リオネル・メッシの筋肉は、サッカー界でも独特の進化を遂げてきました。身長170cmと小柄ながら、屈強なディフェンダーに当たり負けせず、30代後半になっても第一線で活躍を続けています。この記事では、メッシの体格データからトレーニング、キャリアを変えた食事改革まで、その体の秘密を掘り下げます。
こんな疑問を持つ方へ
- 試合や動画でメッシの太ももを見て「意外と筋肉質だな」と気になった
- 小柄なのに当たり負けしない理由を知りたい
- どんな筋トレや食事をしているのか具体的に知りたい
- 自分の体づくりやジュニア世代の育成の参考にしたい
メッシの筋肉が「凄い」と言われる3つの理由
メッシの筋肉が注目されるのは、ボディビルダーのような見た目の迫力があるからではありません。むしろ「サッカーというスポーツに完全に最適化された筋肉」である点が、専門家やファンから高く評価されている理由です。
身長170cmの体格データ
まずは基本となる体格データを確認しておきましょう。
| 項目 | データ |
|---|---|
| 名前 | リオネル・アンドレス・メッシ |
| 生年月日 | 1987年6月24日 |
| 出身地 | アルゼンチン・ロサリオ |
| 身長・体重 | 170cm・72kg |
| ポジション | FW |
| 所属クラブ | インテル・マイアミ(MLS) |
プロサッカー選手としては明らかに小柄な部類です。ワールドカップやチャンピオンズリーグの舞台では、身長185cmを超えるディフェンダーと対峙する場面も珍しくありません。それでもメッシがフィジカル勝負で潰されないのは、体格の不利を補って余りある筋肉の質と使い方があるからです。
注目されるのは下半身:太もも・お尻・ハムストリング
メッシの筋肉で特に発達しているのが下半身です。ボールを扱う軸足を支える太もも(大腿四頭筋)、爆発的な加速を生むお尻(大臀筋)ともも裏(ハムストリング)は、上半身の細身な印象とは対照的にがっしりとしています。
興味深いのは、ふくらはぎが太ももに比べて細くしなやかである点です。スプリントや方向転換の動作分析では、お尻やもも裏といった体の中心に近い大きな筋肉で推進力を生み出せる選手ほど、ふくらはぎのような末端の筋肉に頼らずに済むとされます。つまり「太ももは太く、ふくらはぎはしなやか」というメッシの脚の形は、効率のよい体の使い方ができている証拠と読み解くことができます。
SNSでも話題になる「意外と筋肉質」な体
試合中に短パンからのぞく太ももの張りや、ユニフォーム交換時に見える引き締まった腹筋は、たびたびSNSで話題になります。「細く見えるのに脱ぐと凄い」「太ももの筋肉が別格」といった驚きの声が多く見られ、TikTokやX(旧Twitter)ではメッシの下半身に注目した動画や画像の投稿が数多く共有されています。華奢なイメージとのギャップこそが、メッシの筋肉が繰り返し注目される理由のひとつです。
低身長は弱点ではない:メッシの体格が生む科学的メリット
「もしメッシがあと10cm大きかったら」と語られることがありますが、スポーツ科学の視点では、メッシの体格はむしろ彼のプレースタイルに有利に働いていると考えられます。
重心の低さが生む圧倒的なアジリティ
身長が低い選手は必然的に重心の位置も低くなります。重心が低いほど体を傾けてもバランスを崩しにくく、切り返しや方向転換(アジリティ)で有利です。メッシの代名詞である細かいタッチのドリブルと急激な方向転換は、低い重心と、それを支える下半身の筋力が組み合わさって初めて成立するプレーです。
また、体が小さいほど回転や向き変えに必要な力が少なくて済むため、同じ筋力でもより素早く動作を切り替えられます。大柄な選手が一歩で追いつく距離でも、メッシは二歩の細かいステップで先に体の向きを変えてしまう。この「小回りの利く体+それを動かす筋肉」の組み合わせが、対峙するディフェンダーにとって最大の脅威になっています。
体幹の強さがボールキープを支える
メッシは複数のディフェンダーに囲まれても、簡単には倒れません。腰回りの深層部にある腸腰筋(ちょうようきん:上半身と下半身をつなぐインナーマッスル)や体幹部の筋肉がよく発達しており、接触を受けても軸がぶれないためです。
サッカーにおける「フィジカルの強さ」は、体重や筋肉量だけで決まるものではありません。相手と接触した瞬間に体勢を立て直し、ボールを失わずにプレーを続ける能力こそが本質です。メッシは体をぶつけ合う正面衝突を避け、半身でいなしながら進む技術に長けており、その土台となっているのが体幹の筋力です。
しなやかさと筋力の共存
