2026年のFIFAワールドカップ(カナダ・アメリカ・メキシコ共催)において、日本代表を現地スタジアムで応援したいファンにとって、最大の関心事の一つが「観戦にかかる費用はいくらなのか?」ということでしょう。
初の3か国共催・48か国参加となる大会だけに、渡航や宿泊など費用面の計画は入念に準備する必要があります。
本記事では、2026年W杯を現地観戦するために必要な旅行費用の内訳とポイントを、過去大会のデータや公式情報をもとに詳しく解説します。


日本から北米(アメリカ・カナダ・メキシコ)への航空券代は、ワールドカップ観戦費用の中でも大きな割合を占めます。大会開催時期の2026年6~7月は夏休みシーズンとも重なり渡航需要が高まるため、航空券代は平常時より割高になる傾向があります。
2025年時点で、日本発北米主要都市行きエコノミー往復航空券は概ね15~20万円前後+燃油サーチャージが相場です。
しかし近年の燃油価格高騰によりサーチャージが非常に高く、往復で追加10万円程度かかるケースも多発しています。
その結果、渡航費は合計25~30万円程度になることが想定されます。
為替レートにも注意が必要です。例えば1ドル=100円だった時期に比べ、1ドル=150円前後の歴史的円安水準では、同じ航空券でも実質5割増しの費用がかかる計算になります。
2024年時点で1ドル=150円近くまで円安が進行しており、旅行予算に大きく影響しています。円安は痛いですが、1ドル=100円だったとしてもアメリカの物価自体が高く、ビール一杯約2000円(※1ドル=100円換算)という状況なので、物価高の影響も無視できません。
日本から北米への渡航費は往復で航空券と燃油サーチャージを含めておおよそ25万円~30万円程度と予想されます。

現地での宿泊費も観戦費用の中核です。2026年大会は北米16都市で開催されますが、開催都市の物価や宿泊施設数によってホテル料金の相場は大きく異なります。さらに大会期間中は需要増で価格高騰が予想されます。

ニューヨークやロサンゼルス、サンフランシスコなど大都市では通常時でも1泊あたり200~300ドル(約3~4万円)程度の宿泊費が一般的です。
一方、ダラスやカンザスシティなど内陸部では100~150ドル(1.5~2万円)程度で泊まれるホテルもあります。
メキシコやカナダの開催都市(メキシコシティ、グアダラハラ、モントリオール等)は、北米の中では比較的割安な傾向ですが、それでも大会期間中はかなり高騰するでしょう。
大会中は世界中から観客が押し寄せるため、ホテル代が通常の2~5倍に跳ね上がることも珍しくありません。
実際にW杯観戦経験者は「試合前日と当日のホテルは普段の5倍くらいする。普段1万円しないホテルが5万円くらいになる」と証言しています。
ニューヨーク(マンハッタン)のホテルは通常時でも最低3万円ほどが当たり前ですが、W杯需要で「ワールドカップ価格」になれば一体いくらになるのか、と戦々恐々との声もあります。
開催地が地方都市でホテルの絶対数が少ない場合、満室で予約が取りづらくなる懸念もあります。
都市によって事情も様々です。例えば、ロサンゼルスやサンフランシスコは物価が高い反面、都市圏が広く郊外も含めホテル数が多いため、予算や場所の選択肢が比較的あります。
一方、メキシコシティやモントリオールなど海外からの旅行者に人気の都市は、手頃なホテルは早期に埋まる可能性が高いです。
また、ニューヨーク/ニュージャージー(決勝開催地)のように超大都市圏では郊外(例:ニュージャージー側)に宿を取ることで都心より安く抑えることも検討できます。
ホテル代高騰への対策として、Airbnb(民泊)やホステル(簡易宿)の活用も有効です。
大会期間中、開催都市の住民が自宅の空き部屋を貸し出すケースも増えるとみられます。
価格はホテルより割安な傾向ですが、信頼できるホストか、立地は安全か等の確認が必要です。
またホステルは相部屋タイプなら1泊数千円~1万円程度で済む場合もあります。ただしこれら代替宿泊も需要増で価格上昇や満室が予想されるため、早めの予約が肝心です。
開催都市によってバラつきがありますが、一般的なホテル相場は1.5万円~4万円程度です。ただし、W杯期間は価格高騰が予想され、通常価格の2~5倍となる可能性もあります。仮に2倍とした場合、宿泊費の相場は1日あたり「3万円~8万円程度」となります。
ただし、前述したようにAirbnbやホステルの活用、スタジアムから離れたホテルの活用などで費用を抑えることもできます。

