- E-1選手権の日本代表は、なぜ国内組(Jリーグの選手)だけなの?
- 久保建英選手のような海外組を呼べないのは、FIFAのルール?クラブの都合?
- E-1のメンバーはA代表と違うの?次の大会はいつ?
E-1選手権の日本代表が国内組だけになるのは、大会がFIFAの「代表ウィーク」の外で開かれ、海外のクラブに選手を出す義務がないからです。日本サッカー協会(JFA)が海外組を外しているのではなく、FIFAの規則の上で「呼んでも断られて当然」の大会なのです。この記事では、FIFAの規則の原文と2025年大会の結果、フットボール戦士が集めた招集データをもとに、国内組だけになる理由と、この大会が日本代表にとってどんな意味を持つのかを整理します。
E-1選手権が国内組だけなのは「代表ウィークの外」で開かれるから
FIFAは、代表チームの試合のために空けておく期間を「国際マッチカレンダー」で決めています。この期間が、いわゆる代表ウィーク(インターナショナルウィンドウ)です。2025年の代表ウィークは6月上旬と9月上旬で、7月7日〜15日に韓国の龍仁で開かれたE-1選手権は、そのちょうど間にありました。
代表ウィークの外では、クラブは選手を代表に出さなくてもかまいません。ヨーロッパのクラブから見れば、E-1は「断ってよい大会」です。そのため日本代表は、2025年大会の26人全員をJリーグの選手で組みました。
7月のヨーロッパは新シーズンに向けたキャンプの最中で、選手にとってはポジション争いの大事な時期です。規則の上でも、現実の都合の上でも、海外組が加わる余地はほとんどありません。
FIFAの規則では何が決まっている?選手を出す義務の範囲
選手を代表に出す決まりは、FIFAの「選手の地位と移籍に関する規則」の付属書1にあります。第1条では、クラブは代表に呼ばれた選手を出さなければならないとしたうえで、その義務がある期間を「国際マッチカレンダーにある代表ウィーク」と「W杯本大会・大陸連盟の選手権」に限っています。
同じ条の6項には、はっきりと「代表ウィークの外では選手を出す義務はない」という趣旨が書かれています。原文は「It is not compulsory to release players outside an international window」です。アジアカップはアジアサッカー連盟(AFC)の選手権なので義務がありますが、E-1を開く東アジアサッカー連盟(EAFF)はAFCの中の地域の連盟です。E-1はこのリストに入りません。
「お願いベース」なら呼べる?
義務がないだけで、クラブが同意すれば海外組を呼ぶこと自体は禁止されていません。森保一監督も2025年4月5日、報道陣に「交渉にはならない」「お願いベースです」と話し、欧州のクラブに打診する可能性に触れていました。ただ、実際に発表された26人に海外組はいませんでした。
国内のクラブでも事情は同じです。2025年大会では、京都サンガF.C.の川﨑颯太選手が「所属クラブ事情のため」として開幕前日に不参加となり、サンフレッチェ広島の田中聡選手が代わりに呼ばれました。代表ウィークの外の大会は、クラブの事情がそのまま招集に響くのです。
E-1のメンバーはA代表?「3軍」ではない理由
JFATV(2025年7月18日公開)。国内組だけで臨んだSAMURAI BLUEの、韓国戦の舞台裏です
E-1の日本代表は、W杯予選や親善試合と同じ「SAMURAI BLUE(日本代表)」です。U-23などの年代別代表ではなく、JFAの日本代表の日程・結果にもW杯予選と並んで載っています。試合は国際Aマッチとして数えられ、2025年大会で代表デビューしたジャーメイン良選手の国際Aマッチ記録は「3試合5得点」とE-1の3試合がそのまま入っています。
「知らない選手ばかり」に見えるのは、海外組がいないからです。条件は相手も同じで、2025年大会の韓国代表は26人のうち23人が韓国のクラブ、残る3人もJリーグのクラブの選手でした。森保監督は韓国戦のあと「韓国も日本も、代表選手の多くがヨーロッパでプレーする中」で国内組が緊張感のある日韓戦を戦えたことが成長につながる、と大会の意義を語っています。
日本の歴代成績:優勝3回、2025年は初の3戦全勝
E-1選手権は2003年に「東アジアサッカー選手権」として始まり、東アジアカップを経て今の名前になりました。男子はこれまで10回開かれ、優勝は韓国が5回、日本が3回(2013年・2022年・2025年)、中国が2回です。
フットボール戦士がJFA公式の試合記録から10大会30試合を集計したところ、日本の通算成績は16勝9分5敗、53得点26失点でした。勝率は53.3%で、韓国とは10試合4勝3分3敗とほぼ互角です。3試合すべてに勝ったのは、10大会で2025年の1回だけでした。
森保監督が率いた2019年・2022年・2025年の3大会に限ると、9試合7勝1分1敗です。国内組だけのチームでも、結果は着実に上向いています。
2025年大会(韓国)の結果
| 日付 | 対戦相手 | 結果 | 日本の得点者 |
|---|---|---|---|
| 7月8日 | ホンコン・チャイナ | 6-1 勝ち | ジャーメイン良4、稲垣祥、中村草太 |
| 7月12日 | 中国 | 2-0 勝ち | 細谷真大、望月ヘンリー海輝 |
| 7月15日 | 韓国 | 1-0 勝ち | ジャーメイン良 |
※会場は3試合とも龍仁ミルスタジアム。JFA公式の日程・結果とマッチレポートをもとにフットボール戦士が作成。
日本は3戦全勝、9得点1失点で2大会連続3度目の優勝を決めました。この大会が代表初招集だったジャーメイン良選手(サンフレッチェ広島)は5得点で、得点王と大会MVPの2つを受賞しています。最終戦の日韓戦も、ジャーメイン選手が8分に決めた1点を守り切りました。
