PKやり直しの条件は?GKの反則と侵入のルール【2026/27最新】

記事内に広告を含む場合がございます

こんな疑問を持つ方へ
  • PKを止めた(外した)のに、なぜやり直しになるの?
  • GKが少しでも前に出たら、必ずやり直し?
  • やり直しにならず、相手ボールになるのはどんなとき?

PKがやり直しになるのは、主に「守る側が反則をして、ゴールが決まらなかったとき」と「攻める側が反則をして、ゴールが決まったとき」です。反則をしたチームが得をしないように、結果を取り消して蹴り直させる仕組みです。この記事では、JFAが発行する「サッカー競技規則2026/27」の第14条をもとに、やり直しになる条件とならない条件、2026/27の改正点、実際の例までを解説します。

PKのやり直しは「反則したチームが得をしたか」で決まる

ゴールに入った 入らなかった 守る側の反則GK・守備側の選手 得点 やり直し※ 攻める側の反則キッカーの味方の侵入など やり直し 相手の間接FK 両チームが反則より重い反則がない場合 やり直し やり直し ※GKの反則で枠を外れた・ポストに当たったときは、  キッカーに明らかに影響したときだけやり直し
PKで反則があったときの結果の早見表(JFA「サッカー競技規則2026/27」第14条をもとにフットボール戦士が作図)

考え方はシンプルです。反則をしたチームにとって都合のよい結果は取り消されます。守る側が反則をしたのにゴールが決まれば、攻める側は損をしていないので、そのまま得点です。守る側が反則をしてゴールが決まらなければ、攻める側が損をしたので、やり直しになります。

攻める側の反則は逆です。ゴールが決まればやり直し、決まらなければ相手チームの間接フリーキックになります。両チームが同時に反則をした場合は、どちらかがより重い反則をしていない限り、やり直しです。

ただし2026/27の競技規則では、GK以外の選手がペナルティーエリアに早く入る「侵入」は、キックに影響したときだけ罰せられます。この点は次の2つの見出しで詳しく説明します。

この投稿をInstagramで見る

上は競技規則を決めるIFAB(国際サッカー評議会)公式のInstagramで、2026年7月31日に、新しいシーズンの新しいルールを紹介した投稿です。

GKの反則:蹴られる瞬間、片足の一部がゴールライン上にあること

11m GK キッカー 9.15mの円弧 GK:蹴る瞬間、片足の一部をライン上か後ろに ボール:ゴールから11mのペナルティーマーク ほかの選手:エリアと円弧の外、マークより後ろ
PKのときの立ち位置。ほかの選手はボールが蹴られるまで、ペナルティーエリアと円弧(ペナルティーアーク)に入れない(JFA「サッカー競技規則2026/27」第14条をもとにフットボール戦士が作図)

GKは、ボールが蹴られるまで、両ゴールポストの間のゴールライン上でキッカーのほうを向いていなければなりません。蹴られた瞬間には、少なくとも片足の一部がゴールラインに触れているか、ラインの上方か後ろにある必要があります。ゴールポストやネットに触れてキッカーを惑わす行為も禁止です。

GKが前に出た場合の結果は3通りです。ゴールが決まれば得点です。GKが止めればやり直しです。枠を外れたり、ポストやバーに当たったりした場合は、GKの反則がキッカーに明らかに影響したときだけやり直しになります。GKが前に出ていても、キッカーが自分で外したならやり直しにはなりません。

GKの反則でやり直しになったとき、GKにはその試合の1回目は「注意」、2回目以降は「警告(イエローカード)」が出ます。

有名な例が、2019年女子W杯フランス大会のスコットランド対アルゼンチン(6月19日)です。3-2でスコットランドがリードする終盤、GKのリー・アレクサンダーがPKを止めました。しかしVARの確認で、蹴る前にゴールラインから出ていたと判定され、やり直しのPKが決まって3-3の引き分けになりました。この「片足をライン上に」という決まりは、大会直前の2019年6月に始まったばかりでした。

