サッカーワールドカップ日本開催の可能性は最短でも2046年?招致レースの現状

FIFAワールドカップの日本開催の可能性について、最新の状況と背景を踏まえて詳しく解説します。

2002年の日韓W杯から約20年が経ち、日本が再びサッカーの祭典を開催する日は来るのでしょうか。他国との招致レース、FIFAの開催要件、日本サッカー協会(JFA)や政府の姿勢、経済・観光への影響、そして実現に向けた課題まで、あらゆる視点からワールドカップ日本開催の可能性を探ってみます。

FIFAワールドカップ招致レースにおける日本の現状

日本が今後W杯を開催するためには、国際的な招致レースを勝ち抜く必要があります。そこで、現時点での他国の動向や大会開催権のスケジュールを整理してみます。

2026年アメリカ・カナダ・メキシコ
2030年スペイン・ポルトガル・モロッコ・ウルグアイ・アルゼンチン・パラグアイ
2034年サウジアラビア(暫定)
2038年欧州や北中米?
2042年過去2大会を開催していない大陸

直近では、2026年大会の開催国は北中米3か国(アメリカ・カナダ・メキシコ)の共同開催に決定しています。

次の2030年大会については特殊なケースで、FIFAは複数大陸にまたがる開催を前提に動いています。現状ではスペイン・ポルトガル・モロッコの三か国共催案が有力視されており、さらに大会100周年を記念してウルグアイ・アルゼンチン・パラグアイの南米3か国でも開幕戦など一部試合を行う構想が調整されています​。つまり2030年はヨーロッパ(欧州)とアフリカが主催し、南米も象徴的に関わるという異例の多大陸開催となる見込みです​。

その次の2034年大会は、FIFAが「2034年大会はアジア(AFC)もしくはオセアニア(OFC)の国に開催させる」と方針を示しました​。これを受けて有力視されているのがサウジアラビアで、同国は2034年大会の単独開催に正式立候補しています​。

実はオーストラリアとインドネシアも当初は共同開催での立候補を模索しましたが、インドネシアが招致から撤退しAFC内の調整で一本化が図られた結果、最終的にサウジアラビアがアジアから唯一の立候補国となりました​。

日本を含むAFC加盟各国も「アジアの結束」としてサウジ支持に回ることで一致しており、日本サッカー協会の田嶋幸三会長も2034年大会はサウジを支持する立場を公式に表明しています​。

この経緯から、事実上2034年W杯開催国はサウジアラビアに決まったも同然という情勢です。

以上のように、2030年と2034年については日本が開催する可能性はほぼなくなりました。ではその先はどうでしょうか。

2030年が欧州・アフリカ、2034年がアジア(サウジ)となると、2038年大会は再び欧州や南北米からの開催が有力視され、日本が所属するアジアに順番が回ってくるのは早くても2042年以降と見られます。

FIFAは開催地決定に際し大陸間ローテーションの原則を持っています。正式には「過去2大会を開催していない大陸連盟からしか立候補できない」というガイドラインがあり​、これを適用するとアジアは2034年大会を開催した後、2038年・2042年大会には立候補できない可能性があります。

そのため、日本が次にW杯開催を狙えるのは早くても2046年大会になるとの見方もあります。この点については将来的にFIFAの方針変更もあり得るため断言はできませんが、少なくとも2030年代前半での日本開催は現実的ではない状況です。

さらに競合国の存在も考慮しなければなりません。

アジアで日本が再び開催を目指す頃には、有力なライバルとして中国の存在が挙がるでしょう。中国はこれまでW杯を開催したことがなく、政府主導でサッカー強化と大会招致に意欲的とされます。

実際、2030年や2034年の招致でも中国の立候補が噂されました(結果的に立候補は見送りましたが、いずれ本格参戦してくる可能性は高いです)。中国は巨大市場で商業的な魅力も大きく、FIFAにとっても「次のフロンティア」と目される存在です。

したがって、日本が将来W杯招致に乗り出す際には中国との争いになるシナリオが十分考えられます。またアジア以外にも、仮に日本が単独ではなく多国間で共催を検討する場合、韓国との再共催や、場合によってはオセアニアのオーストラリア・ニュージーランドとのタッグなどもシナリオとして考えられます。

