「トッテナムってプレミアリーグで優勝したことないの?」「エバートンは昔強かったのにどうして?」——プレミアリーグを観ていると、強豪として知られるチームなのに「優勝歴ゼロ」という不思議な事実に気づくことがあります。この記事では、プレミアリーグで優勝したことないチームを一覧でまとめ、その背景・理由・歴史まで徹底解説します。「1992年の分岐点」を知ることで、これまでの疑問がスッキリ解決します。
まず大前提を確認——「プレミアリーグ」が始まったのは1992年
「優勝したことないチーム」を語る前に、必ず理解しておくべき重要な前提があります。プレミアリーグが創設されたのは1992年です。1992-93シーズンから現在の「プレミアリーグ(Premier League)」が始まり、それ以前のイングランド1部リーグは「フットボールリーグ・ファーストディビジョン」という別の名称でした。
「1992年の分岐点」——ここが混乱のすべての原因
〜1992年まで
フットボールリーグ・ファーストディビジョン
1888年創設の歴史あるリーグ。エバートン・アストン・ヴィラ・ノッティンガム・フォレストなど多くのクラブが黄金期を築いた
1992年〜現在
プレミアリーグ(Premier League)
テレビ放映権のビジネス化を背景に独立して誕生。この1992年以降の優勝のみが「プレミアリーグ優勝」としてカウントされる
1992年以前にどれだけリーグ優勝を重ねていても、それは「プレミアリーグの優勝」にはカウントされない——これが「意外なチームが未優勝」に見える原因です
プレミアリーグで優勝したことがあるのはたった7クラブ
1992-93シーズンから2024-25シーズンまでの33年間、プレミアリーグで優勝した経験があるクラブはわずか7クラブしか存在しません。現在プレミアリーグには20クラブが参加しており、下部リーグも含めた92クラブ体制の中で優勝できるのがいかに難しいかがわかります。
プレミアリーグ歴代優勝クラブ 優勝回数ランキング(2024-25シーズン終了時点)
| 順位 | クラブ名 | 優勝回数(PL) | 最後に優勝したシーズン |
|---|---|---|---|
| 1位 | マンチェスター・ユナイテッド | 13回 | 2012-13(ファーガソン最後のシーズン) |
| 2位 | マンチェスター・シティ | 8回 | 2023-24(史上初のプレミアリーグ4連覇) |
| 3位 | チェルシー | 5回 | 2016-17 |
| 4位 | アーセナル | 3回 | 2003-04(無敗優勝「インビンシブルズ」) |
| 5位 | リヴァプール | 2回 | 2024-25(スロット監督1年目) |
| 6位 | ブラックバーン・ローヴァーズ | 1回 | 1994-95(アラン・シアラー擁して優勝) |
| 6位 | レスター・シティ | 1回 | 2015-16(5000倍の奇跡「ミラクル・レスター」) |
※Wikipedia・Jリーグ公式などの公開情報をもとに作成。2024-25シーズン(リヴァプール優勝)終了時点
特筆すべきはリヴァプールです。フットボールリーグ時代に18回のリーグ優勝を誇る世界的名門でありながら、プレミアリーグ創設後は長らく優勝できず、初優勝が2019-20シーズンと実に30年近く待つことになりました。そして2024-25シーズンにアルネ・スロット監督のもとで2度目の優勝を達成しています。
プレミアリーグで優勝したことないチーム——注目クラブを徹底解説
トッテナム・ホットスパー——ビッグ6唯一のプレミアリーグ未優勝クラブ
トッテナム・ホットスパー プロフィール
| プレミアリーグ優勝回数 | 0回(未優勝) |
| フットボールリーグ時代の優勝 | 2回(1950-51、1960-61シーズン) |
| 「ビッグ6」での立ち位置 | マンU・マンC・リバプール・チェルシー・アーセナル・トッテナムで構成されるビッグ6の中で唯一プレミアリーグ優勝なし |
| 最も優勝に近づいた場面 | 2015-16シーズン、レスター・シティとの優勝争いで惜敗(2位)。最終的にレスターの「ミラクル優勝」の引き立て役に |
| CLの経験 | 2018-19シーズンにCL決勝に進出(リヴァプールに0-2で敗戦) |