キッカー以外の侵入:キックに影響したときだけ罰せられる

Jリーグ公式チャンネル「鹿島vs札幌 ファウル? PK蹴り直しの理由は?」(2022年5月公開)。2022年5月14日のJ1第13節で起きた、PKやり直しの判定を検証した回です

キッカーとGK以外の選手は、ボールが蹴られるまで、ペナルティーエリアの外、ペナルティーマークから9.15m以上離れた場所(円弧の外)、マークより後ろにいなければなりません。この位置より早く入ることを「侵入」といいます。

2026/27の競技規則では、侵入は影響があったときだけ罰せられます。キッカーの味方なら、侵入がGKに明らかに影響したときか、侵入した選手がボールに関わって得点やチャンスにつなげたときです。GKの味方なら、侵入がキッカーに明らかに影響したときか、侵入した選手がボールに関わって相手の得点やチャンスを防いだときです。

Jリーグの例では、2022年5月14日のJ1第13節、鹿島アントラーズ対北海道コンサドーレ札幌があります。鹿島の鈴木優磨のPKを札幌のGK菅野孝憲が止めましたが、蹴る前に札幌の複数の選手がエリアに入っていました。そのうちの1人がこぼれ球をクリアしたため、VARの助言でやり直しになり、鈴木が2本目を決めました。ゲキサカは、VARの介入によるPKのやり直しはJリーグ史上初めてと報じています。

やり直しにならないケース:キッカー側の反則は相手の間接フリーキック

やり直しにならない主なケース ボールを後ろに蹴った間接FK 助走を終えてからフェイント間接FK+警告 決められた人以外が蹴った間接FK+警告 キッカーがわざと2度触った間接FK 攻める側の侵入があり、外れた間接FK 守る側の反則でもゴールが決まった得点
PKがやり直しにならず、相手の間接フリーキックや得点になる主なケース(JFA「サッカー競技規則2026/27」第14条をもとにフットボール戦士が作図)

上から3つは、ゴールが決まったかどうかに関係なく、相手チームの間接フリーキックになります。フェイントは、助走の途中なら認められています。禁止されているのは、助走を終えた後に蹴るふりをすることです。決められたキッカー以外の選手が蹴った場合は、蹴った選手に警告が出ます。

キッカーは、ほかの選手がボールに触れるまで、もう一度ボールをプレーできません。PKがポストに当たって跳ね返り、キッカーがそのまま押し込むのは反則です。ただしGKが触れた後なら、キッカーがもう一度蹴って決めても問題ありません。

2026/27の改正:偶発的なダブルタッチはやり直しに

JFA公式チャンネル「サッカー競技規則 2026/27 の改正」(2026年7月公開)。2026/27の競技規則の変更点をJFAがまとめた映像です

2026/27の競技規則では、キッカーが滑るなどして、両足で同時にボールを蹴ったり、蹴った直後に軸足に当たったりした場合の扱いが明記されました。ゴールに入ればやり直しです。入らなければ、試合中のPKは相手の間接フリーキックになり、PK戦では失敗として記録されます。

きっかけは、2025年3月12日のUEFAチャンピオンズリーグ、アトレティコ・マドリード対レアル・マドリードのPK戦です。アトレティコのフリアン・アルバレスが蹴ったPKはゴールに入りましたが、VARの確認で取り消されました。UEFAは翌日の声明で、ごくわずかながら軸足がボールに触れていたため、当時のルールでは取り消すしかなかったと説明しました。そのうえで、明らかに偶然の場合の扱いをFIFAやIFABと話し合うとしていました。IFABはその後、回状第31号でやり直しとする扱いを示し、2026/27の競技規則に書き込みました。

この投稿をInstagramで見る

上はサッカーメディアOneFootball公式のInstagramで、2025年3月13日(日本時間)に、アルバレスのPKがダブルタッチで取り消され、レアル・マドリードがアトレティコ・マドリードを破ってチャンピオンズリーグで勝ち上がったことを伝えた投稿です。

もう1つの変更は、GKとキッカーが同時に反則をした場合です。これまではキッカーに必ず警告して、相手の間接フリーキックにしていました。2026/27からはこの決まりが削除され、要約表では、キッカーの反則が不正なフェイントなどでなければやり直しとされています。IFABの公式Q&Aでも、偶発的なダブルタッチとGKの反則が同時に起きてセーブされた場合は、やり直しとしています。

データで見る:W杯ではPKで何点決まっている?