オーストラリアはかつてOFC(オセアニア)所属でしたが現在はAFC所属であり、AFC内で共催するなら地域的距離の問題はあるものの協力も不可能ではありません。

実際、今回サウジ支持に回ったオーストラリアは今後2038年以降の開催を改めて目指すとも言われています。

このように、日本が再びW杯を開催するには強力なライバル国との招致合戦を勝ち抜く必要があるのが現実です。票集めやロビー活動も含め、開催国に選ばれるためのハードルは決して低くありません。

FIFAワールドカップ日本開催に対する日本サッカー協会(JFA)と政府の姿勢

日本サッカー協会(JFA)および日本政府がW杯招致・開催に対してどのような姿勢をとっているのかも重要なポイントです。まずJFAのスタンスですが、実は「2050年までに自国でワールドカップを開催する」という長期目標を掲げています​。

JFAは2005年に「JFA2005年宣言」として将来ビジョンを発表しており、その中で「2050年までにW杯を日本で開催し、日本代表が優勝する」という大胆な目標を打ち立てました​。

この目標はかなり先を見据えたものですが、協会としていずれ必ず日本開催を実現させる意志があることを示しています。

田嶋幸三会長(当時)は、直近の2030年・2034年大会については前述のように断念する決断を下しました。特に2034年大会に関しては、FIFAが提示した準備期間があまりにも短かったことから「2か月で政府と自治体の決議をまとめ立候補表明するのは日本ではとても不可能」と述べ、招致見送りを表明しています​。

48か国大会への拡大で求められるスタジアム基準(8万人級含む大規模スタジアムの整備、全会場への屋根設置など)のハードルもあり、現実的に2023年時点で準備を始めても間に合わないと判断したためです​。

この決断は苦渋ではありましたが、JFA内では「今回は身を引いて将来に備える」戦略に舵を切ったといえます​。

その「将来に備える」一環として、JFAはアジア内での結束と支持獲得に動いています。2034年大会でサウジアラビア支持に回ったのも、その後の日本開催実現への布石とされています。田嶋会長は「今回サウジのサポートに回ることで、それ(W杯開催)を狙う近道になると判断した」と述べており​、アジア全体の団結に貢献することで将来日本が開催に手を挙げた際に恩返しを得られるとの見解です。

実際、サウジなど他のAFC加盟国からも「日本は2030年代の招致には加わらなかったが、将来ぜひ開催を」という声が出ており、水面下で日本待望論が高まる可能性もあります。

一方、日本政府の姿勢も極めて重要です。政府はこれまでW杯招致に対し概ね前向きで、全面的な支援を行ってきました。前述のように2002年大会は政府と開催自治体が協力して新スタジアム建設や大会運営資金の拠出を行い成功に導きました。

2009年12月の閣議了解では、「政府としても招致活動をサポートする」と明記され、自治体や企業への働きかけも含めたオールジャパン体制がとられました​。

政府高官から「W杯は世界最大のイベントで是非日本に呼びたい」との発言も出るなど​、政治レベルでの意欲もうかがえます。したがって、日本が招致に動き出す際には再び政府の強力な後押しが得られる可能性が高いでしょう。

まとめると、JFAは長期目標として日本開催を諦めておらず、適切なタイミングで再チャレンジする構えです。政府も基本的には協力的であり、国内調整さえ整えば強力な支援が期待できます。今後は「いつ立候補するか」「単独か共催か」「どの大会をターゲットにするか」など戦略を練りつつ、関係者間の合意形成を進めていく段階と言えます。

FIFAワールドカップ日本開催実現への8つの課題

①スタジアムの新増設と老朽化問題

最大の課題はやはりインフラ整備です。

現状、日本には要求水準を満たす8万人級スタジアムがなく、新設には莫大な費用(数千億円規模)と用地確保が必要です。仮に国立競技場を増築するにしても構造上困難で、新たな「サッカーの聖地」を作る覚悟が求められます。

また2002年以前に建設されたスタジアムは2040年代には老朽化が進み、大規模改修か建て替えが必要になるかもしれません。費用面・工期面でこれらをどうクリアするか、現実的なプラン策定が急務です。

②大会開催に伴う財政負担

W杯開催は基本的に黒字になる可能性が高いとはいえ、開催までの投資コストは開催国側がかなり負担します。

スタジアム建設費、交通インフラ整備費、治安対策費などで国や自治体の支出が増え、国民負担につながります。五輪などでは費用超過が問題化しただけに、予算管理の徹底と国民合意の形成が不可欠です。

