エムバペとネイマールの不仲は、二人がパリ・サンジェルマン(PSG)で共闘していた時代から幾度も話題になってきたテーマです。当初は「黄金コンビ」と呼ばれた二人が、なぜすれ違ってしまったのか。この記事では、不仲説のきっかけとなった出来事、両者の食い違う言い分、そしてクラブを離れた後の関係までを、時系列で整理して解説します。
こんな疑問を持つ方へ
- エムバペとネイマールは本当に仲が悪いのか知りたい
- 何がきっかけで関係がこじれたのか、具体的な出来事を知りたい
- メッシの加入がどう影響したのか気になる
- PSGを離れた後、二人がどうなったのか知りたい
エムバペとネイマールの不仲は本当なのか|まず結論から
結論から言うと、二人の関係は「最初から不仲だった」わけではありません。2017年に揃ってPSGへ加入した当初はピッチ内外で親密な様子が伝えられ、互いを高く評価し合う理想的なコンビでした。
しかし、2021年頃からピッチ上での衝突が表面化し、2023年にネイマールがPSGを去る頃には、SNSのフォローを互いに外したと報じられるほど関係は冷え込みました。さらに2025年には、ネイマール自身がインタビューで二人の間に確執があったことを認める発言をしています。つまり「良好な関係が、いくつかの出来事を経て悪化した」というのが実態に近い理解です。
二人の関係がわかる年表|出会いから決別まで
まず、二人の関係の流れを年表で押さえておきましょう。細かい出来事は後の章で詳しく解説します。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2017年夏 | ネイマールがバルセロナから、エムバペがモナコからPSGへ加入。「黄金コンビ」が誕生 |
| 2017〜2021年 | リーグ・アン(フランス1部リーグ)で複数回の優勝。2019-20シーズンにはチャンピオンズリーグ決勝進出。関係は良好 |
| 2021年8月 | メッシがバルセロナからPSGへ加入。チーム内の力関係が変化 |
| 2021年9月 | モンペリエ戦後、エムバペがベンチで「彼は僕にパスを出さない」とネイマールへの不満を漏らす様子がテレビカメラに映る |
| 2022年8月 | モンペリエ戦でPK(ペナルティキック)のキッカーを巡り対立。「ペナルティ・ゲート」として大きく報道される |
| 2023年夏 | ネイマールがサウジアラビアのアル・ヒラルへ移籍。二人がSNSで互いのフォローを外したと報じられる |
| 2024年夏 | エムバペがPSGを退団し、レアル・マドリードへ移籍 |
| 2025年1月 | ネイマールがサントス(ブラジル)へ復帰。同月、インタビューでエムバペとの確執に言及 |
| 2026年 | ネイマールはサントスと2026年末まで契約を延長。エムバペはレアル・マドリードの中心選手として活躍 |
不仲説が広まった3つの決定的な出来事
二人の関係悪化を語るうえで欠かせないのが、次の3つの出来事です。いずれも実際の映像や公式な報道が残っており、不仲説の根拠となってきました。
1. 「彼は僕にパスを出さない」発言(2021年9月)
最初に亀裂が表面化したのは、2021年9月25日のリーグ・アン、モンペリエ戦です。PSGは2-0で勝利しましたが、ゴールを奪えないまま交代したエムバペが、ベンチで隣に座る選手にネイマールへの不満を漏らす様子をフランスのテレビ局のカメラが捉えていました。
報道によれば、エムバペは「彼は僕にパスを出さない」という趣旨の言葉を口にしており、一部メディアではさらに強い表現を使ったとも伝えられました。それまで「仲良しコンビ」として知られていた二人だけに、この映像はフランス国内外で大きな反響を呼びました。
注目すべきは、この出来事がメッシ加入の直後に起きたという点です。スター選手が3人に増えたことで、ボールに触れる回数や攻撃の優先順位を巡るバランスが崩れ始めた時期と重なります。
2. ペナルティ・ゲート(2022年8月)
決定的だったのが、2022年8月13日のモンペリエ戦で起きた、いわゆる「ペナルティ・ゲート」です。PSGは5-2で快勝しましたが、試合内容以上にPKを巡る二人の対立が注目されました。
| 場面 | 何が起きたか |
|---|---|
| 前半・1本目のPK | エムバペが蹴るも、相手GKに止められ失敗 |
| 前半・2本目のPK | ネイマールがボールを持ち、キッカーを譲らずに成功。エムバペは不満げな表情を見せる |
| 試合中の一場面 | 味方からパスが出なかった際、エムバペが走るのをやめて両手を広げる仕草を見せ、批判を浴びる |
| 試合後 | ネイマールが、エムバペを第1キッカーとする序列を批判するSNS投稿に「いいね」を押したと報じられる |
