさが表に出たのが2024年でした。レアル・マドリードでCLとスペインリーグを制したヴィニシウス・ジュニオールが、大本命と見られていました。ところが受賞したのは、マンチェスター・シティのMFロドリです。得票はロドリ1170点、ヴィニシウス1129点。差はわずか41点でした。
ロドリはプレミアリーグ4連覇に加え、スペイン代表でEURO2024を制して大会MVPにも選ばれています。実績としては十分でした。それでも、得点に直接からむ派手な選手ではないため、納得できないファンが多く出ました。レアル・マドリードは結果を事前に知り、クラブ全体で授賞式を欠席しています。
一方で、「目立たない中盤の選手がようやく正当に評価された」と歓迎する声もありました。同じ結果を見て、正反対の感想が出る。これがバロンドールという賞の性格です。
理由2:年によって重視されるものが変わる
「チームのタイトルが大事」と言われる年もあれば、タイトルが無視されたように見える年もあります。代表的なのが2010年です。
2010年:3冠とW杯準優勝のスナイデルが4位
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2010年のヴェスレイ・スナイデルは、インテルでCL・リーグ・カップの3冠を達成しました。さらにオランダ代表としてW杯で準優勝し、大会5得点を挙げています。チームの実績では、この年の誰よりも上でした。
しかし結果は、メッシが得票率22.65%で受賞。2位イニエスタ、3位シャビとバルセロナ勢が上位を独占し、スナイデルは14.48%で4位に終わりました。メッシ自身は、この年のW杯で無得点のままベスト8で敗退しています。
この年は、バロンドールがFIFAの賞と統合された最初の年でした。それまでの記者投票に、各国代表の監督と主将の票が加わっています。記者の票だけを集計するとスナイデルが1位、メッシは4位だったと報じられています。投票する人が変わっただけで、受賞者が入れ替わったことになります。
理由3:攻撃の選手ばかりが選ばれる
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バロンドールは、得点にからむ選手が圧倒的に有利な賞です。DFの受賞は、2006年のファビオ・カンナヴァーロが最後になっています。GKにいたっては、1963年のレフ・ヤシンが史上ただ一人の受賞者です。
守備の選手の活躍は、ゴールやアシストのような数字に残りません。世界中の記者が全試合を見ているわけではないので、ハイライト映像に映る選手に票が集まりやすくなります。2019年には、リヴァプールでCLを制したDFファン・ダイクが、メッシにわずか7点差で敗れました。「守備の選手はどこまでやれば取れるのか」という疑問は、いまも解決していません。
理由4:投票の仕組みが人気投票になりやすい
バロンドールを選ぶのは、世界各国の記者です。現在は、FIFAランキング上位100か国から1人ずつ、合計100人が投票します。各記者が10人を選んで順位をつけ、1位に15点、2位に12点という形で点数が入ります。
ただし、2010年から2015年の「FIFAバロンドール」の時代は仕組みが違いました。記者に加えて、各国代表の監督と主将も投票していたのです。自分のチームメイトや同じ国の選手に入れる例が目立ち、「ただの人気投票だ」という批判が強まりました。
2013年:投票の締め切りが延長された
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この時代でもっとも物議を醸したのが2013年です。FIFAは「有効な票が十分に集まらなかった」として、投票の締め切りを11月15日から29日に延ばしました。締め切りの延長は史上初めてのことです。
当初の締め切りの4日後、クリスティアーノ・ロナウドはW杯予選プレーオフのスウェーデン戦でハットトリックを決めました。延長によって、この活躍を見たあとでも投票できるようになったのです。最終結果はロナウドが27.99%で受賞、メッシが24.72%、リベリーが23.36%でした。リベリーはバイエルンで3冠を達成しており、本命と見られていました。のちに本人が「不公平だった」と繰り返し語っています。
理由5:2020年の中止で、取るはずだった選手が取れなかった
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2020年のバロンドールは、新型コロナウイルスの影響を理由に中止されました。賞が始まった1956年以来、初めてのことです。
この年の大本命は、バイエルンのロベルト・レヴァンドフスキでした。CL・リーグ・カップの3冠を達成し、3つの大会すべてで得点王になっています。シーズンは最後まで行われたのに、なぜ賞だけ中止なのか。多くのファンが疑問を持ちました。
翌2021年、レヴァンドフスキはブンデスリーガの年間最多得点記録を更新する41ゴールを挙げます。それでも結果は、メッシ613点、レヴァンドフスキ580点。33点差の2位でした。メッシはこの年、アルゼンチン代表でコパ・アメリカを制しています。受賞スピーチでメッシ自身が「2020年の賞は君が受け取るべきだ」とレヴァンドフスキに語りかけたことは、この2年間の結果がいかに異例だったかを物語っています。
2022年のルール変更で何が変わったのか
批判を受けて、主催のフランス・フットボール誌は2022年に選考ルールを見直しました。主な変更は次のとおりです。
