- 「エムバペ」「ムバッペ」「エンバペ」、結局どれが正しいの?
- 本人は自分の名前をどう読んでほしいと言っている?
- NHKや新聞、サッカーメディアはどの表記を使っているの?
エムバペとムバッペは、どちらも間違いではありません。本人の発音にいちばん近いカタカナは「エンバペ」で、日本の新聞・テレビでいちばん多い表記は「エムバペ」です。この記事では、本人が名前について語った2本の動画と、フットボール戦士が日本の37の媒体の表記を実際の記事で調べた結果を、2026年9月28日時点の情報でまとめます。
エムバペとムバッペはどっちが正しい?答えは「どれも近い音の書き方」
「Mbappé」の最初の「M」は、母音をつけずに、次の「b」とつなげて出す音です。日本語には、この音にぴったり合うカナがありません。そのため「エム」「ン」「ム」のどれで書いても、少しずつ本物の音からずれます。
手がかりは、本人が名前について話した2本の動画と、日本の媒体の使い分けです。発音の近さなら「エンバペ」、通じやすさなら「エムバペ」を選ぶのがこの記事の結論です。
なお、エムバペの本名は「キリアン・エムバペ・ロタン」です。「ロタン」がどこから来たのかは、次の記事で詳しくまとめています。
本人の回答①:日本のメディアの質問に「エンバペ」
サッカーキング公式チャンネル(2019年10月6日公開)。日本での3つの呼び方を、エムバペ本人に聞いた動画です
2019年10月、サッカー情報サイトのサッカーキングが、日本の3つの呼び方を本人に直接聞いた動画を公開しました。「ムバッペ?エムバペ?エンバペ?」と題した75秒の動画で、2026年9月28日時点で約480万回再生されています。
雑誌MEN’S CLUBは2026年7月の記事で、この動画での本人の反応を「『ムバッペ』『エンバペ』は許容範囲、『エムバペ』ははっきり否定」と紹介しました。日刊スポーツも2026年7月、この動画を引いて「本人は『エンバペ』が良いって」と説明するXの投稿が出たと伝えています。
動画のあと、サッカーキング自身の表記も変わりました。フットボール戦士が記事ページを確かめると、2019年6月の来日を伝えた記事は「ムバッペ」、2019年11月の記事は「エンバペ」でした。2026年9月の記事も「エンバペ」です。
この投稿をInstagramで見る
上は、エムバペ本人が2022年7月26日にInstagramへ投稿した「Thank you JAPAN」です。パリ・サンジェルマンの日本ツアー(2022年7月20〜25日)の直後の投稿でした。サッカーキングの動画は、その3年前の2019年に公開されたものです。
本人の回答②:フランスのテレビで「アポストロフィはない」
フランス・テレビジョンの「slash」公式チャンネル(2024年1月19日公開)。France 2の番組の放送翌日に公開された、名字の読み方をめぐる短い動画です
本人の説明は、フランスのテレビにもあります。2024年1月18日、France 2の報道番組「Envoyé spécial(アンヴォワイエ・スペシアル)」で、エムバペはインタビューに答え、自分の名字の読み方に触れました。
仏RMCスポーツによると、本人は笑いながら「全員を直していたら、たいへんな仕事になる」と話しました。そのうえで「C’est Kylian Mbappé」とMとBをしっかりくっつけて発音し、「アポストロフィはないから」と付け加えています。「エム」と「バペ」の間で区切らず、一息で言う、ということです。
フランス語の「エムバペ」とアフリカ読みの「ンバペ」
一方で、フランスの記者が「エムバペ」と言うのも事実です。サッカーダイジェストWebの2017年9月の現地取材では、仏紙レキップのヴァンサン・デュリュック記者が「フランス語ではエムバペ」と答えました。ただし日本語の「エ・ム・バ・ペ」の4拍ではなく、3つの音で一息に言うため、響きは「エムバペ」と「エンバペ」の中間になるそうです。
同じ取材で、パリで働くセネガル出身の料理人は「アフリカでは、名字の最初のMやNはみんな『ン』になる。つまりンバペだ」と答えています。父ウィルフリードは、カメルーンの港町ドゥアラの生まれです。ルーツに近い読みは「ンバペ」ですが、日本の主な媒体では使われていません。
「ムバッペ」の「ッ」はどこから来た?