報道によれば、ロッカールームでは口論に発展し、経験豊富なセルヒオ・ラモスが仲裁に入ったとされています。その後、クラブのフットボールアドバイザーを務めていたルイス・カンポス氏が二人と話し合いの場を設け、当時のガルティエ監督も「問題は解決した」と公に説明しました。表向きは収束したものの、この一件で「二人の間には序列を巡る根深い緊張がある」という見方が定着しました。
3. SNSのフォロー解除と「別れの投稿」の差(2023年)
2023年夏、PSGの豪華トリオは解体へ向かいます。メッシがアメリカのインテル・マイアミへ、ネイマールがサウジアラビアのアル・ヒラルへと相次いで移籍しました。
このとき注目されたのが、エムバペの対応の差です。メッシの退団時には感謝をつづった投稿をした一方、ネイマールの移籍に際しては特に投稿をしなかったと報じられました。さらにスペイン紙の報道として、二人がインスタグラムで互いのフォローを外したことも伝えられています。ピッチ上の衝突が、私的な関係の断絶にまで及んだことを示す出来事として受け止められました。
不仲の根本原因を読み解く|なぜ黄金コンビは壊れたのか
個々の事件を並べるだけでは、二人の関係悪化の本質は見えてきません。ここでは背景にある3つの構造的な要因を整理します。
メッシ加入で変わったチーム内の力関係
2021年夏のメッシ加入は、サッカー史に残る補強であると同時に、PSGの人間関係を大きく変えた転機でした。それまでPSGの攻撃は、ネイマールとエムバペの2人を軸に組み立てられていました。そこに世界最高の選手が加わったことで、「誰が中心なのか」という問いが常にチームにつきまとうことになります。
興味深いのは、後述するように、ネイマールとエムバペの双方が「メッシを巡る嫉妬」を関係悪化の原因に挙げていることです。ネイマールとメッシはバルセロナ時代からの親友であり、二人の間に強い結びつきがあったことは広く知られています。若くしてチームの顔になりつつあったエムバペにとって、この「南米コンビ」の存在がどう映っていたのかが、確執を読み解く鍵になります。
契約と序列|「クラブの顔」を巡る綱引き
2022年5月、エムバペはレアル・マドリード移籍が有力視されるなかでPSGとの契約を延長し、クラブの中心としての地位を確立しました。ペナルティ・ゲートが起きたのは、その直後の2022-23シーズン開幕戦の翌節です。PKの第1キッカーという一見小さな問題が大騒動に発展した背景には、「どちらがクラブの顔なのか」という、より大きな序列争いがあったと多くのメディアが指摘しています。
ネイマールは世界最高額の移籍金でPSGに加入した、いわばプロジェクトの象徴でした。一方のエムバペはフランス代表のエースとして急成長し、クラブが将来を託す存在になっていきます。時間の経過とともに主役が入れ替わっていく過程で、摩擦が生じるのはある意味で自然なことだったとも言えます。
プレースタイルと気質の違い
ピッチ上の相性も無視できません。エムバペは裏のスペースへ走り込むスピード型のアタッカーで、シンプルに素早くボールを引き出したいタイプです。一方のネイマールはドリブルで時間を作り、自らゲームを支配したいタイプの選手です。「パスをくれない」という2021年の不満は、単なる感情論ではなく、こうしたスタイルの違いが噛み合わなくなった結果とも解釈できます。
それでも2022-23シーズンの序盤には、二人のコンビネーションから多くのゴールが生まれた時期もありました。不仲が伝えられながらも、ピッチ上では世界最高水準の連係を見せられるのが、この二人の複雑なところです。
両者の言い分は食い違っている|「嫉妬」を巡る主張の比較
2025年1月、ネイマールは元ブラジル代表のロマーリオ氏によるインタビューに応じ、エムバペとの関係について踏み込んだ発言をしました。この発言と、それに対するエムバペの反応を比較すると、二人の認識の違いがよくわかります。
| ネイマールの主張(2025年1月) | エムバペの反応(2025年1月) |
|---|---|
| 「エムバペは嫌な奴ではない」としつつ、当初は良好だった関係が、メッシ加入後に変化したと説明。自分とメッシが親友である様子を見て、エムバペが嫉妬したのではないかという見方を示した | 「何も言うことはない。マドリードでの自分の仕事に集中している」と多くを語らず、「ネイマールのことはとてもリスペクトしている」と敬意を示した |
ネイマールが確執の存在を認めたうえで原因をエムバペ側の心情に求めたのに対し、エムバペは肯定も否定もせず、対立の再燃を避ける姿勢を貫きました。この対応の違いは、感情を率直に表に出すネイマールと、メディア対応で慎重さを崩さないエムバペという、二人の気質の差をそのまま映しているようにも見えます。