メッシの筋肉は、硬く固めるタイプではなく、柔らかくしなやかに使えるタイプだと分析されています。筋肉が柔軟であれば、急な減速や着地の衝撃を筋肉全体で吸収でき、肉離れなどの筋損傷リスクを下げられます。瞬発力を生む筋力と、衝撃を受け流す柔軟性。この2つを両立していることが、メッシの筋肉の最大の特徴といえます。
成長ホルモンの病気を乗り越えた少年時代
メッシの体を語るうえで欠かせないのが、少年時代の病気です。今の筋肉質な体は、当たり前に手に入ったものではありませんでした。
成長ホルモン分泌不全性低身長症とは
メッシは10歳前後で「成長ホルモン分泌不全性低身長症」と診断されました。骨や体の成長を促す成長ホルモンの分泌が不足し、身長が標準よりも大きく低くなる病気です。治療には成長ホルモンの補充療法が必要で、メッシは数年間にわたり自己注射を続けました。幼い少年にとっても、治療費を負担する家族にとっても、大きな試練だったことをメッシ自身が後のインタビューで語っています。
バルセロナが治療を支えた
高額な治療費が家族の負担となる中、13歳のメッシの才能に惚れ込んだスペインの名門バルセロナが、治療費の負担を条件に彼を下部組織へ迎え入れました。メッシは家族とともに故郷ロサリオを離れてスペインへ渡り、治療を継続しながら成長。最終的に170cmまで身長を伸ばし、世界最高の選手への道を歩み始めます。
ポイント:低身長という「ハンデ」を抱えたからこそ、メッシは大柄な選手と同じ土俵で戦わない技術と体の使い方を磨きました。彼の筋肉の付き方は、この生い立ちと切り離せません。
メッシの筋肉を作るトレーニング
メッシはウエイトトレーニングで体を大きくすることを目的とせず、サッカーのパフォーマンスに直結する形で筋肉を鍛えていることで知られています。
瞬発力とアジリティを最優先する考え方
メッシのプレーの生命線は、最初の数歩の加速と急激な方向転換です。そのため、トレーニングもラダーやハードルを使ったステップワーク、短い距離のダッシュ、ジャンプ系の種目など、瞬発力と敏捷性を高めるメニューが中心とされています。筋肉を大きく見せるためではなく、速く・強く・正確に動くための筋肉づくりという方針が一貫しています。
怪我予防のためのハムストリング強化
メッシもキャリアの中で、もも裏(ハムストリング)の筋肉系トラブルに悩まされた時期がありました。サッカー選手にとってハムストリングの肉離れは最も多い怪我のひとつです。
スポーツ科学の研究では、ハムストリングを伸ばしながら力を発揮する「エキセントリック(伸張性)トレーニング」を取り入れることで、肉離れのリスクを大きく減らせることが複数の研究で報告されています。代表的な種目が、膝立ちの姿勢から体をゆっくり前に倒していく「ノルディックハムストリング」です。プロクラブの多くがこうした予防トレーニングを日常的に組み込んでおり、メッシが所属してきたトップクラブも例外ではありません。怪我の多かった20代前半から、30代後半まで戦える体へ。この変化の裏には、地道な予防トレーニングの積み重ねがあります。
体幹トレーニングとバランス能力
接触に負けない軸を作るために、プランクなどの体幹種目や、不安定な状態でバランスを取るトレーニングも重視されています。体幹が安定すると、手足の力を効率よく地面やボールに伝えられるようになり、キックの精度やドリブル中の姿勢維持にも直結します。派手さはありませんが、メッシのプレーの再現性の高さを支えているのはこうした基礎的な部分です。
食事改革がキャリアを変えた:筋肉を支える栄養管理
メッシの体づくりを語るうえで、トレーニング以上に大きな転機となったのが食事の改革です。
若手時代の乱れた食生活と嘔吐問題
意外に思われるかもしれませんが、若い頃のメッシはピザや炭酸飲料を好む乱れた食生活を送っていたと伝えられています。20代半ばには筋肉系の怪我が続き、試合中にピッチ上で嘔吐してしまう問題にも悩まされていました。世界最高の才能を持ちながら、体の中身が追いついていなかったのです。
栄養士ポーザーとの出会いと「5つの食品」
転機は2014年のワールドカップ・ブラジル大会。決勝でドイツに敗れた後、メッシはイタリア人の栄養専門家ジュリアーノ・ポーザー氏のもとを訪れ、本格的な食事改善に乗り出しました。ポーザー氏が勧めたのは、特別なサプリメントではなく、次のようなシンプルな食品群だったと報じられています。
| 積極的に摂るもの | 控えるもの |
|---|---|
| 水 | 白砂糖 |
| 良質なオリーブオイル | 精製された小麦粉 |
| 全粒穀物 | 過度の肉類 |
| 新鮮な果物 | 炭酸飲料・菓子類 |
| 新鮮な野菜 |
アルゼンチン人の主食ともいえる肉を控えめにするという指導は、メッシにとって簡単ではなかったはずです。それでも彼は食生活を根本から変え、体を絞り込みました。