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上はJリーグ公式のInstagramで、2025年7月15日に、ジャーメイン良選手が大会MVPと得点王をダブル受賞し、決勝ゴールも決めたことを伝えた投稿です。
メンバー発表の時点で26人中12人が初招集で、大会直前に入れ替わりで加わった2人も初招集でした。JFAは大会後、「国内組のみ、初招集14人」のチームで優勝したと伝えています。
E-1はW杯と欧州への入り口:招集データで見る
代表ウィークの試合では、海外組が主役です。フットボール戦士が記録しているJFAのメンバー発表で見ると、2026年5月15日に発表されたW杯メンバー26人のうち、国内組は3人だけでした。その3人、早川友基選手(鹿島アントラーズ)、大迫敬介選手(サンフレッチェ広島)、長友佑都選手(FC東京)は、全員が2025年のE-1のメンバーです。早川選手はE-1が代表初招集でした。
E-1のあとに海を渡った選手もいます。2026年9月17日発表のメンバー31人には2025年のE-1組が5人いて、このうち安藤智哉選手(ザンクトパウリ)、田中聡選手(シャルケ)、佐藤龍之介選手(バレンシア)の3人は、所属が海外のクラブになっていました。E-1で国内組として呼ばれた選手が、今度は代表ウィークの常連を目指す立場になったわけです。
2022年大会からW杯に進んだ選手
さかのぼると、2022年大会でMVPと得点王(3得点・町野修斗選手と並んで1位)を獲った相馬勇紀選手は、同じ年のカタールW杯のメンバーに選ばれました。町野選手もカタールW杯に追加招集され、2026年W杯でも遠藤航選手のけがで追加招集されています。
次回は2028年1月の中国大会。秋春制で何が変わる?
EAFFは2024年3月30日の理事会で、E-1の開催地と開催月を決めました。次回は2028年1月に中国で、その次は2030年1月に日本で開かれる予定です。FIFAの国際マッチカレンダーを見ると、2028年と2030年の1月に代表ウィークはありません。この2大会も、海外組を呼ぶ義務のない大会になります。
対照的なのが2027年1月7日〜2月5日のアジアカップです。こちらは大陸連盟の選手権なので、ヨーロッパのクラブも選手を出さなければなりません。同じ「1月のアジアの大会」でも、E-1とアジアカップではメンバーの顔ぶれがまったく違うものになります。
もう1つの変化が、2026/27シーズンから始まったJリーグの秋春制です。Jリーグは2026/27シーズンについて、12月2週ごろの試合後から2027年2月3週ごろまでをウインターブレーク(中断期間)にすると発表しています。これまでのE-1は、夏(Jリーグのシーズン中)や12月(シーズンが終わった直後)の開催が多くありました。1月開催が続く次の2大会は、国内組がシーズン途中の中断期間に集まる形になりそうです。
よくある質問
A. FIFAの代表ウィークの外で開かれるため、海外のクラブに選手を出す義務がないからです。
A. 禁止ではありません。クラブが同意すれば呼べますが、義務がないので断られるのが普通です。森保監督も2025年大会の前に「お願いベース」と話していましたが、結局26人全員がJリーグの選手でした。
A. はい。E-1の日本代表はSAMURAI BLUE(日本代表)で、試合は国際Aマッチとして数えられます。
A. 3回です(2013年・2022年・2025年)。最多は韓国の5回です。2025年大会は3戦全勝で、日本が1大会3試合すべてに勝ったのは初めてでした。
A. EAFFの決定では、2028年1月に中国で開かれる予定です。その次は2030年1月の日本大会です。どちらの月にもFIFAの代表ウィークはないため、国内組中心の編成が続くとみられます。
まとめ:E-1が国内組だけなのはFIFAの規則が理由
- E-1選手権は代表ウィークの外で開かれるため、海外のクラブに選手を出す義務がない
- FIFAの規則で派遣が義務になるのは、代表ウィーク・W杯本大会・アジアカップなど大陸連盟の選手権だけ
- E-1の日本代表もA代表(SAMURAI BLUE)で、試合は国際Aマッチ。韓国も国内組中心で条件は同じ
- 日本の優勝は3回。2025年大会は国内組だけで初の3戦全勝、ジャーメイン良選手が得点王とMVP
- 次回は2028年1月の中国大会、その次は2030年1月の日本大会
E-1は、代表ウィークでは出番の少ない国内組が、日本代表として結果を示せる数少ない舞台です。2026年のW杯に選ばれた国内組3人が全員2025年のE-1組だったように、次の大会のメンバー表にも、未来の代表の主力が隠れているかもしれません。
※この記事の情報は2026年9月25日時点のものです。出典:FIFA「Regulations on the Status and Transfer of Players」2025年1月版 付属書1、FIFA「Men’s International Match Calendar 2023-2030」、東アジアサッカー連盟(第75回理事会・2024年3月30日)、JFA公式(東アジアE-1サッカー選手権2025のメンバー発表・日程と結果・マッチレポート、2026年5月15日・9月17日のメンバー発表)、Jリーグ公式(シーズン移行について)、サッカーダイジェストWeb(2025年4月5日)、サッカーキング(2022年11月8日・2025年7月15日・16日)、Wikipedia日本語版・英語版(EAFF E-1サッカー選手権、2025年大会の各国メンバー)。
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