試合観戦チケットの価格は席種や試合のステージによって大きく異なります。現時点でチケット価格は未確定ですが、過去の大会からおおよその予想レンジがでています。
直近の2022年カタール大会では、グループリーグの一般向けチケットは約70ドル~220ドル(日本円で約9千円~2万8千円)程度の価格帯でした。
これはカテゴリー3(比較的安価な席)からカテゴリー1(メインスタンド中央など最高席種)までの範囲です。
大会が進むほどチケット代も上昇します。2022年大会では、ラウンド16で約19ドル~275ドル(約4万円)、準々決勝で約82ドル~426ドル(約6万円)、準決勝では約137ドル~956ドル(約14万円)という幅でした。
そして決勝戦のチケットはカテゴリー1で約1,607ドル(約23万円)にも達し、史上最高額となりました。
実際、カタール大会の決勝戦チケットは2018年ロシア大会に比べ約46%も値上げされたと報じられています。このように決勝や人気カードほど高額になる点に注意が必要です。
公式発表前ではありますが、予想では「北中米大会ではチケット価格がさらに値上げされる可能性が高い」とされています。
為替レート次第ですがグループリーグの価格帯はカテゴリー3で1万円強、カテゴリー2で3万円弱、カテゴリー1で4万円程度と見込んでおくのが良いといいます。
決勝戦についてはカテゴリー1で20万円超(約23万円)を覚悟する必要があるかもしれません。
FIFAは値下げすることはほとんどなく値上げ傾向であることも踏まえ、事前にショックを和らげる意味でも高めの予算設定をしておくのが無難でしょう。
チケット代はグループリーグで1万円~4万円程度、決勝トーナメントで4万円~23万円程度を予想しています。


2026年大会は三か国にまたがる広大なエリアで試合が行われるため、試合間の移動費も無視できません。
日本代表を追いかけて複数都市を転戦する場合、国内線航空券代や長距離鉄道・バス代、レンタカー代などが追加で発生します。
また移動に伴う所要時間も大きいので、スケジュール面と合わせて費用を考えましょう。
アメリカ国内の都市間移動は主に国内線飛行機が中心です。
距離によりますが、例えばニューヨーク~マイアミ間のように約2時間半のフライトであれば通常時は片道100~200ドル程度からあります。
しかし大会時期は国内線も需要増で値上がりする可能性があります。西海岸内(ロサンゼルス~サンフランシスコなど)は飛行機で1時間強、バスや鉄道でも半日程度で移動可能です。
鉄道はアムトラック(※米国鉄道)は東海岸のボストン~ニューヨーク~フィラデルフィア~ワシントンD.C.間など一部区間で高速路線がありますが、他地域では長時間かかるため現実的には空路移動が主力となるでしょう。
都市間だけでなく、開催都市内での移動費も考慮しましょう。多くのスタジアムは郊外に位置するため、現地での交通手段として地下鉄・バスなど公共交通機関や、ライドシェア(Uber等)、タクシーを利用することになります。
開催都市によっては試合日にシャトルバスが運行されたり、公共交通が無料になる施策がとられる場合もあります(詳細は開催都市の公式情報を確認)。
予算的には、公共交通なら1回数ドル程度、Uber等は距離次第で20~50ドル以上見ておきましょう。レンタカーは都市間移動では有効ですが、市内では駐車場や渋滞の問題もあるため、無理に借りなくても大丈夫です。
日本代表の試合日程(開催都市)によって移動費は大きく変動します。移動が少ない組み合わせに入れば負担減、逆に移動距離が長い組だと費用増になります。いずれにせよ、都市間移動用に数万円~十数万円の予備費を計上し、時間にも余裕を持った計画が重要です。