W杯本大会でPKから決まったゴール 131990 151994 171998 132002 132006 92010 122014 222018 172022 162026 オレンジはVARが初めて使われた大会
W杯本大会でPKから決まったゴール数(外したPKは含まない。W杯本大会の全ゴールの記録からフットボール戦士が集計・作図)

フットボール戦士の集計では(W杯本大会の全ゴールの記録から)、PKで決まったゴールは1試合あたり、1990〜2014年の0.22点から、2018年以降は0.24点に増えました。大会別では、VARが初めて使われた2018年の22点が最多です。ただし、増えたのは2018年大会が中心で、「VARでPKが増え続けている」とまでは言えません。

2026年北中米大会は16点でした。出場国が48に増えて試合数が104になったため、1試合あたりに直すと約0.15点で、むしろ少なめです。なお、日本語版Wikipedia「ペナルティーキック」の閲覧数は、2022年カタール大会の期間に1日平均476回と、大会前90日(28回)の16.9倍に増えていました。

この投稿をInstagramで見る

上はスポーツメディアBleacher Reportのサッカー公式(brfootball)のInstagramで、2026年6月23日(日本時間)に、メッシがW杯本大会で3本目のPK失敗となり、本大会で最も多くPKを外した選手になったことを伝えた投稿です。

よくある質問

Q1. GKが前に出てPKを止めたら、必ずやり直しですか?

A. GKが止めた場合はやり直しです。GKにはその試合の1回目は注意、2回目以降は警告が出ます。

Q2. GKが前に出ていて、PKがポストに当たって外れたらどうなりますか?

A. GKの反則がキッカーに明らかに影響したときだけやり直しです。影響がなければ、外れたまま試合が続きます。

Q3. 攻める側の選手が早くエリアに入ったら、どうなりますか?

A. 侵入がGKに明らかに影響したか、その選手がボールに関わって得点やチャンスにつなげた場合だけ反則です。反則になると、ゴールならやり直し、ゴールでなければ相手の間接フリーキックです。

Q4. PKでのフェイントは反則ですか?

A. 助走の途中のフェイントは認められています。助走を終えてから蹴るふりをすると、ゴールが決まっても相手の間接フリーキックになり、キッカーに警告が出ます。

Q5. PK戦でもやり直しはありますか?

A. あります。GKの反則でやり直しになることがあり、偶発的なダブルタッチでゴールに入った場合もやり直しです。PK戦でキッカーが反則をしたときは、そのキックは失敗として記録されます。

まとめ:やり直しは「反則した側が得をしない」ためのルール

  • 守る側の反則でゴールが決まらなければやり直し、決まれば得点
  • 攻める側の反則でゴールが決まればやり直し、決まらなければ相手の間接フリーキック
  • GKは蹴られる瞬間、片足の一部をゴールライン上か後ろに残す必要がある
  • 侵入は、キックや相手に影響したときだけ罰せられる
  • 2026/27から、偶発的なダブルタッチでゴールに入った場合はやり直しになった

PKのやり直しは、一見すると不思議な判定に見えます。しかし「誰が反則して、結果がどちらに有利になったか」を見れば、ほとんどの場面を説明できます。次にPKの場面を見るときは、GKの足元とエリアのまわりの選手にも注目してみてください。

※この記事の情報は2026年9月24日時点のものです。出典:JFA「サッカー競技規則2026/27」(第10条・第14条)、JFA「2026/27年サッカー競技規則 変更の概要と詳細」、IFAB公式サイト(Law 10・Law 14とQ&A)、UEFA声明(2025年3月13日)、Goal.com(2019年6月19日)、Euronews(2019年6月21日)、ゲキサカ(2022年5月14日)、Jリーグ公式・JFA公式YouTubeチャンネル、フットボール戦士「数字で見るサッカーのルール」、Wikimedia Pageviews API。