Jリーグのスタジアム基準が厳しい3つの理由!基準に対するみんなの意見まとめ

Jリーグにはクラブライセンス制度があり、各クラブのホームスタジアムに関して厳格な基準が定められています。

本記事では、Jリーグのスタジアム基準の具体的な内容(J1・J2・J3の違い)から、なぜその基準が「厳しい」と言われるのか、さらに過去に基準クリアに苦労したクラブの実例まで、初心者にもわかりやすく丁寧に解説します。

Jリーグのスタジアム基準とは?

Jリーグに所属するクラブは以下のような基準を満たしたホームスタジアムを持つ必要があります。基準が満たせない場合はライセンスが取得できずにJリーグに所属ができません。

収容人数(キャパシティ)

J1ライセンスでは15,000人以上収容できるスタジアム、J2では10,000人以上の収容が必要です。一方、J3では原則として5,000人以上の収容能力が求められます​。

例えば、J1では1万5千人規模の大きなスタジアムが必要であり、これは欧州のトップリーグと比べても高めの設定です(スペイン1部のエイバルは約5,000人収容でも1部に参戦しています)​。

なお、J3に関しては地域事情を考慮し、芝生席(立ち見席)も安全性が確認できれば収容人員に算入可能など柔軟な運用がされています​。

座席の種類

全席が個別の椅子席であることも原則です。特にJ1・J2では芝生席や立ち見席は観客席数にカウントされず、個席として設置された席のみが公式の収容人数とみなされます​。

J1ではそのうち少なくとも10,000席以上は椅子席であること、J2では8,000席以上が椅子席であることが求められています​。

一部例外として、人口規模が小さいホームタウンなど特殊な事情がある場合には、理事会の判断で5,000席以上の個席でも基準を満たすと見なされることがあります​。

ピッチ(フィールド)の状態

天然芝であることが大前提です​。

Jリーグの理念として、選手のプレー環境と安全面から人工芝のスタジアムは公式戦の開催スタジアムとして認められていません(少なくともJ1・J2では不可)​。

そのため雪の多い地域のクラブは冬場の芝生維持が大変で、人力での除雪作業を強いられるケースもあります​。天然芝は維持費もかかるため、ここもクラブにとってハードルの一つになっています。

屋根の設置

J1およびJ2では観客席の3分の1以上が屋根で覆われていることが基準になっています​。

この「屋根カバー率33%以上」という条件も多くのスタジアムで難題となっています。古い陸上競技場などはメインスタンドにしか屋根が無いケースが多く、構造上あとから屋根を増設するのは容易ではありません​。

例えば横浜市のニッパツ三ツ沢球技場(横浜FC等が使用)はメインスタンド以外に屋根がなく、この基準を満たさないため本来J1ライセンス基準には適合しない状況です​。

照明設備と放送設備

ナイトゲームを行うための十分な照明設備(照度の確保)も必須です。

またテレビ中継・インターネット配信に対応できるよう、放送用カメラの設置場所や放送席の確保などのインフラ要件も定められています​。

これは昨今Jリーグの試合を映像で視聴するファンが増えていることから、どのスタジアムでも一定の映像品質を担保する狙いがあります。

観客設備・安全基準

観客が安心・快適に観戦できるよう、トイレの数や避難経路の整備、バリアフリー対応など細かな基準もあります。たとえば「トイレの設置数は収容人数の60%以上」など具体的な数字も示されており、車椅子席や非常時の動線確保など、安全面への配慮も求められます​。

これらは大規模改修や新設時には最新の基準を満たすことが期待されています。

Jリーグのスタジアム基準が厳しい3つの理由

①観客動員数を増やしリーグを発展させるため

Jリーグがスタジアムに高い要件を課す一つ目の理由は、「より大きな観客動員を実現し、リーグ全体を盛り上げたい」という狙いです​。

メジャースポーツになるにはスタジアムに多くの観客が入ることが重要であり、そのために収容人数の基準を高く設定した側面があります​。

実際、Jリーグ発足当初(1993年頃)は各地で新しいサッカー専用スタジアムや大規模競技場が整備され、ワールドカップ開催(2002年)も見据えて観客数重視の方針が取られてきました。

収容人数を増やすだけでなく、「観客が快適に繰り返し足を運びたくなる環境」を作ることも大切です。そのため座席の改良や屋根の設置、トイレなどの利便設備充実が求められています​。

観客満足度を高めリピーターを増やすことで、クラブの収益向上や地域経済への貢献にもつなげようという意図があります​。Jリーグは地域密着を掲げており、地元ファンが安全かつ快適に観戦できる環境整備を重視しているのです​。