同じ記事で、当時モナコの副チームマネージャーだったピエール=ジョゼフ・ガドー氏は、「バッペ」とつまることはないと説明しています。フランス語では、子音が2つ並んでも自動的に「ッ」にはなりません。記事は、「ッ」は英語読みを当てはめたものだろうと見ています。
それでも「ムバッペ」は今も使う媒体があり、MEN’S CLUBの紹介どおりなら本人も許容範囲としています。
日本のメディアはどの表記?37媒体を調べた結果
フットボール戦士は2026年9月28日、日本のテレビ・新聞・サッカーメディアと公式サイト、合わせて37について、2026年6月以降の記事を実際に開いて表記を数えました。その結果、「エムバペ」が27で、全体の7割を超えました。
| 表記(数) | 使っている媒体・公式サイト |
|---|---|
| エムバペ(27) | NHK、日本テレビ、TBS、テレビ朝日、テレビ東京、フジテレビ(FNN)、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、日本経済新聞、産経新聞、共同通信、時事通信、日刊スポーツ、スポーツニッポン、スポーツ報知、サンケイスポーツ、デイリースポーツ、東京スポーツ、AFPBB News、ロイター、サッカーダイジェストWeb、THE DIGEST、Number Web、webスポルティーバ、FIFA公式サイト(日本語)、ナイキ(日本語サイト) |
| エンバペ(2) | DAZN(ニュース)、サッカーキング |
| ムバッペ(4) | ゲキサカ、theWORLD、footballista、レアル・マドリード公式サイト(日本語) |
| 混在(4) | ABEMA TIMES、フットボールチャンネル、FOOTBALL ZONE、GOAL(日本版) |
※各媒体の2026年6月〜9月の記事を1〜2本開いて表記を数えたうえで、同じ期間の見出し(Googleニュース・Yahoo!ニュースで確認できたもの)の8割以上が同じ表記ならその表記、8割未満なら「混在」としました。2026年9月28日にフットボール戦士が調査。
新聞とテレビは、NHKから全国紙、スポーツ紙まで「エムバペ」でそろっていました。「エンバペ」にそろえていたのは、DAZNのニュースとサッカーキングの2つだけです。「ムバッペ」は、ゲキサカなどサッカー専門の媒体に残っています。
意外だったのは、レアル・マドリード公式サイトの日本語ページが「ムバッペ」だったことです。ただし、そのページには「この翻訳は人工知能によって生成されました」という注記があります。GOALの日本版も、編集部の記事は「エンバペ」ですが、海外記事の翻訳では「ムバッペ」や「エムバペ」が混ざっていました。
表記は、途中で変わることもあります。日本語版Wikipediaの記事名は、もともと「キリアン・ムバッペ」でした。移動の記録によると、2017年9月22日に今の「キリアン・エムバペ」へ改められています。
2026年W杯でも再燃した「呼び方論争」
この投稿をInstagramで見る
上は、レアル・マドリード公式が2026年7月20日に投稿した、W杯得点王を祝う投稿です。エムバペは2026年W杯で10得点を挙げ、2大会連続で得点王になりました。W杯の通算得点は22点になり、メッシを抜いて歴代1位です。
フランスは準決勝でスペインに0-2で敗れ、3位決定戦でもイングランドに4-6で敗れました。3位決定戦で2点を加えた日には、X(旧ツイッター)で「エムバペ」「ムバッペ」がそろってトレンド入りしたと、日刊スポーツが伝えています。「いい加減決めようぜ」という投稿も紹介されました。
この大会では、初戦から記録が続きました。6月16日のセネガル戦(3-1で勝利)で2点を決め、オリヴィエ・ジルーを抜いてフランス代表の歴代最多得点選手になっています。