渡航費 | ・東京~ロサンゼルス往復直行便(エコノミー) ・約25万円(早期購入・サーチャージ込) |
宿泊費 | ・ロサンゼルス市内ホテル4泊(試合前後含む) ・約15万円(1泊3.5万円×4泊想定) |
チケット代 | ・グループリーグ日本戦・カテゴリー2 ・約3万円 |
現地交通 | ・空港~市内往復移動・試合当日のスタジアム往復 ・約1万円(Uber利用想定) |
食費・雑費 | ・滞在中5日分(1日あたり1万円程度) ・約5万円 |
合計 | 約49万円 |
おおむね50万円前後が1試合観戦の目安です。これはあくまでモデルケースですが、航空券と宿泊が大半を占めています。
渡航費 | ・東京~ロサンゼルス往復直行便(エコノミー) ・約25万円(早期購入・サーチャージ込) |
宿泊費 | ・ロサンゼルス2泊+サンフランシスコ5泊 ・約35万円(LA:1泊3.5万×2、SF:1泊5万×5 値上がり想定) |
チケット代 | ・日本戦3試合分(グループリーグ) ・約9万円(1試合3万円×3試合) |
都市間移動 | ・ロサンゼルス→サンフランシスコ移動(飛行機またはレンタカー等) ・約2~3万円 |
現地交通 | ・都市ごとの空港~市内移動、スタジアム移動等 ・約2万円 |
食費・雑費 | ・滞在期間約8日分 ・約8万円 |
合計 | 約81~82万円 |
80万円前後が3試合観戦の目安となります。
宿泊日数が増え、都市間移動費やチケット代も3倍になるため、1試合だけの場合と比べ費用は約1.6倍に膨らんでいます。
こうした試算からも分かるように、観戦試合数を増やすと費用は比例以上に増加します。特にグループリーグ全戦+決勝トーナメントも現地で…となると滞在期間が2~3週間以上に及び、総額100万円超も視野に入るでしょう。
実際、W杯を過去に現地観戦したファンの中には「最低でも100万円は貯めておかないと厳しい」という声もあります。
また別の試算では「2~3試合観戦で約40万~80万円、円安や物価上昇も踏まえ150万円以上の予算を見込んでおくと良い」との意見もあります。
もちろん工夫次第で節約は可能ですが、観戦数が多いほどそれなりの出費を覚悟する必要があります。
もちろん、これらの試算は「必要最低限の費用」であり、実際にはこの金額よりも余裕をもった予算が必要となります。