②選手の安全確保と試合の質向上のため

スタジアム基準には選手の安全と競技の質を守る目的もあります。

たとえばピッチが天然芝であることや照明の明るさ、フィールドの水はけなどはすべて選手のパフォーマンスや怪我予防に直結します​。

基準を厳しく設けることで、「どのスタジアムでも選手がベストコンディションでプレーできる環境を保証する」というわけです​。

実際、新しいスタジアム基準ではフィールドの品質や安全面への要求が強化されました​。これは芝生の管理を徹底させたり、必要に応じて寒冷地にはピッチ暖房設備を求めるなどの項目に表れています​。

選手が怪我なくシーズンを戦えるよう、見えない部分でも基準が定められているのです。照明や放送設備も、プレーの見やすさやフェアネス(例えばVARの実施環境など)に影響するため、厳しいチェック項目があります。

③国際基準との整合性を高め、リーグブランドを維持するため

Jリーグのスタジアム規定はアジアサッカー連盟(AFC)のクラブライセンス基準に準拠したものでもあります​。

2012年にJリーグはそれまでの自主基準を見直し、AFCライセンス基準に沿ったより厳格なクラブライセンス制度を導入しました​。

これは国際大会(AFCチャンピオンズリーグ等)において日本のクラブが遜色ない環境で戦えるようにする狙いがあります。

また、日本のスタジアム水準を底上げすることで「アジアの中でもトップクラスのリーグ」というブランド維持につなげたいという思惑もあります。

実際、Jリーグは「理想のスタジアム」像としてアクセスが良く、全席に屋根があるような最新スタジアムを推奨しており、そうしたスタジアムを整備する場合には通常より長い猶予期間(5年)が与えられる仕組みもあります​。

これはリーグとして質の高いスタジアムを増やしたい意向の表れです。国際大会の開催招致や海外からの視察を考えても、スタジアムが一定以上の水準であることはリーグ全体の評価を高めることにつながります​。

スタジアム基準クリアに苦労したクラブの実例

FC町田ゼルビアの実例

東京都町田市を本拠地とするFC町田ゼルビアは2018年シーズン、J2で4位と躍進しながらもJ1クラブライセンスが未交付だったためにJ1昇格プレーオフへの出場資格を得られませんでした​。

当時のホームスタジアム(町田市立陸上競技場、通称「野津田(のづた)競技場」)がJ1基準を満たしていなかったためです。

町田市立陸上競技場は元々収容約6,000人ほど(メインスタンド以外は芝生席)の小規模スタジアムで、Jリーグ参入時から段階的に改修はしていたものの、2018年時点では収容人数も屋根の設置状況もJ2基準止まりでした​。

このため町田はJ1ライセンスを得られず、「成績上は昇格圏でもスタジアム基準未達のため昇格できない」という悔しい経験をしています​。

当時クラブを率いていた相馬直樹監督も「選手達はよく頑張ったが…」と無念さをにじませていたと伝えられます。

しかし町田市とクラブはこの事態を受けてすぐに動きました。2018年10月、町田市はJ1基準を満たすためのスタジアム改修計画を発表します。バックスタンドを大規模改築して屋根付きの3層構造とし、収容人員を約5,000人増加させる計画です​。

市長も「翌年度からスタンドの増築工事に着手する。改修すれば1万5千人収容になる見込みなのでライセンス取得につながるはず」とクラブを後押ししました​。

上の写真は町田市立陸上競技場のメインスタンドで、増築改修後の様子です(2021年10月撮影)。3層構造の観客席と大屋根が設置され、青い個席がずらりと並ぶ立派なスタンドに生まれ変わりました。改修の結果、収容可能人数は15,000人超に拡大し​、2023年にはJリーグ基準をクリアしたスタジアムとしてJ1ライセンスが交付されています。

町田ゼルビアは2023年シーズンのJ2で圧倒的な強さを見せて優勝し、悲願のJ1昇格を果たしました​。これはスタジアム整備と成績が噛み合った成功例と言えるでしょう。町田のケースでは、自治体とクラブが二人三脚で基準達成に取り組み、数年越しで実を結んだのです。

いわきFCの実例

福島県いわき市を拠点とするいわきFCもスタジアム基準で注目されるクラブです。

いわきFCは2012年創設の新興クラブながら、地域リーグからJFL、J3と快進撃を続け、2022年にJ3優勝しJ2昇格を決めました。

ところがホームの「いわきグリーンフィールド」は当初観客席数が非常に少ないグラウンドでした。J3参入時に増設工事を行ったものの、約5,000席でJ3基準を辛うじて満たす規模であり、J2基準の1万人収容には届いていません​。

いわきグリーンフィールド

それでもJリーグは、いわきFCの将来性と地域事情を踏まえ、施設基準の例外適用を認めました。いわきFCは2023年シーズンに向けてJ2ライセンスを取得し、さらにJ1クラブライセンスも特例で交付されています​。