- 対象期間:1月から12月の暦年ではなく、8月から翌年7月のシーズン単位に変更
- 評価の順番:個人のパフォーマンスを最優先にすると明記
- 過去の実績:選手のキャリア全体は評価に入れない(その1シーズンだけで判断する)
- 投票者:FIFAランキング上位100か国の記者に限定
「名前で選ばれている」という批判に応えた変更でした。それでも、2024年と2025年に続けて議論が起きています。ルールを整えても、最後は100人の記者の感覚で決まるという根本は変わっていないからです。
2025年:デンベレ受賞とヤマル陣営の不満
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2025年は、パリ・サンジェルマンをクラブ史上初のCL優勝に導いたウスマン・デンベレが1380点で受賞しました。2位は、バルセロナでスペイン国内のタイトルを総なめにした18歳のラミン・ヤマルで、1059点でした。
321点という差は、近年では大きいほうです。それでもヤマルの父親は、スペインの番組で「何か奇妙なことが起きた」と選考に疑問を示しました。CL優勝というチームの成果を取るか、個人のプレーの衝撃を取るか。ここでも、基準のあいまいさが議論の火種になっています。
2026年のバロンドールも議論になりそうな理由
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2026年の候補30人は、2026年9月8日に発表されました。授賞式は10月26日にロンドンで行われます。
2026年はW杯があった年です。優勝したのはスペインで、ヤマルもそのメンバーでした。一方、クラブではパリ・サンジェルマンがCLを連覇し、前回受賞者のデンベレをはじめ多くの選手が候補に入っています。バイエルンのハリー・ケインやレアル・マドリードのキリアン・エムバペは、個人の得点数で圧倒的な数字を残しました。
W杯、CL、個人の数字。それぞれの「1位」が別の選手に分かれています。誰が受賞しても、「おかしい」という声はまた上がるはずです。
データで見る:クリスティアーノ・ロナウドとメッシは日本でどれくらい注目されている?
フットボール戦士では、クリスティアーノ・ロナウドの日本語版Wikipediaの閲覧数を毎日集計しています。2015年7月以降で最も見られたのは2018年6月20日で、1日に87,376回でした(2026年9月時点)。下のカードの数字は毎日自動で更新されます。
フットボール戦士が毎日集計している「サッカー選手 日本での注目度ランキング」のデータです(日本語版Wikipediaの閲覧数)。
フットボール戦士では、メッシの日本語版Wikipediaの閲覧数を毎日集計しています。2015年7月以降で最も見られたのは2022年12月18日で、1日に177,640回でした(2026年9月時点)。下のカードの数字は毎日自動で更新されます。
フットボール戦士が毎日集計している「サッカー選手 日本での注目度ランキング」のデータです(日本語版Wikipediaの閲覧数)。
よくある質問
A. FIFAランキング上位100か国から1人ずつ選ばれた、合計100人の記者が投票で決めます。主催はフランス・フットボール誌で、2024年からはUEFA(欧州サッカー連盟)が授賞式を共催しています。
A. 個人のパフォーマンス、チームの成績とタイトル、品格とフェアプレーの3つです。2022年からは、個人のパフォーマンスを最優先にすると明記されました。ただし配点の割合は決まっておらず、最終的には各記者の判断に任されています。
A. 新型コロナウイルスの影響でシーズンが中断・短縮され、公平な選考ができないと主催者が判断したためです。3冠を達成したレヴァンドフスキが受賞を逃したことで、いまも批判の多い決定になっています。
A. 本命と見られていたヴィニシウス・ジュニオールが受賞しないことを、式の直前に知ったためと報じられています。クラブは選考に敬意が欠けているとして、関係者全員の出席を取りやめました。受賞したのはロドリで、差は41点でした。
A. あります。ただし数はごくわずかです。DFでは2006年のカンナヴァーロが最後で、GKは1963年のヤシンが史上ただ一人です。
まとめ:バロンドールは「正解のない賞」として楽しむのがちょうどいい
- バロンドールが「おかしい」と言われるのは、評価基準の割合が決まっておらず、年によって重視されるものが変わるから
- 2010年は3冠のスナイデルが4位、2024年は41点差でヴィニシウスが2位と、逆方向の議論が起きている
- 攻撃の選手が有利で、DFは2006年、GKは1963年を最後に受賞者が出ていない
- 2013年の締め切り延長や2020年の中止など、運営の判断そのものが批判された年もある
- 2022年にルールは見直されたが、最後は100人の記者の感覚で決まる点は変わっていない
チームスポーツで「世界一の個人」を1人だけ選ぶこと自体、もともと無理のある試みです。だからこそ、毎年これだけ議論が盛り上がります。結果に納得できない年は、「自分ならどう順位をつけるか」を考えてみるのも、バロンドールの楽しみ方の一つです。
※この記事の情報は2026年9月22日時点のものです。得票数と得票率は、フランス・フットボール誌およびFIFAの各年の発表にもとづきます。
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