- FIFAランキングは当てにならない?意味ないって本当?
- Eloレーティングとは何が違う?もっと正確なランキングはある?
- アメリカはなぜ高い?イタリアはW杯に出られないのになぜ上位?
FIFAランキングは、上位の国の並びについてはおおむね当てになります。2018年8月から、試合ごとに点を足し引きする「Elo(イロ)方式」に変わったからです。
フットボール戦士は、すべての国際Aマッチの結果からElo方式で計算した独自の「フットボール戦士レーティング」を作っています。2026年10月の順位を比べると、FIFAの上位20か国のうち18か国は、独自の順位でも20位以内でした。2026年のW杯でも、「順位が上のチームが勝った割合」はほとんど同じでした。
ただし、FIFAランキングはホームで戦ったかどうかや得点差を数えません。そのため、アメリカのようにホームの試合が多い国は高めに出ることがあります。この記事では、FIFAランキングが「おかしい」と言われる理由と、どこまで信じてよいかを数字で確かめます。
FIFAランキングは当てにならない?上位20か国中18か国は独自の順位と一致
FIFAランキングの2026年10月7日発表の上位20か国を、フットボール戦士レーティングの順位と並べたのが上の図です。1位スペイン・2位アルゼンチン・5位ポルトガル・6位ブラジルなどは、どちらでも同じ順位でした。
上位20か国のうち18か国は、フットボール戦士レーティングでも20位以内です。順位のずれは平均2.7位で、20か国中17か国は5位以内のずれに収まりました。上位50か国まで広げても、45か国が両方で50位以内に入っています。
| 比べたこと | 結果 |
|---|---|
| 上位10か国の重なり | 10か国中8か国 |
| 上位20か国の重なり | 20か国中18か国 |
| 上位50か国の重なり | 50か国中45か国 |
| FIFA上位20か国の順位のずれ | 平均2.7位 |
| 211チーム全体の順位のずれ | 平均10.3位(真ん中の値は7位) |
※FIFAランキングは2026年10月7日発表。フットボール戦士レーティングは2026年10月6日までの国際Aマッチ49,941試合から計算した独自の指標で、FIFAランキングとは計算方法が違います。
大きくずれたのは、FIFAのほうが高いアメリカ(FIFA16位・独自24位)、セネガル(18位・25位)、メキシコ(10位・16位)と、FIFAのほうが低い日本(17位・12位)やエクアドル(24位・17位)などです。「当てにならない」と感じる場面の多くは、こうした数か国のずれから来ています。
日本はFIFAでは17位ですが、Elo方式のレーティングではもう少し上に出ます。フットボール戦士レーティングでは12位、世界で広く使われているWorld Football Elo Ratings(eloratings.net・2026年10月28日に確認)では13位でした。
W杯2026で試すと、FIFAランキング上位の勝ちは80試合中68試合
ランキングが当てになるかは、「順位が上のチームが本当に勝つか」で確かめられます。そこで、2026年のW杯(104試合)で、大会前の順位が上だったチームが勝ったかを数えました。
引き分けとPK戦の24試合を除く80試合のうち、FIFAランキング(2026年6月11日発表)が上のチームが勝ったのは68試合(85.0%)でした。フットボール戦士レーティングが上のチームの勝ちは69試合(86.2%)で、差は1試合だけです。
2つのランキングで本命が食い違ったのは9試合でした。FIFAの本命が勝ったのは4試合、フットボール戦士レーティングの本命が勝ったのは5試合です。たとえば決勝のスペイン対アルゼンチン(延長の末1-0でスペインの勝ち)は、FIFAではアルゼンチン、独自のレーティングではスペインが上でした。逆に、ホームで戦ったアメリカのパラグアイ戦・オーストラリア戦は、FIFAの本命どおりアメリカが勝っています。
1つの大会だけなので、どちらが正確かまでは言い切れません。ただ、「FIFAランキングは意味ない」と言えるほど外れていないことは、この数字から分かります。
FIFAランキングとEloレーティングの違いは「ホーム」と「得点差」
今のFIFAランキングもElo方式なので、考え方の土台は同じです。試合の前に「勝つ見込み」を出し、それを上回る結果なら点が増え、下回れば減ります。強い相手に勝つほど大きく増え、格下に負けるほど大きく減ります。
