- Jリーグは、人件費(選手の年俸など)が多いクラブほど順位が上なの?
- J1で優勝したクラブは、人件費がJ1で何位だった?
- 人件費が少ないクラブでも優勝できる?いくら使えば優勝に届く?
Jリーグは人件費が多いクラブほど上位に入りやすい一方で、人件費がJ1で1位のクラブが優勝したのは、2006〜2025年の20シーズンで2006年の浦和レッズの1回だけです。
フットボール戦士は、Jリーグが毎年公表している「クラブ決算一覧」の人件費と、J1の最終順位を20年分突き合わせました。お金で「上位争いの席」はある程度買えますが、「優勝」までは買えていない、というのが答えです。図と数字で順に見ていきます。
J1優勝クラブの人件費は何位?20年で1位は1回、真ん中は4位
2006〜2025年のJ1優勝クラブ20チームについて、その年度の人件費がJ1で何番目に多かったかを数えました。人件費1位で優勝したのは2006年の浦和だけです。2〜3位が5回、4〜6位が9回で、20回中15回は6位以内でした。優勝クラブの人件費順位を小さい順に並べた真ん中(中央値)は4位です。
つまり優勝クラブの多くは、「人件費はJ1の上位だが、1位ではない」クラブです。鹿島は2007〜2009年の3連覇をすべて人件費5〜6位で、川崎Fは2017・2018・2020・2021年の4回の優勝を人件費2〜7位で果たしています。
直近の2025年も同じ形でした。人件費1位は浦和の32.7億円でしたが、優勝したのは人件費4位(30.1億円)の鹿島で、浦和は7位でした。
DAZN Japan「鹿島が9年ぶり9度目のJ1制覇!|鹿島アントラーズ×横浜F・マリノス|ハイライト」(2025年12月公開)。人件費4位の鹿島が優勝を決めた2025年最終節のハイライトです。
※人件費の順位は、同じ年度の決算の中で比べています。2024年度からは移籍金などの「移籍関連費用」が人件費とは別の項目になりました。移籍関連費用を足した数字で数え直すと、2024年の神戸は3位、2025年の鹿島は8位になりますが、人件費1位の優勝が2006年の1回だけなのは変わりません。
人件費が多いクラブほど順位は上?人件費1〜3位は平均6.6位
各年度のJ1クラブを人件費の多い順に3クラブずつに分け、最終順位を比べました。人件費1〜3位のクラブの平均順位は6.6位、16位以下のクラブは14.4位です。人件費16位以下のクラブが3位以内に入った例は、20年で一度もありませんでした。人件費が多いほど順位が上がる傾向は、はっきり出ています。
ただし、人件費1〜3位のクラブが3位以内に入ったのは60例中18例(30%)で、人件費4〜6位の22例(37%)より少なくなっています。人件費を一番使っているクラブ群が、一番結果を出しているわけではありません。
人件費の順位と最終順位がどのくらいそろうかを、0(関係なし)〜1(完全に一致)の数字(順位相関係数)で年ごとに出すと、20年の平均は0.51でした。関係ははっきりあるものの、ぴったり一致からは遠い強さです。
年による差も大きく、最もそろったのは2011年の0.69、最もずれたのは2018年の0.14でした。2018年は、人件費1位の神戸が10位、4位の名古屋が15位、5位の柏が17位で降格した一方、人件費12位の広島が2位に入っています。
人件費1位のクラブは何位だった?20年で10位以下が7回
人件費がJ1で一番多かったクラブの最終順位を並べると、優勝は2006年の浦和の1回だけでした。2〜3位も5回ありますが、10位以下も7回あります。20年の最終順位の真ん中は6.5位です。
一番大きく外れたのは2008年の東京ヴェルディです。人件費は26.2億円でJ1の1位でしたが、17位でJ2に降格しました(当時の決算の人件費には、監督・コーチなどチームスタッフの人件費も含まれます)。
2017〜2022年は、神戸が6年続けて人件費1位でした。最終順位は9位・10位・8位・14位・3位・13位です。2020年度の神戸の人件費は64.0億円で、その年のJ1平均の2.6倍でしたが、14位に終わっています。神戸が初めてJ1で優勝した2023年と、連覇した2024年は、人件費はどちらも2位でした。
浦和は20年のうち9回、人件費1位でした。優勝はそのうち2006年の1回で、2024年は13位です。浦和の順位と売上高の関係は、別の記事で詳しくまとめています。
人件費が少なくても上位に入れる?2012年広島は11位で優勝
人件費がJ1で10位以下だったクラブが3位以内に入った例は、20年で8例ありました。そのうち4例が広島です。
2012年の広島は、人件費14.1億円でJ1の11位、J1平均の0.97倍でした。この20年で、優勝クラブの人件費がJ1平均を下回ったのはこの1回だけです。広島は翌2013年も、人件費9位で連覇しています。
サンフレッチェ広島公式チャンネル「《LAST GAME》配信企画 エディオンスタジアム広島での印象的な試合投票第1位『2012年11月24日 J1リーグ 第33節 vs.C大阪』」(2023年11月公開)。広島がJ1初優勝を決めた試合です。