政府保証で赤字補填も約束しなければならないため、最後は国民の理解が必要になります。

③「レガシー」の計画

新設する施設を大会後どう活用するかというレガシー計画も課題です。

8万人規模の競技場をW杯後にどのように使い続けるのか(日本の国内大会で満員にできる機会は限られる)、維持費をどう捻出するのか検討が必要です。

例えばコンサート会場として多目的利用する、陸上トラックを付けて国際大会を誘致する、Jリーグ複数クラブの共同本拠地にする等のアイデアが考えられます。長期的視点で投資回収できる計画でなければ、開催そのものへの反対論も出かねません。

④国民・世論の支持維持

招致決定時と開催時で数年~十数年の開きがある中、その間に世論の支持を維持する努力も必要です。

政権交代や経済状況の悪化などで国民感情が変わることもあります。「本当にやるべきか」という議論が生じた際に、しっかりコミュニケーションを取って賛同を得ることが重要です。

オリンピック招致では招致段階は熱狂しても、開催前になると不安や批判が出る例もあるため、大会の意義を共有し続ける工夫が求められます。

⑤国際招致レースの不確実性

開催国選定は時に政治的駆け引きの産物となります。票読みを誤れば思わぬ敗北もあり得ます(2018/2022年招致での苦い経験があります)。

日本が準備万端でも、例えば中国が巨額投資で猛烈なキャンペーンを展開したり、他の有力国が手を挙げたりすると、勝利を保証するものではありません。

FIFA評議会の投票を確実に勝ち抜くためのロビー活動や外交戦略も極めて重要です。贈賄のような不正手段は論外ですが、正攻法でも各国の支持を集めるには綿密な外交が必要となるでしょう。

⑥共催時の調整課題

仮に共催案を採用する場合、開催国間の役割分担や費用配分、試合会場の割り当てなど繊細な調整が必要です。2002年大会でも日本と韓国の間で決勝戦会場の取り合いがありました(結果的に横浜開催で落ち着きました​)。

共催国同士で揉めるとFIFAや外部からの印象も悪くなるため、協調的に運営できる体制を構築しなければなりません。特に文化や言語の異なる国との共催では、組織委員会の一元化など課題が多くなります。

日本としてはホストのリーダーシップを発揮しつつ円満に進める力量が問われます。

⑦大会期間中のリスク管理

これはどの国にも共通ですが、大会期間中のテロ対策や災害対策も懸念点です。日本は治安が良いとはいえ、近年は大規模イベントを狙ったテロの可能性はゼロではありません。

また自然災害(地震、台風など)のリスクもあります。防災先進国として日本は対策能力を持っていますが、万全のセキュリティ計画とリスクマネジメントが必要です。FIFAも開催国に危機対応計画を要求します。

幸い2002年大会でも治安面では問題ありませんでしたし、ラグビーW杯2019では大会中に超大型台風が直撃する事態もありましたが、試合スケジュールの変更等で乗り切った経験があります​。

こうした経験値を活かし、リスクに備えることになるでしょう。

⑧チーム成績へのプレッシャー

嬉しい悩みですが、自国開催となれば日本代表にはこれまで以上の期待と重圧がかかります。開催国は予選免除で本大会に出場できますが、その分「ホスト国として恥ずかしくない戦い」を求められます。

日本代表は現在世界でも中堅上位に位置していますが、2040年代には更なる飛躍をしていなければ期待に応えられないでしょう。

JFAは育成や強化面でも計画を加速させ、「開催国として優勝を狙えるチーム」を作るという挑戦が課されます。もっともこれはサポーターにとっては楽しみな課題とも言えます。

FIFAワールドカップ日本開催による経済効果と観光インパクト

W杯を自国で開催することは、スポーツ面だけでなく経済的・社会的な恩恵をもたらします。日本で開催した場合、どのような効果が見込まれるでしょうか。

まず経済効果について、2002年日韓大会の際には様々な試算が行われました。大会前には日本政府や企業のシンクタンクがこぞって予測を出し、「W杯の経済効果は約3,690億円(2002年度)にのぼる」との試算や、「日本が優勝すれば最大3兆6千億円規模になる」との大胆な推計も報じられました​。