上記のようにワールドカップ現地観戦は何かと費用がかさみますが、事前の工夫次第で賢く節約することも可能です。
ここでは、経験者の知見も踏まえた7つの節約術を紹介します。
航空券は早期購入割引やセール運賃を狙いましょう。
特典航空券(マイル)を使うのも有効です。また、JAL・ANA直行便にこだわらず海外系航空会社やLCCを選ぶと燃油サーチャージが抑えられ総額で10万円近く安くなる場合もあります。
例えばエアカナダやユナイテッド航空、JAL系LCCのZIPAIRなどは割安なことが多いです。経由便も検討し、スカイスキャナー等で複数ルートの料金を比較しましょう。
ホテル代が高騰する開催都市では、Airbnb(民泊)やユースホステル、モーテルなどを活用して宿泊費を節約できます。
大会期間中だけ部屋を貸し出すホストも多く出るため、定期的にAirbnbをチェックすると掘り出し物が見つかるかもしれません。
ホステルは相部屋ドミトリーなら1泊数千円~と割安です。
ただし治安や清潔さのリスクもあるため、口コミをよく読み、女性のみの部屋を選ぶ等の配慮をしましょう。グループで行くなら宿泊費をシェアできるレンタルハウスやアパートメントを借りるのも有効です。
チケット代は節約しづらい部分ですが、少なくとも公式抽選や先着販売で定価購入を目指すことで無駄なプレミア価格を避けられます。
焦って高額転売に手を出さないようにしましょう。また、決勝などを諦めグループリーグ中心に観戦する、カテゴリーを下げて購入するといった予算内で楽しむ工夫も必要です。
渡航先でスマホを使う場合、日本の通信会社の国際ローミングは高額なので現地プリペイドSIMかeSIMを利用すると安く済みます。
アメリカやカナダでは空港や街中で旅行者向けSIMが購入できますし、事前にAmazon等でSIMカードを買っていくのも手です。
データ通信無制限で10日間で3000円程度のプランもあります。複数人で行くならモバイルWi-Fiルーターのレンタルを日本で借りて持っていき、シェアするのも経済的です。
長距離の移動は時間と費用のトレードオフです。時間に余裕があるなら長距離バス(GreyhoundやFlixBus等)や鉄道を使えば飛行機より安く移動できます。
例えばニューヨーク~ボストン間のバスは片道20~30ドル程度です。また、東海岸の主要都市間は鉄道アムトラックの「ノースイーストリージョナル」でお得な運賃もあります。
レンタカーはガソリン代を含めると安くはないですが、3~4人で割り勘すれば一人当たりは抑えられ、さらに移動中に観光も楽しめます。
ただし一部の州では若年層追加料金や乗り捨て料金がかかるので注意してください。
現地での食事は外食中心だと高額になりがちです。
スタジアム内のビール1杯が16~20ドル(約2000~3000円)という事例もありますので、飲みすぎ買いすぎ注意です。
節約のためには、地元スーパーやフードコートを活用し、惣菜やサンドイッチで済ませる日も作る、飲み物は持ち込み可能な範囲で持参するといった工夫をしましょう。
また、水筒やボトルを持参し水を補給すれば、ペットボトル飲料を毎回買う無駄を省けます。
為替レート次第ではありますが、円安が続く場合は有利なタイミングでドルを先に両替しておくのも手です。
例えばレートが少し円高に振れた時に旅行資金分の米ドルやカナダドルを買っておけば、その後円安になっても影響を抑えられます。
現地では基本クレジットカード決済が便利ですが、海外利用手数料の低いカードを選ぶ、あるいはWiseなどのデビットカードを用意すると為替コストを抑えられます。
キャッシュレス派でもチップ用や非常時用にある程度現金も持参しましょう。
上記のような節約術を駆使すれば、合計で数十万円規模のコストカットも夢ではありません。特に航空券と宿泊の工夫が効いてきます。「安く上げるところは上げ、その分どうしてもかかるチケット代に回す」というメリハリも大事です。安心・快適さとのバランスも考え、自分に合った節約術で賢くワールドカップ観戦を実現しましょう。

2026年ワールドカップの現地観戦費用について、渡航費・宿泊費・チケット代から移動費、節約術まで幅広く解説してきました。改めてポイントを振り返ると以下の通りです。
- ワールドカップ 観戦費用は観戦試合数や開催地によって大きく変動します。平均的な日本人ファンの場合、50万~100万円前後の予算を見込むケースが多そうです。
- 渡航費は早期予約とルート工夫で最適化しましょう。為替レートにも注目し、円安傾向では多めに見積もって安全です。
- 宿泊費は開催都市によってまちまちですが、大会中は通常の数倍になる覚悟が必要です。予約競争に勝つために早めの確保と代替案の検討を忘れずに行いましょう。
- チケット代は席種と試合で上下しますが、日本戦中心なら数万円~、決勝などビッグマッチは数十万円の世界です。公式ルートで確実・安全に入手しましょう。
- 移動費は3か国共催ならではの出費項目です。できれば同一地域で固まることを祈りつつ、余裕を持った移動プランを組んでください。
- 節約術を駆使すれば、かなりのコストダウンが可能です。航空券・宿・現地移動・通信など各方面で工夫し、無理なく予算内に収めましょう。
- 観戦ツアーは安心料と割り切って、必要に応じて検討を。費用に見合う価値があるか、自分に問いかけてみてください。
サッカーファンにとって憧れのW杯現地観戦は、決して安い旅ではありません。
しかし、事前に情報を集め計画を練れば不可能な夢ではないこともご理解いただけたかと思います。
過去には「会社を辞めてでも日本代表の勇姿を目に焼き付けた」という熱いファンもいましたが、幸い今は有給休暇やリモートワークも活用しやすい時代です。
金銭面・スケジュール面の両方で早め早めの準備を心がけ、ぜひ 2026年ワールドカップを現地で体感する夢を叶えてください。