この投稿をInstagramで見る
上は、そのとき本人が投稿した「58 buts(58ゴール)」です。フランス語で「代表の歴史で最多得点者になれて、とても誇りに思う」とつづっています。
2026年9月25日のネーションズリーグ・トルコ戦でも、ジダン新監督のもとで決勝点を決めました。ただ直後に左ひざを痛め、代表を離れています。
データで見る:検索する人の2割は「エンバペ」
読者はどの表記で調べているのでしょうか。フットボール戦士の記事がGoogleの検索結果に表示された回数を、エムバペ関連のキーワード29語で集計しました。合計75,904回のうち、「エムバペ」は72.4%、「エンバペ」は19.0%、「ムバッペ」は8.6%でした。
メディアの側で「エンバペ」にそろえているのは、37のうち2つ(5.4%)だけです。それでも検索では、およそ5回に1回が「エンバペ」で調べられています。本人の動画が知られていることと関係があるのかもしれませんが、理由まではこのデータからは分かりません。
「エムバペ ムバッペ」のように、表記の違いそのものを調べる検索は、上位1,000語に入っていませんでした。多くの人は「年俸」「国籍」など知りたいことと一緒に、ふだん使う表記で検索しています。たとえば髪型を調べた検索は、すべて「エムバペ」でした。
日本語版Wikipediaでも、「ムバッペ」の名前で記事にたどり着く人は減っています。旧記事名「キリアン・ムバッペ」の転送ページが開かれた回数は、2018年7月は1万8,378回でした。2026年は1〜8月の合計で131回です。
よくある質問
A. 通じやすさなら、NHKや新聞各紙が使う「エムバペ」です。本人の発音に近づけたいなら「エンバペ」がおすすめです。
A. 2019年のサッカーキングの動画では、「エンバペ」「ムバッペ」は許容範囲、「エムバペ」は否定したと紹介されています。2024年のフランスのテレビでは、「アポストロフィはない」と言い、MとBをつなげて発音しました。
A. 間違いとまでは言えません。ただし、フランス語の発音に「ッ」は入りません。ゲキサカなど、今も「ムバッペ」を使う媒体があります。
A. NHKは「エムバペ」、DAZNのニュースは「エンバペ」です。どちらも2026年の記事で確かめました。
A. アフリカ読みには近いものの、フットボール戦士が調べた日本の37媒体では使われていませんでした。
まとめ:エムバペもムバッペも間違いではない
- 「Mbappé」の最初の音は日本語にないため、どのカタカナも近い音の書き方
- 本人の発音に近いのは「エンバペ」。サッカーキングの動画とフランスのテレビでの説明が手がかり
- 日本の37媒体では「エムバペ」が27で、新聞・テレビはすべてこの表記
- 「エンバペ」はDAZNとサッカーキング、「ムバッペ」はゲキサカなど4つ
- 検索では「エムバペ」72.4%、「エンバペ」19.0%、「ムバッペ」8.6%
どの表記で呼んでも、指している選手は同じです。中継やニュースで表記の違いに気づいたら、「この媒体はこちら派」と見比べてみるのも楽しみ方の一つです。
※この記事の情報は2026年9月28日時点のものです。出典:サッカーキング公式YouTube(2019年10月6日)、France 2「Envoyé spécial」(2024年1月18日放送)を伝えたRMCスポーツ(Yahoo!フランス掲載、2024年1月19日)、MEN’S CLUB(2026年7月)、日刊スポーツ(2026年7月19日・9月26〜27日)、サッカーダイジェストWeb(2017年9月19日)、レアル・マドリード公式サイト(2026年9月26日)、FIFA公式サイト、日本語版Wikipedia(記事と移動記録・閲覧数)、各媒体の記事ページ、Google Search Console。
フットボール戦士 
