- 新しいスタジアムができると、観客は何人・何割くらい増える?
- 増えるのは1年目だけ?2年目以降も続く?
- J1に昇格したときの増え方と比べると、どれくらい大きい?
J1で新スタジアムに移ったガンバ大阪とサンフレッチェ広島は、1年目の平均観客数がどちらも約1.6倍になり、1試合あたり約9,400人増えました。
フットボール戦士では、Jリーグ公式データサイトにある全試合の入場者数をクラブ・スタジアムごとに集計しました。J2からJ1への昇格で増える人数との比較や、2年目以降の動き、長崎・千葉などほかのクラブの例も図にまとめます。
新スタジアム1年目の観客は約1.6倍・約9,400人増(ガンバ・広島)
ガンバ大阪は、万博記念競技場から市立吹田サッカースタジアム(パナソニックスタジアム吹田)に移った2016年に、平均観客数が15,999人から25,342人へ9,343人増えました。増え方は+58%です。
サンフレッチェ広島は、エディオンスタジアム広島からエディオンピースウイング広島に移った2024年に、16,128人から25,609人へ9,481人増えました。こちらは+59%で、ガンバとほぼ同じ増え方です。
2クラブとも、前の年も新スタジアムの年もJ1のままで、シーズンの初めから新スタジアムを使い、入場制限のあった2020〜2022年もかかっていません。リーグが変わった影響やコロナの影響を受けずに、前の年と続けて比べられるのはこの2つの例です。
J1全体が伸びた年だったわけではない
同じ年のほかのJ1クラブの平均は、2016年が前年より2%減、2024年が5%増でした。リーグ全体の流れでは説明できないほど、2クラブだけが大きく増えています。
成績も大きくは変わっていません。ガンバは2015年が2位で2016年が4位、広島は2023年が3位で2024年が2位と、どちらも前の年から上位にいました。
なぜ増える?ガンバは「席の数」、広島は「行きやすさ」
同じ約1.6倍でも、2クラブの事情は違います。ガンバの旧本拠地の万博記念競技場は、収容が約2万人でした。2015年のリーグ戦の最多は18,842人で、人気の試合ではほぼ満員だったと考えられます。
39,694人収容の吹田スタジアムに移った2016年は、最多が34,231人になりました。入れる席が約2倍に増えたことで、これまで入りきれなかった分が増えたと見ることができます。
産経ニュース「市立吹田サッカースタジアムでこけら落とし G大阪の新本拠地を空撮」(2016年2月公開)。万博記念公園の中にできた新スタジアムです。
広島は反対に、旧本拠地のほうが大きなスタジアムでした。エディオンスタジアム広島では、2023年に29,097人が入った試合もあり、平均の16,128人に対して席には余裕がありました。
違いは場所です。旧スタジアムは市の中心部から離れた安佐南区の広島広域公園にあり、アストラムラインの広域公園前駅から歩いて約10分です。新しいピースウイング広島は中区の中心部にあり、紙屋町西電停や県庁前駅から徒歩約10分です。2024年の最多は27,545人と旧スタジアムより少ないのに、平均は大きく増えました。
広島テレビ「【空撮】新スタジアム『エディオンピースウイング広島』」(2024年2月公開)。広島市の中心部にできたサッカー専用スタジアムです。
※増えた理由は、このデータだけで1つに決めることはできません。屋根やピッチとの近さ、話題性、成績なども重なっています。
J1昇格より増える?昇格1年目の増え方は真ん中で+46%
新スタジアムの「+59%」がどれくらい大きいかを見るために、J2からJ1に昇格した1年目の増え方と比べました。2004〜2025年の昇格50例で、増え方の真ん中(中央値)は+46%、増えた人数の真ん中は4,149人でした。
昇格すると、相手が人気クラブになり、アウェイのサポーターも増えます。それでも50例のうち、ガンバ・広島の+58〜59%より増えたのは16例だけです。J1のまま新スタジアムに移ることは、多くの昇格より大きく観客を増やしたことになります。
町田と東京ヴェルディは昇格で2倍以上に
2024年にJ1に上がった2クラブは、昇格の中でも特に大きく増えました。FC町田ゼルビアは7,426人から17,610人(+137%)、東京ヴェルディは7,982人から20,976人(+163%)です。
町田は、国立競技場で開いた4試合の平均が44,914人で、全体を押し上げています。町田GIONスタジアムだけで見ると5,878人から10,329人で、+76%でした。東京ヴェルディは味の素スタジアムで19,196人と、J2時代の2倍以上になっています。J2で7,000人台だったクラブは、もとの数字が小さい分、割合が大きく出やすい点にも注意が必要です。
2年目以降はどうなる?ガンバは横ばい、広島は満席に近い
新スタジアムの効果が1年目だけかどうかも見ておきます。ガンバは2017年が24,277人、2018年が23,485人と少しずつ減りましたが、移る前の1万6千人前後には戻りませんでした。2019年は27,708人まで増えています。
入場制限の時期のあとも伸びて、2025年は30,007人でした。2003年以降のガンバの平均では一番多い数字です。収容39,694人に対しては約76%で、まだ席には余裕があります。
広島は2025年も25,585人で、1年目とほぼ同じでした。収容28,520人(広島市の資料)に対して、2024年・2025年とも約9割が埋まっています。これ以上増えにくいのは、人気が落ちたからではなく、席の数が上限に近いからと見るのが自然です。