実際に大会がもたらした直接的経済効果を正確に算出するのは難しいですが、日本側の開催自治体での消費拡大やインフラ投資効果、観光収入などを合わせて数千億円規模のプラス効果があったとされています。

韓国側の報告では、韓国にとって約5兆4千億ウォン(約41億ドル)の付加価値を生み1%以上のGDP押し上げ効果があったとの予測もありました​。

日本でも地域ごとの波及効果が分析され、例えば茨城県では開催による経済波及効果が約122億円に達したという研究があります(経済産業研究所資料より)。

総じて2002年大会は、日本全体で数千億円規模の景気刺激となり、開催関連の投資も相まって一時的に地域経済を活性化させました。

さらに重要なのは観光インパクトです。W杯は全世界から観光客を呼び込みます。2002年大会では日韓両国合わせて延べ80万人以上の海外観戦客が訪れたと推計されています​。

イギリスのガーディアン紙も当時「日韓両政府は80万人の訪問客がそれぞれ平均1,200ポンド(約20万円)以上を消費すると見込んでいる」と報じています​。

実際、開催期間中はホテル稼働率が跳ね上がり、新幹線や航空便の乗客も大幅増となりました。

また、大会を契機に初めて日本を訪れた外国人も多く、その後リピーターとして再訪する人も出ています。

W杯は開催国の観光PRとしても絶好の機会であり、世界中のメディアが日本各地の魅力を伝えることで長期的な観光客増加につながる効果も期待できます。

2019年のラグビーW杯では約40万人の訪日客を集め、経済波及効果は推定4,371億円とされました​。サッカーW杯は規模がさらに大きいため、開催となればそれ以上の観光消費が見込めるでしょう。

加えて、雇用創出や地域振興の側面もあります。大会に向けたスタジアム建設・改修、交通網の整備、観光地の受入態勢強化などで多くの雇用が生まれます。先述の韓国開発研究院の予想では35万人の雇用創出効果があるとも言われました​。

日本でも会場地域では一時的に建設・サービス業の求人が増え、地元企業にも仕事が回ります。特に地方都市で開催する場合、その地域の経済にとって絶好のテコ入れ機会となります。

2002年大会でも札幌や新潟、大分など普段なかなか海外客が訪れない地域に世界中から人々が訪れ、大いに地域経済を潤しました。「地方創生」の観点からもW杯開催は意義があると言えます。

FIFAワールドカップ日本開催に対するみんなの意見・口コミ

まとめ

「ワールドカップ日本開催の可能性」は、決して絵空事ではなく着実にその芽が育ちつつあります。

過去の成功体験と現在の豊富なインフラ、そして何よりサッカーを愛する国民の情熱が、日本の最大の強みです。課題は多く時間もかかりますが、逆に言えば今から準備を積み重ねれば必ずチャンスは巡ってくるでしょう。

JFAが掲げた2050年までの開催という目標は十分手の届く現実的なラインであり、それに向けた道筋は少しずつではありますが描かれ始めています。

仮に20年後、30年後に日本で再びW杯が開幕したとき、スタジアムを埋め尽くす青いサムライブルーのサポーターと世界中から集まる多種多様な人々が織りなす光景は、2002年を超える感動をもたらすに違いありません。

経済的メリットのみならず、日本社会に新たな活力と国際的な交流を生み出すでしょう。多くの子どもたちがスター選手のプレーに胸を躍らせ、その中から未来の日本代表が育っていく—そんなポジティブな連鎖も期待できます。

日本には「できない理由」を挙げるより「どうすればできるか」を考える国民性があります。​

ラグビーW杯2019の成功はまさに日本人の温かさと情熱が成し遂げたものでした。サッカーW杯でも同じ精神で準備を進めていけば、必ずや世界中が称賛する大会を作り上げることができるでしょう。

FIFAワールドカップの日本開催—それは簡単ではない挑戦ですが、十分に可能性のある夢です。サッカーファンも一般の人々も、その日を心待ちにしながら、日本サッカー界と社会全体で機運を高めていきたいものです。

そしていつの日か、「ようこそ日本へ!」と世界中の代表チームとサポーターを迎え入れ、再びあの感動を日本の地で味わえる日が訪れることを願ってやみません。