| 欧州タイトル | 1984年UEFA杯(現EL)、2025年UEFAヨーロッパリーグを優勝。異なる2つの主要欧州タイトルを獲得した初のイギリスクラブ |
プレミアリーグの「優勝したことないチーム」の話題で最も頻繁に挙げられるのがトッテナム・ホットスパーです。マンチェスター・ユナイテッド、マンチェスター・シティ、リヴァプール、チェルシー、アーセナルとともに「ビッグ6」と称される6大クラブのひとつでありながら、1992年以降のプレミアリーグではリーグ優勝に手が届いていません。
特に語り継がれるのが2015-16シーズンのレスター・シティとの優勝争いです。残り数節まで優勝争いを演じましたが、最終的に5000倍の大穴と言われたレスターに逆転を許し、プレミアリーグ史上最大の「奇跡」の主役の座をレスターに譲ることになりました。このシーズンのことは「レスターの優勝は世界中を驚かせたが、それ以上にトッテナムが負けたことが話題になった」とも言われます。
エバートン——フットボールリーグ時代9回優勝の超名門が未優勝の理由
| プレミアリーグ優勝回数 | 0回(未優勝) |
| フットボールリーグ時代の優勝 | 9回(最後の優勝は1986-87シーズン) |
| なぜ未優勝に見えるか | 9回という輝かしい優勝歴はすべて1992年以前。プレミアリーグとしてはゼロ回カウント。「エバートンが優勝なし」に見えるのはそのため |
エバートンはイングランドのトップリーグで通算9回の優勝を誇る歴史的名門です。1892年のリヴァプールFC設立のきっかけを作ったクラブでもあり、ホームのグッディソン・パークはイングランド最古クラスのスタジアムとして知られています。しかしその9回の優勝はすべて1992年以前のこと。プレミアリーグ創設後は一度も優勝できていません。近年はついに長年使い続けたグッディソン・パークを離れ、新スタジアム「エバートン・スタジアム(ブラムリー・ムーア・ドック)」へ移転を果たしましたが、リーグ成績は残留争いが続いています。
アストン・ヴィラ——欧州制覇経験もあるのにプレミアリーグ未優勝
| プレミアリーグ優勝回数 | 0回(未優勝) |
| フットボールリーグ時代の優勝 | 7回(最後の優勝は1980-81シーズン) |
| 欧州での実績 | 1981-82シーズンにヨーロピアンカップ(現CL)優勝を達成。しかしこれも1992年以前の記録 |
| 近年の動向 | 2023-24シーズンにUEFA欧州リーグ(EL)に出場するなど復活傾向。プレミアリーグでも上位争いに加わっている |
アストン・ヴィラの歴史の豊かさは特筆に値します。フットボールリーグ時代に7回の優勝、さらに1982年にはUEFAチャンピオンズカップ(現在のCL)を制覇するなど、世界的な強豪として名を馳せました。しかし1992年以降のプレミアリーグでは最高が2位(1992-93シーズン)にとどまっており、一度も優勝できていません。2019年のオーナー交代によりクラブが復活の兆しを見せており、近年は上位争いに絡む力を取り戻しています。
ニューカッスル・ユナイテッド——「プレミアリーグで最も優勝に近づいた未優勝クラブ」
| プレミアリーグ優勝回数 | 0回(未優勝) |
| フットボールリーグ時代の優勝 | 4回(最後の優勝は1926-27シーズン) |
| 最も優勝に近づいた瞬間 | 1995-96シーズン、1月時点でマンチェスター・ユナイテッドに勝ち点12点差をつけて首位を独走。しかし終盤に失速し、最終的にユナイテッドに逆転を許した悲劇的なシーズン |
| サウジ資本の参入 | 2021年にサウジアラビアの政府系ファンドが買収。豊富な資金を背景に近年は上位を狙う強化が進んでいる |
ニューカッスルは「プレミアリーグで最も優勝に近づきながら逃したクラブ」として語り継がれます。1995-96シーズン、ケヴィン・キーガン監督のもとで強烈なアタッキングフットボールを展開し、アラン・シアラー(当時ブラックバーン)などが活躍。1月時点で首位を12ポイント差で走っていましたが、そこからまさかの失速。ファーガソン率いるマンチェスター・ユナイテッドに逆転を許し、まさに「指の間からすり抜けた優勝」として今も語り継がれています。