ただし条件として「2025年6月末までに具体的な新スタジアム整備計画を提出し、5年以内にJ1基準を満たすスタジアムを新設すること」が課されています​。

つまり、「現在はいわきグリーンフィールドでJ2参加を認めるが、遅くとも数年以内に1万5千人規模の新スタジアム建設を進めなさい」という猶予付きのライセンスなのです。

いわき市とクラブは早速新スタジアム計画に着手しており、2025年3月にはいわき市小名浜港地区を候補地とする整備案を公表しました​。これから詳細な予算策定や設計を詰め、期限までにJリーグへ計画を提出する予定です​。

いわきFCのように短期間で駆け上がったクラブはスタジアム整備が追いつかないケースが多く、Jリーグ側も一定の猶予を与えつつクラブと自治体の努力を促す対応を取っているわけです。

いわきFCの場合、クラブの成長スピードとインフラ整備のギャップが顕在化した例と言えます。現在は小規模スタジアムでJ2を戦っていますが、将来のJ1昇格を見据えて数十億円規模の新スタジアムプロジェクトが動き出しています。

これはクラブにとって大きな負担である一方、地域にとっては新たなランドマーク誕生の機会でもあります。後述するように、スタジアム基準が地域社会に与える影響の一例とも言えるでしょう。

ギラヴァンツ北九州の実例

北九州は2014年にJ2でJ1昇格プレーオフ圏内の成績を残しましたが、当時新スタジアム建設中で完成前だったためJ1ライセンスを取得できず、昇格プレーオフに参加できませんでした​。

猶予ルールが無かった当時、成績2位でありながら昇格断念を余儀なくされた悔しい例です。

その後、北九州市はミクニワールドスタジアム北九州(15,000人収容のサッカー専用スタジアム)を2017年に完成させました。

しかし皮肉にも完成時にはチームはJ3に降格しており、大型スタジアムが宝の持ち腐れ状態になる時期もありました。現在は再びクラブの成績向上を図っていますが、タイミングのずれが生じたケースと言えます。

ブラウブリッツ秋田の実例

秋田は2017年にJ3で優勝しながら、当時ホームの八橋運動公園陸上競技場がJ2基準未達(収容人員や設備不足)だったため昇格を断念しました​。

これを機に秋田市では新スタジアム計画が浮上しましたが、用地選定や自治体間の意見対立で難航し、計画が迷走しました​。一時は「2024年末までに着工できないとライセンス剥奪の可能性」というところまで追い込まれました​。

しかし2021年に秋田はスタジアム改善の見通しを条件にJ2昇格を果たし、現在も古いスタジアムを使いつつ新スタジアムの実現を模索しています。Jリーグは秋田に対し一時期屋根設置基準の例外適用を認めるなど救済しましたが​、抜本的解決には至っていません。

FC琉球・鹿児島ユナイテッドの実例

いずれもJ3からJ2に昇格したクラブですが、施設面で課題がありました。琉球と鹿児島は2018シーズンに上位ライセンス取得の際、「観客席への屋根設置」基準の例外適用を受けています​。

両クラブとも既存スタジアムの屋根が不足していましたが、新スタジアム構想の進捗が見られたという理由で特例的にJ2ライセンスが交付されました​。

しかしその後、新スタジアム建設は計画通りには進んでおらず、特に鹿児島はライセンス維持のために具体的計画提出が求められる状況です​。

Jリーグのスタジアム基準についてのみんなの意見・口コミ

基準緩和を求める声

客席数が足りなくても、サッカー専用スタジアムなら大目に見るべき

陸上トラック付きの大きいだけのスタジアムより、臨場感あるサッカー専用の小ぶりなスタジアムを評価してほしい

全席屋根付きで12,000人収容くらいでもOKでは?

陸上競技場との併用は減らすべき

身の丈に合ったスタジアムでいい

J1・J2でも収容5000人、屋根なし、人工芝OKくらいに引き下げるべきでは?

スタジアム建設の署名活動より、ライセンス基準を緩和するようJリーグに求める署名を集めるべきでは

基準順守を支持・擁護する声

簡単にJ1に上がれるようにするとクラブが長続きしない

基準を満たさないまま昇格を許すと、資金力や設備が伴っていないクラブが無理をしてしまい、結局経営破綻や成績不振で消えてしまう可能性がある

安全・快適のためには必要な規定

観客席や照明などは安全基準でもあるため、人気に関係なく一定水準を守るのは当然

観客の安全確保と良好な環境を守るために規定がある。人気がどうであれ必要なものは必要

AFC基準に基づいているだけ

AFCクラブライセンスの基準に沿っているだけで、特別厳しすぎるとは思わない。どの項目が厳しいのか?