なお、ネイマールがアル・ヒラルに在籍していた2024年には、レアル・マドリードのブラジル人選手たちに「エムバペとのプレーは大変だった」という趣旨を伝えたとする報道もありました。こちらは本人が公に認めた発言ではなく、あくまで報道ベースの情報である点には注意が必要です。
その後の二人|レアル・マドリードとサントスで別々の道へ
PSGという舞台を離れた二人は、2026年時点でまったく異なるキャリアを歩んでいます。
エムバペ:レアル・マドリードで得点王に
エムバペは2024年6月、かねてから憧れを公言していたレアル・マドリードへの移籍が発表され、2029年までの5年契約を結びました。加入1年目の2024-25シーズンにはリーグ戦31ゴールを挙げ、ラ・リーガ(スペイン1部リーグ)の得点王に輝き、欧州リーグ得点ランキング1位の選手に贈られるヨーロピアン・ゴールデンシューも獲得しました。PSG時代の騒動から離れ、新天地で名実ともに世界最高峰のストライカーであることを証明しています。
ネイマール:古巣サントスへの復帰とワールドカップへの執念
一方のネイマールは、アル・ヒラルでは度重なる負傷に苦しみ、2025年1月にプロキャリアの出発点であるブラジルのサントスへ復帰しました。2025年12月には膝の手術を受けるなど苦難は続きましたが、2026年1月にはサントスとの契約を2026年12月末まで延長。そして2026年5月、ブラジル代表のワールドカップメンバー26名に選出され、自身4度目のワールドカップ挑戦が決まりました。度重なる大怪我を乗り越えて代表復帰を果たした執念は、立場を問わず多くのファンの心を動かしています。
| 項目 | エムバペ | ネイマール |
|---|---|---|
| PSG退団 | 2024年夏 | 2023年夏 |
| 移籍先 | レアル・マドリード(スペイン) | アル・ヒラル(サウジアラビア)を経て、2025年1月からサントス(ブラジル) |
| 2024-25シーズン以降の主な話題 | ラ・リーガ得点王、ヨーロピアン・ゴールデンシュー獲得 | |
| 2026年の状況 | レアル・マドリードの中心選手 | サントスと2026年末まで契約。ブラジル代表としてワールドカップメンバー入り |
よくある質問
公式に「和解した」と確認できる情報はありません。ただし、2025年1月にネイマールが確執に言及した際、エムバペは「ネイマールをとてもリスペクトしている」と敬意を示しており、少なくとも公の場で互いを攻撃し合う関係ではなくなっています。所属リーグも大陸も異なるため、接点自体がほとんどない状態です。
単一の原因に絞ることはできませんが、転機として最も大きかったのは2021年夏のメッシ加入です。その直後からピッチ上の衝突が表面化し、2022年8月のペナルティ・ゲートで対立が決定的に可視化されました。背景には、チーム内の序列やクラブの顔を巡る綱引きがあったと考えられています。
ネイマールとメッシはバルセロナ時代からの親友として知られ、PSGでも良好な関係を保ちました。エムバペとメッシの関係については、メッシの退団時にエムバペが感謝の投稿をするなど、表立った対立は確認されていません。皮肉なことに、対立が伝えられたのはメッシを挟んだエムバペとネイマールの二人でした。
あります。二人が共闘した2017年から2023年の間、PSGはリーグ・アンで複数回優勝しており、2019-20シーズンにはクラブ史上初のチャンピオンズリーグ決勝にも進出しました(決勝はバイエルン・ミュンヘンに敗れて準優勝)。不仲が報じられる一方で、結果を残してきたコンビでもあります。
クラブレベルでは、エムバペがスペイン、ネイマールがブラジルでプレーしているため、国際大会で対戦カードが実現しない限り可能性は低い状況です。代表レベルでは、フランス対ブラジルという形で対戦が実現する可能性が残されています。
まとめ|エムバペとネイマールの不仲から見えるもの
エムバペとネイマールの関係を最後に整理します。二人は2017年にPSGで出会い、当初は良好な関係を築いていましたが、2021年のメッシ加入を境に歯車が狂い始めました。「パスをくれない」発言、ペナルティ・ゲート、SNSのフォロー解除という出来事を経て関係は冷え込み、2025年にはネイマール自身が確執の存在を認めるに至ります。
ただし、その原因について両者の言い分は食い違っており、どちらか一方だけに非があると断定できる材料はありません。世界最高の才能が同じチームに集まれば、主役の座を巡る摩擦が生まれるのはむしろ必然だったのかもしれません。
レアル・マドリードで得点王に輝いたエムバペと、幾多の負傷を乗り越えてワールドカップの舞台に戻ってきたネイマール。別々の道を歩む二人が、いつか代表戦のピッチで再会する日が来るのか。その瞬間にどんな表情を交わすのかも含めて、見届けたいところです。
フットボール戦士 