食事改善がもたらした劇的な変化
効果は数字にも表れました。食事改善前の2013-14シーズン、メッシは46試合41ゴールと個人成績こそ残したものの、怪我に悩まされチームは無冠。一方、食事を見直して迎えた2014-15シーズンは57試合58ゴールと爆発し、バルセロナはリーグ、国王杯、チャンピオンズリーグの3冠を達成しました。嘔吐の症状も改善し、以降のメッシは筋肉系の大きな怪我が明らかに減っていきます。筋肉は鍛えるだけでなく「何を食べて作るか」が同じくらい重要であることを、メッシのキャリアが証明しています。
クリスティアーノ・ロナウドとの筋肉比較
メッシの筋肉を理解するうえでわかりやすいのが、長年ライバルとして比較されてきたクリスティアーノ・ロナウドとの対比です。
| 項目 | メッシ | ロナウド |
|---|---|---|
| 身長 | 170cm | 187cm |
| 筋肉の印象 | 下半身中心・しなやか | 全身が筋骨隆々 |
| 強みの出し方 | 低重心・切り返し・体幹でいなす | 跳躍力・スプリント・接触の強さ |
| 体づくりの方向性 | 俊敏性と柔軟性の最適化 | 筋量とパワーの最大化 |
どちらが優れているという話ではなく、自分のプレースタイルに必要な筋肉だけを突き詰めた結果、正反対の体に行き着いたという点が重要です。全身をくまなく鍛え上げたロナウドに対し、メッシは「サッカーに必要な場所に、必要な質の筋肉を付ける」という引き算の体づくりを体現しています。体格に恵まれない選手にとって、メッシの方向性は大きなヒントになります。
30代後半でも一線で:長く戦える体という最大の証明
メッシは2022年のワールドカップ・カタール大会で全7試合にフル出場し、決勝でも2ゴールを挙げてアルゼンチンを36年ぶりの優勝に導きました。この活躍で大会MVPに選出され、2023年には史上最多を更新する8度目のバロンドールを受賞しています。
その後もMLSのインテル・マイアミで主力として活躍し、2025シーズンにはMLSの最優秀選手(MVP)に選出。クラブとは2028年までの契約延長に合意しており、40歳を見据えてなおトップレベルでプレーを続ける道を選びました。
激しい接触と急加速を繰り返すサッカーというスポーツで、小柄な選手がこの年齢まで第一線に立ち続けること自体が、彼の筋肉と体のマネジメントが正しかったことの何よりの証明です。若い頃の怪我の多さを食事とトレーニングで克服し、体の使い方を年齢とともに最適化してきた「進化の履歴」こそ、メッシの筋肉の本当の凄さだといえるでしょう。
よくある質問
Q1. メッシの身長と体重は?
身長170cm、体重72kgです。プロサッカー選手としては小柄ですが、体重は身長に対してしっかりあり、下半身と体幹に筋肉が集中した体型です。
Q2. メッシの体脂肪率は公表されている?
公式に公表された正確な数値はありません。ネット上ではさまざまな推定値が出回っていますが、いずれも非公式の情報です。試合中の体の絞れ方から、トップアスリートとして低い水準にあることは間違いないと考えられます。
Q3. メッシは筋トレをしているの?
しています。ただし筋肉を大きくするためのウエイトトレーニング中心ではなく、瞬発力・敏捷性・体幹の安定性を高めるメニューや、ハムストリングの怪我予防トレーニングが中心とされています。
Q4. メッシはなぜ怪我をしにくくなった?
大きな要因とされるのが2014年以降の食事改革です。白砂糖や精製小麦粉を控え、水・オリーブオイル・全粒穀物・新鮮な果物と野菜を中心とした食生活に切り替えたことで、体が絞れ、筋肉系の怪我が減ったと報じられています。予防的なトレーニングの積み重ねも大きく貢献しています。
Q5. 低身長でもサッカーで活躍できる?
メッシの存在がその答えです。低い重心は切り返しやドリブルでむしろ有利に働きます。大切なのは身長ではなく、体幹の強さ、下半身の筋力、そして自分の体格に合ったプレースタイルを磨くことです。
まとめ
メッシの筋肉の凄さは、見た目の迫力ではなく「サッカーへの最適化」にあります。最後に要点を整理します。
- 身長170cmながら、太もも・お尻・体幹に筋肉が集中した「下半身型」の体
- 低い重心と強い体幹が、切り返しの速さと当たり負けしない強さを生む
- 少年時代は成長ホルモンの病気を治療しながらサッカーを続けた
- 2014年の食事改革(砂糖・精製小麦粉を控える)で怪我が激減した
- 瞬発力と怪我予防を重視したトレーニングで、30代後半まで一線で活躍
体格に恵まれることだけが強さではない。メッシの筋肉と体づくりの歩みは、サッカーに限らず、自分の体と向き合うすべての人にとってのヒントになるはずです。
フットボール戦士 