スタジアム作っても採算が取れないと意味がない

特例措置で昇格を認めても、計画通りにスタジアムが完成しなければ結局降格になる厳しさもあるので、クラブは覚悟を持つべき

SNS上のみんなの意見

Jリーグスタジアム基準は徐々に緩和傾向?

2018年の基準改定と猶予制度の導入

まず大きな転換点だったのが2018年末の基準改定です。Jリーグは2018年12月、「現在のスタジアム基準を改定し、新たなガイドラインを設ける」ことを発表しました​。

この新ガイドラインでは、以下のような昇格クラブへの猶予措置が導入されています。

  • 一定の条件を満たせば完成までの猶予期間を付与:昇格が決まった時点でスタジアムが基準不足でも、新スタジアム整備に着工済みで3年以内に完成予定であれば昇格を認める​。猶予期間内(最大3年間)に完成しなかった場合は翌年降格する、という条件つきです。
  • 理想のスタジアムを目指す場合は最長5年猶予:全席屋根付き・アクセス良好などの「理想のスタジアム」を建設する計画であれば、通常より長い5年間の猶予を与える​。これはハイレベルなスタジアム建設には時間がかかるため、じっくり取り組めるよう配慮したものです。

この改定によって、2019年以降はクラブも昇格に向けた計画を立てやすくなりました。例えば町田ゼルビアはこの緩和を見据えてスタンド増築計画を進め、猶予内で基準充足を果たしました​。

ブラウブリッツ秋田や鹿児島ユナイテッドなどもこの特例を活用して上位ライセンスを取得しています。一方で、猶予内に進展が無いクラブにはライセンス降格の可能性も示唆されており​、運用は決して甘いばかりではありません。

2023年時点の動向

直近では、2024シーズンに向けたクラブライセンス判定で、多数のクラブに施設基準の例外適用が認められています。

2023年のライセンス交付では、いわてグルージャ盛岡、ブラウブリッツ秋田、いわきFC、水戸ホーリーホック、ツエーゲン金沢、藤枝MYFC、鹿児島ユナイテッド、FC琉球の計8クラブが施設基準の例外規定を適用されJ1クラブライセンス交付となりました​。

これらのクラブは現状スタジアム要件を満たしていないものの、改修計画や新スタジアム構想があり将来的にクリア可能と判断されたケースです。

このようにJリーグ側も現実路線で、「今は未達でも将来計画があればOK」という対応を増やしています​。

ただし計画提出や期限付きの条件は厳格で、猶予期限までに着工できないとライセンス剥奪という可能性も示されています(秋田市の例など)​。

今後も、クラブ・自治体の計画進捗を見極めながら、一時的な例外措置と最終的な基準順守を両立させる方針が続くでしょう。

Jリーグのスタジアム基準について今後議論される4つのポイント

収容人数要件の再検討

少子高齢化や地方都市の人口減を考慮し、「全国一律にJ1=15,000人は多すぎるのでは」という議論があります。

今後クラブ数が増えれば全てのクラブが巨大スタジアムを持つのは非現実的とも言えます。

ホームタウン人口に応じた容量要件の柔軟化(例えば人口○万人未満の自治体ならJ1でも1万人規模可など)の可能性も議題に上がるかもしれません​。

屋根設置基準の緩和

屋根3分の1以上という数字は、既存スタジアム改修では極めて高いハードルです​。

将来的に「メインスタンドは必須だがバックやゴール裏は必ずしも不要」など少し緩める可能性は考えられます。

事実、Jリーグも「理想は全席屋根」としつつ現状は1/3で妥協している経緯があり、今後技術革新などで仮設的にでも屋根設置を容易にする方法が出てくれば対応が変わるかもしれません。

人工芝容認の是非

現状タブー視されている人工芝ですが、豪雪地帯のクラブや維持費軽減の観点から高品質人工芝の容認を求める声も一部にあります。

欧州でも一部採用例があり、近年はハイブリッド芝など技術進歩もあります。

選手の怪我リスクやプレー品質への影響を慎重に見極める必要がありますが、例えばJ3限定で認めるなど段階的な検討の余地はあるでしょう。これは将来の大きな論点になる可能性があります。

クラブ間での施設共有や広域ホームタウン

一つの自治体で複数クラブが存在する場合や、隣接都市で大規模スタジアムを共用する選択肢も議論の余地があります。

現状、Jリーグはクラブごとに独自のホームスタジアムを持つことを基本としていますが、将来的にクラブ数が増えてインフラ整備が追いつかない場合、既存の大規模スタジアムを共同利用するモデルも検討されるかもしれません。

ただファンの帰属意識や日程調整の難しさもあり、簡単ではありませんが一部では話題になります。