同じ2012年は、人件費14位の仙台が2位に入りました。直近の2025年も、人件費12位の柏が2位、人件費14位の京都が3位です。
こうしたクラブが少ない人件費で上位に入れた理由は、決算の数字からは分かりません。監督の戦い方や選手の獲得・育成など、お金以外の要素が大きいと考えられますが、この記事のデータでは確かめていません。
優勝にはいくら必要?優勝クラブの人件費はJ1平均の約1.2倍
優勝クラブの人件費を、その年度のJ1平均と比べました。倍率の真ん中は1.23倍で、20回中17回は平均の1.1倍以上でした。最も高かったのは2006年の浦和の1.73倍、最も低かったのは2012年の広島の0.97倍です。
金額では、優勝クラブの人件費は2012年広島の14.1億円から2023年神戸の38.0億円まで幅があります。2025年度のJ1平均は23.8億円なので、平均の1.23倍に当てはめると約29億円です。2025年に優勝した鹿島は30.1億円でした。あくまで過去20年の真ん中から出した目安で、この額を使えば優勝できるという意味ではありません。
※2024年度からは移籍関連費用が人件費に入っていないため、2023年度以前の金額とそのまま比べることはできません。2025年度の鹿島の人件費に移籍関連費用を足すと34.3億円です。
各クラブの人件費・売上高・入場料収入の推移は、フットボール戦士のJクラブ経営データベースで年度ごとに見比べられます。
データについて:Jリーグのクラブ決算20年分を集計
出典は、Jリーグが毎年公表している「クラブ決算一覧」です。2006〜2025年度のJ1クラブの人件費を、フットボール戦士が集計しました。2005年度は、優勝したG大阪の人件費が一覧に載っていないため対象から外しています。
人件費の名前と範囲は年度で変わります。2010年度までは「選手・チームスタッフ人件費」で監督・コーチやアカデミーのスタッフも含み、2011〜2021年度は「チーム人件費」、2022年度からは「トップチーム人件費」です。2024年度からは移籍関連費用が別の項目になりました。この記事の順位は同じ年度の中で比べていますが、年度をまたいで金額を比べるときは注意が必要です。
決算の年度とシーズンは同じ年として扱っています(2025年度の決算=2025シーズン)。決算期間が12か月でないクラブ(2012年度の鳥栖、2025年度の岡山など)は人件費の順位には入れ、平均や順位相関からは外しました。2025年度は決算期の変更で湘南の数字がまだ公表されていないため、19クラブで比べています。
J1の最終順位は、2015・2016年をチャンピオンシップ後の公式順位にしています。2026年2〜6月の特別大会「明治安田J1百年構想リーグ」と、8月に始まった秋春制の2026-27シーズンの人件費は2026年度以降の決算に入るため、この記事には含まれていません。数字が示すのは「人件費と順位に関係がある」ところまでで、どれだけお金が勝ちにつながったかの原因までは言い切れません。
よくある質問
A. 関係はあります。2006〜2025年度で、人件費がJ1で1〜3位のクラブの平均順位は6.6位、16位以下のクラブは14.4位でした。ただし年ごとの順位相関の平均は0.51で、人件費だけで順位が決まるわけではありません。
A. 2006〜2025年の20シーズンで、優勝は2006年の浦和の1回だけです。人件費1位のクラブが10位以下に終わった年は7回ありました。
A. 2012年の広島は人件費がJ1で11位、J1平均の0.97倍で優勝しました。翌2013年も人件費9位で連覇しています。
A. 浦和レッズの32.7億円で、最終順位は7位でした。優勝した鹿島は人件費4位の30.1億円です。
A. 同じではありません。決算の人件費には、選手の報酬のほか監督・コーチなどの人件費も含まれ、年度によって範囲も違います。選手の年俸が低いと言われる理由は、Jリーグ選手の年俸が低い理由で解説しています。
まとめ:Jリーグはお金で上位に近づけるが、優勝は買えていない
- 2006〜2025年のJ1で、人件費1位のクラブが優勝したのは2006年の浦和の1回だけ
- 優勝クラブの人件費順位の真ん中は4位で、20回中15回は6位以内
- 人件費1〜3位のクラブは平均6.6位、16位以下は平均14.4位。16位以下からの3位以内は0回
- 人件費1位のクラブは10位以下が7回。2008年の東京ヴェルディは17位で降格
- 2012年の広島は人件費11位で優勝。優勝クラブの人件費は、真ん中でJ1平均の1.23倍
人件費の多さは、上位争いに加わるための大きな条件になっています。それでも、一番お金を使ったクラブが勝つとは限らないのがJリーグです。2026-27シーズンのお金と順位の関係は、2026年度以降の決算が公表されてから確かめられます。
※この記事の情報は2026年10月17日時点のものです。人件費はJリーグ クラブ決算一覧をもとにフットボール戦士が集計しました(2006〜2025年度)。
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