プレミアリーグ 優勝したことないチーム一覧(主要クラブ)
プレミアリーグ「未優勝」の主要クラブ一覧(現在または近年にプレミアリーグに在籍した強豪クラブ)
| クラブ名 | FL時代の優勝 | 特記事項 |
|---|---|---|
| トッテナム・ホットスパー | 2回 | ビッグ6唯一の未優勝。2025年ELを制覇、来季はCL出場 |
| エバートン | 9回 | FL時代の輝かしい歴史。最後の優勝は1986-87 |
| アストン・ヴィラ | 7回 | 1982年CL優勝という欧州制覇経験あり。最後のFL優勝は1980-81 |
| ニューカッスル・ユナイテッド | 4回 | 1995-96、12ポイント差から逆転を許した「悲劇のシーズン」 |
| ウェストハム・ユナイテッド | 0回 | フットボールリーグ時代も含めてリーグ優勝経験なし。FAカップ3回優勝 |
| ノッティンガム・フォレスト | 1回 | 1977-78のFL優勝。CL連覇(1979、1980)も1992年以前の実績 |
| ブライトン&ホーヴ・アルビオン | 0回 | 2024-25シーズンもプレミアリーグ在籍。近年は上位争いに食い込む |
※FL時代の優勝=フットボールリーグ(1992年以前)での優勝回数。これらはプレミアリーグの優勝にはカウントされない
「名門なのになぜ優勝できない」——プレミアリーグが難しい理由
プレミアリーグで優勝できるクラブがこれほど少ないのには、明確な理由があります。
上位と下位の実力差が小さい
プレミアリーグは「最も優勝するのが難しいリーグ」と言われるほど実力均衡。1位のクラブが20位のクラブに負けることも珍しくない。どのクラブにも勝ち点を落とすリスクがある
資金力の格差が拡大
テレビ放映権収入の増加により、特定の「金持ちクラブ」が質の高い選手を独占しやすくなった。マンU・マンC・リバプール・チェルシーの資金力と比べると、他クラブは構造的に不利
38試合の長丁場
38試合という長いシーズンで安定して勝ち続けることが必要。怪我・疲労・過密日程など「運」の要素もある。だからこそ「ミラクル・レスター」のような奇跡も生まれる
監督・選手の巡り合わせ
ファーガソン(マンU)、モウリーニョ(チェルシー)、グアルディオラ(マンC)のような名将が同クラブに長年在籍することが優勝の大きな鍵。ビッグ6でも監督問題を抱えると途端に低迷する
プレミアリーグ歴代優勝クラブの詳細——7クラブを深掘りする
マンチェスター・ユナイテッド(13回)——ファーガソン体制が生んだ圧倒的記録
プレミアリーグで最多13回の優勝を誇るマンチェスター・ユナイテッドの黄金期は、アレックス・ファーガソン監督の在任期間(1992-93〜2012-13)と完全に一致します。1998-99シーズンにはプレミアリーグ・FAカップ・UEFAチャンピオンズリーグの3冠も達成。ファーガソンが2013年に引退して以降、ユナイテッドはリーグ優勝から遠ざかっており、監督が安定しない時期が続いています。
マンチェスター・シティ(8回)——オイルマネーが変えたプレミアリーグの勢力図
かつては「マンチェスターの2番手」と言われたシティが一変したのは2008年のアラブ首長国連邦の投資家による買収から。潤沢な資金でスター選手を獲得し続け、ペップ・グアルディオラ監督のもとで2020-21シーズンから4連覇を達成。特に2017-18シーズンの勝ち点100は、プレミアリーグ史上最多勝ち点記録として残っています。
レスター・シティ(1回)——5000倍のオッズを覆した史上最大の奇跡
プレミアリーグ史上最も語り継がれる優勝は、間違いなく2015-16シーズンのレスター・シティです。ブックメーカーが設定した優勝オッズは驚異の5001倍。前シーズンは降格寸前の14位だったクラブが、日本代表の岡崎慎司も活躍したクラウディオ・ラニエリ監督体制のもと、残留争いが精一杯と予想されていたにもかかわらず、全クラブを驚かせる優勝を達成しました。この偉業は「ミラクル・レスター」と呼ばれ、スポーツ界全体の歴史的快挙として記憶されています。
Q&A——プレミアリーグ優勝クラブについてよくある疑問
Q1. リバプールは30年も優勝できなかったのに、なぜいつも強そうに見えるのですか?