中国放送(RCC)「エディオンピースウイング広島 初年度の来場者は約130万人に」(2025年3月公開)。オープン1年目に加え、チームの好成績も影響したと伝えています。
ほかのクラブは?長崎はJ2のまま2倍以上、降格した年に増えた例も
ガンバ・広島以外の新スタジアムは、昇格・降格や入場制限が重なっていて、同じ条件では比べられません。それでも、どの例も移ったあとに平均観客数が増えています。
V・ファーレン長崎は2024年10月にPEACE STADIUM Connected by SoftBank(ピースタ)に移りました。J2のまま、旧スタジアムだけだった2023年の7,300人から、全試合が新スタジアムになった2025年は15,877人と2倍以上(+118%)に増えています。
V・ファーレン長崎公式「【試合観戦の1日】長崎スタジアムシティを満喫しよう編!」(2025年2月公開)。長崎駅の近くにできたピースタでの観戦の様子です。
ギラヴァンツ北九州(2017年)とツエーゲン金沢(2024年)は、J3に降格した年に新スタジアムに移りました。それでも北九州は3,224人から5,939人、金沢は4,225人から5,435人に増えています。2004〜2025年の降格56例では52例で観客が減り、増えた例も最大+11%だったので、新スタジアムが降格の影響を上回った形です。
ジェフ千葉はJ1のまま、2005年10月に市原臨海競技場からフクダ電子アリーナに移りました。2004年と2006年の平均を比べると10,012人から13,393人(+34%)です。ただし2004年は国立競技場での2試合(平均27,244人)が平均を押し上げていて、市原臨海の試合だけなら7,362人から+82%になります。
同じシーズンの旧スタジアムと新スタジアムでは2倍以上
シーズンの途中で移ったクラブは、同じ年・同じ顔ぶれの中で旧と新を比べられます。ジェフ千葉は2005年、市原臨海競技場の11試合が平均6,166人、10月からのフクダ電子アリーナの5試合が平均15,610人でした(2.5倍)。長崎も2024年に旧スタジアム16試合が8,098人、ピースタ3試合が18,964人です(2.3倍)。
どちらも新スタジアムの試合は終盤の数試合だけで、開業直後の話題性も入っています。1年を通した増え方は、ガンバ・広島の約1.6倍で見るほうが確かです。
データについて
この記事の数字は、Jリーグ公式データサイトの「日程・結果」にある全試合の入場者数とスタジアム名から、フットボール戦士が集計しました。J1〜J3のリーグ戦のホーム試合だけで、プレーオフ・入れ替え戦・カップ戦は入れていません。平均は入場者数のある試合の平均です。フットボール戦士のJリーグ データベース(Wikipediaの表をもとにした集計)の数字とも一致することを確かめています。
比べられる例は多くありません。J1のまま、シーズンの初めから新スタジアムを使い、入場制限の年をまたがずに前の年と比べられるのはガンバと広島の2クラブだけです。J3の例はJ3が始まった2014年以降、それより前はJ1・J2だけを見ています。京都サンガF.C.は2020年にサンガスタジアム by KYOCERAへ移りましたが、入場制限の年と重なるので比べていません。数字は「新スタジアムの年に増えた」ことを示すもので、増えた理由までは決められません。クラブ別の平均観客数の推移はJリーグ データベースでも見られます。
よくある質問
A. J1のまま移ったガンバ大阪(2016年)とサンフレッチェ広島(2024年)は、1年目の平均がどちらも約1.6倍になり、1試合あたり約9,400人増えました。
A. ガンバは2年目・3年目に少し減ったものの、移る前の水準には戻らず、2025年は30,007人まで増えました。広島は2025年も25,585人で、収容の約9割が埋まっています。
A. リーグ戦の平均は2024年が25,609人、2025年が25,585人です。収容28,520人の約9割にあたります。
A. ガンバ大阪のリーグ戦の平均は、移った2016年が25,342人、2025年が30,007人です。収容は39,694人です。
A. 2004〜2025年の昇格50例の真ん中は+46%で、ガンバ・広島の新スタジアム1年目(+58〜59%)のほうが大きく増えました。ただし町田・東京ヴェルディのように、昇格で2倍以上になったクラブもあります。
まとめ:新スタジアムで観客は約1.6倍・約9,400人増える
- J1のまま新スタジアムに移ったガンバ大阪と広島は、1年目の平均観客数がどちらも約1.6倍(+58〜59%)・約9,400人増
- 同じ年のほかのJ1クラブは-2%と+5%で、リーグ全体の伸びでは説明できない増え方
- ガンバは収容が約2万人から39,694人に増え、広島は郊外から街の中心部に移った
- J2からJ1への昇格1年目の増え方は真ん中で+46%。新スタジアムのほうが大きかった
- 2年目以降もガンバ・広島とも移る前には戻っていない。広島は収容の約9割で頭打ち
新スタジアムは、席の数や行きやすさが変わることで、昇格に負けないほど観客を増やしてきました。これから新しいスタジアムができるクラブがどれくらい増やせるかも、このデータで比べてみると面白いはずです。
※この記事の情報は2026年10月16日時点のものです。Jリーグ公式データサイトの全試合の入場者数をもとにフットボール戦士が集計しました。2026/27シーズンは開催中のため集計に入れていません。
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