違いは、何を数えるかです。FIFAは、ホームとアウェーを区別しません。また、1-0でも5-0でも同じ「勝ち」として扱います。World Football Eloやフットボール戦士レーティングは、ホームのチームを100点強いものとして「勝つ見込み」を計算し、大差の勝ちほど点が大きく動くようにしています。
もう1つの違いは試合の重みです。FIFAでは、国際Aマッチの期間外の親善試合は5、W杯の準々決勝以降は60と、重みの差が12倍あります。さらに、W杯や大陸選手権の決勝トーナメントで負けても、FIFAの点は減りません。
2022年に発表された研究(Journal of Sports Analytics)は、2018年からの方式を「それまでより明らかに良くなった」と評価しました。そのうえで、ホームの有利を入れ、試合の重みをなくせば、試合の予想がもっと当たるようになると指摘しています。
アメリカはなぜFIFAランキングが高い?2年間の35試合中33試合がホーム
2026年10月のFIFAランキングで、アメリカは16位です。一方、フットボール戦士レーティングでは24位、World Football Elo Ratingsでは25位でした。Elo方式の2つのランキングより、FIFAのほうが8〜9位高く出ています。
理由として大きいのは、試合の場所です。2024年10月7日から2026年10月6日までのアメリカの国際Aマッチ35試合のうち、33試合がアメリカ国内のホームでした。W杯2026の開催国として予選がなく、親善試合の多くを国内で組んだうえ、本大会の5試合も国内で戦っています。
ホームの試合は勝ちやすいので、Elo方式のレーティングはホームの勝ちを少し割り引いて数えます。FIFAランキングはこの割り引きをしないため、ホームで勝ちを重ねたアメリカの点が高めに残ります。同じ開催国でも、ホームの試合が半分ほどのカナダ(FIFA27位・独自29位)は、ずれが2位だけでした。
アメリカはW杯2026でグループリーグを2勝1敗で突破し、ラウンド32でボスニア・ヘルツェゴビナに勝ちました。ラウンド16ではベルギーに1-4で敗れています。FIFAでは本大会の決勝トーナメントで負けても点が減らないため、この敗戦で点は減らず、2026年7月20日発表では17位から16位に上がりました。
イタリアはなぜW杯に出られないのにFIFAランキング15位?
イタリアは2026年3月31日、W杯欧州予選のプレーオフ決勝でボスニア・ヘルツェゴビナに1-1からのPK戦で敗れ、3大会続けてW杯に出られませんでした。それでも、2026年10月のFIFAランキングは15位です。
これは、FIFAランキングが「W杯に出たか」ではなく、1試合ずつの結果で決まるからです。FIFAの計算では、PK戦の負けは引き分けと同じ扱いになります。予選の一発勝負で敗れても、点は大きくは減りません。その後の2026年9〜10月のネーションズリーグでも、ベルギーには敗れたものの、トルコに2勝し、フランスと引き分けています。
FIFAランキングだけが甘いわけではありません。フットボール戦士レーティングでもイタリアは14位で、FIFAとほぼ同じ位置です。2つの物差しが「W杯に出ていないが、世界の15位前後の力はある」とそろって示していることになります。
前回の予選で敗退した後の2022年10月にも、イタリアはネーションズリーグの好成績で、FIFAランキングを6位まで上げたと報じられました。W杯の出場は予選の短期決戦で決まるので、ランキング上位の国が出られないこともあります。
FIFAランキングが「おかしい」と言われた例:2018年までの旧方式
| 時期 | 起きたこと |
|---|---|
| 1993年10月 | ノルウェーが2位(1995年7〜8月にも2位) |
| 2006年 | アメリカが4位。選手自身も驚いた |
| 2008年11月 | イスラエルが15位まで上昇 |
| 2014年W杯の前 | 開催国ブラジルが22位まで下がる(本大会は4位) |
| 2015年11月 | ベルギーが初の1位 |
| 2018年W杯 | 開催国ロシアが出場国で最も低い70位(本大会はベスト8) |
※英語版Wikipedia「FIFA Men’s World Ranking」の記述をもとに作成。
「FIFAランキングはおかしい」という声が特に多かったのは、2018年までの旧方式の時代です。旧方式は、過去4年間の試合の点を平均するような仕組みでした。そのため、格下との親善試合に勝っても平均が下がり、順位が落ちることがありました。