A. リバプールはプレミアリーグ(1992年以降)での優勝が2019-20シーズンと2024-25シーズンの2回ですが、それ以前のフットボールリーグ時代には18回という歴代最多の優勝実績があります。またプレミアリーグ発足後もUEFAチャンピオンズリーグで2005年・2019年に優勝するなど欧州では結果を出していました。「プレミアリーグ優勝が少ない」という事実と「総合的に強いクラブ」という印象のギャップがこの疑問を生んでいます。
Q2. トッテナムはビッグ6なのに、なぜプレミアリーグで優勝できないのですか?
A. トッテナムが「ビッグ6」に数えられる理由は、リーグ優勝回数よりも「ファンベースの大きさ」「歴史的実績」「収益規模」にあります。プレミアリーグ優勝という点では、資金力・スカッドの安定性・優秀な監督の長期在任という3点で他のビッグ6に及ばない時期が続いてきました。ただし2025年にはUEFAヨーロッパリーグを制覇し、来季のCL出場権も獲得。クラブの再建が進んでいます。
Q3. プレミアリーグで一番「優勝に近づきながら逃したシーズン」は?
A. 2つの有名なエピソードがあります。ひとつは前述のニューカッスルの1995-96シーズン(12ポイント差からの逆転負け)。もうひとつは2018-19シーズンのリヴァプールで、勝ち点97という歴史的な数字を記録しながらも、マンチェスター・シティが98ポイントで優勝。「本来なら絶対に優勝できる成績を残したのに2位に終わった」という意味では、リヴァプールの2018-19も非常に印象的なシーズンです。
まとめ——「優勝したことないチーム」を知ることでプレミアリーグがより面白くなる
この記事のポイントまとめ
| プレミアリーグ優勝クラブ数 | 7クラブのみ(1992年〜2024-25シーズン) |
| 1992年の分岐点 | それ以前の「フットボールリーグ優勝」はプレミアリーグの優勝にカウントされない |
| 注目の未優勝クラブ | トッテナム(ビッグ6唯一)、エバートン(FL9回優勝)、アストン・ヴィラ(CL優勝経験)、ニューカッスル(12ポイント差で逆転負け) |
| 最多優勝 | マンチェスター・ユナイテッド(13回)。ファーガソン体制が黄金期を築いた |
| 最も印象的な優勝 | レスター・シティ(2015-16)。5000倍のオッズを覆した「ミラクル・レスター」 |
| 直近優勝(2024-25) | リヴァプール。アルネ・スロット監督就任1年目でプレミアリーグ通算2度目の優勝 |
プレミアリーグで優勝したことないチームの多くは、実は長い歴史の中で輝かしい実績を持つ名門クラブです。「1992年という分岐点」を知ることで、エバートンやアストン・ヴィラの偉大さも、トッテナムの「ビッグ6なのに未優勝」という不思議も、すべての疑問がクリアになります。試合を観るとき、「このクラブはプレミアリーグで優勝したことがあるのか」という視点を加えてみると、33年の歴史とドラマがより鮮明に見えてきます。
フットボール戦士 