この仕組みを逆手に取り、W杯予選の組分けの前に親善試合を減らす国も出ました。ルーマニアはランキングの専門家を雇い、2014年W杯でシードされたスイスも、前の1年の親善試合は3試合だけだったとされています。予選に出ない開催国が、親善試合ばかりで順位を下げるのも旧方式の弱点でした。
2009年に8つの方法を比べた研究では、Elo方式の予想がいちばん当たり、当時のFIFAランキングの方式は成績が悪かったとされています。大陸ごとの強さの係数も、2018年に廃止されました。今のFIFAランキングを「おかしい」と感じたときは、古い時代の印象が残っていないかも気にしてみてください。
FIFAランキングより正確なランキングはある?目的で使い分ける
| 知りたいこと | 見るもの |
|---|---|
| W杯の組分け(ポット)やシード | FIFAランキング(公式に使われる) |
| 試合の勝ちやすさ・今の実力の目安 | Elo方式のレーティング(World Football Elo Ratings・フットボール戦士レーティング) |
| 日本代表の長い期間の強さの移り変わり | 1992年より前もさかのぼれるElo方式のレーティング |
FIFAランキングは、どれだけ信用されているかとは別に、大会の組分けに使われる公式の順位です。W杯2026の組み合わせ抽選では、2025年11月19日発表のFIFAランキングでポットが分けられ、18位だった日本はポット2に入りました。この意味で「意味ない」ことはありません。
「FIFAランキングより正確なランキング」を探しているなら、Elo方式のレーティングが候補になります。代表的なのは、1997年から公開されているWorld Football Elo Ratings(eloratings.net)です。ホームの有利と得点差を数えるのが特徴です。
フットボール戦士レーティングも同じ考え方の独自の指標で、毎日更新しています。ただし初期値や細かい重みが違うので、eloratings.netの数字とは一致しません。どの物差しも「過去の結果」から計算しているので、けが人や監督交代のような最新の事情までは入らない点は共通です。
よくある質問
A. 2026年のW杯では、順位が上のチームが勝った割合はFIFAランキングが85.0%、フットボール戦士レーティングが86.2%で、ほぼ同じでした。1大会だけでは優劣を言い切れませんが、ホームの試合が多い国はElo方式のほうが実態に近いことがあります。
A. 2026年10月7日発表のFIFAランキングでは17位です。Elo方式では、フットボール戦士レーティングが12位、World Football Elo Ratingsが13位(2026年10月28日に確認)と、もう少し上に出ています。
A. 2018年までの旧方式では、親善試合で勝っても順位が下がるなどの問題がありました。今の方式でも、ホームの有利や得点差を数えないため、アメリカのようにホームの試合が多い国は高めに出ることがあります。
A. FIFAランキングは1試合ずつの結果で決まり、PK戦の負けは引き分けと同じ扱いだからです。独自のレーティングでもイタリアは14位で、W杯に出られなくても世界の15位前後の力はあると見られます。
A. 次回は2026年11月18日の予定です。11月の国際Aマッチの結果が反映されます。
まとめ:FIFAランキングは大まかには当てになるが、数か国はずれる
- FIFAランキングは2018年8月からElo方式。上位20か国のうち18か国が、独自のElo方式の順位でも20位以内
- W杯2026で順位が上のチームが勝った割合は、FIFAランキング85.0%、独自のレーティング86.2%でほぼ同じ
- FIFAはホームの有利と得点差を数えない。決勝トーナメントの負けでは点が減らない
- アメリカが高いのは、2年間の35試合中33試合がホームだったことが大きい
- イタリアはW杯に3大会続けて出られないが、PK戦の負けは引き分け扱いで、独自のレーティングでも14位
FIFAランキングは「意味ない」ものではなく、W杯の組分けにも使われる公式の順位です。ただ、試合の勝ちやすさを知りたいときは、Elo方式のレーティングも並べて見ると、ずれている国に気づきやすくなります。
※この記事の情報は2026年10月28日時点のものです。FIFAランキングは2026年10月7日発表、フットボール戦士レーティングは2026年10月6日までの試合で計算したもので、試合や更新によって変わります。
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