近年、SNSやネット掲示板で「Jリーグはオワコン(終わったコンテンツ)」という声が聞こえてきます。
1993年の開幕当初は日本サッカー界に革命をもたらし、熱狂的なブームを巻き起こしたJリーグですが、今ではその勢いが衰えたと感じる人も少なくありません。
しかし、果たして本当に「オワコン」なのでしょうか?この記事では、Jリーグの現状を多角的に分析し、その課題と可能性を明らかにしていきます。

かつてJリーグは地上波テレビで頻繁に放送され、試合のハイライトや選手のインタビューが多くの家庭に届いていました。
しかし、現在はDAZNなどの配信サービスが主要な視聴手段となっています。スポーツ庁の調査によれば、2023年のJリーグのテレビ視聴率は野球や他のスポーツに比べて低下傾向にあります。
配信サービスは熱心なファンには便利ですが、カジュアルな視聴者にとっては視聴のハードルが高く、結果として一般層へのリーチが減ってしまいました。このメディア環境の変化が、Jリーグの認知度低下の一因と考えられます。
Jリーグから輩出される若手選手の活躍は目覚ましく、三笘薫(ブライトン)や久保建英(レアル・ソシエダード)のように、海外で成功を収める選手が増えています。
これは日本サッカーのレベル向上を示す嬉しいニュースですが、Jリーグにとってはスター選手の不在という課題をもたらしています。
2024年シーズンでも、有望な若手がシーズン途中で海外クラブに移籍するケースが見られ、リーグ全体の魅力が薄れるとの声もあります。若手選手の早期流出は、Jリーグの競技レベルや注目度に影響を与えているのです。
Jリーグが「オワコン」と言われる背景には、海外リーグとの比較も大きく影響しています。プレミアリーグやラ・リーガは、世界最高峰の選手が集まり、毎週のように劇的な試合が展開されます。日本でもDAZNやWOWOWで簡単に視聴でき、若者を中心に「海外サッカーこそ本物」という意識が広がっています。
例えば、2023年のプレミアリーグの日本での視聴者数はJリーグを大きく上回り、特にマンチェスター・シティやリヴァプールの試合が注目を集めました。
一方、Jリーグは競技レベルやエンターテインメント性で海外に劣ると見られがちです。SNSでは「Jリーグよりプレミアの方が面白い」「海外見ちゃうとJは物足りない」という声が飛び交い、相対的な魅力の低下が「オワコン」という評価に繋がっているのです。
まあ、JリーグさんもJリーグさんで開幕戦すら地上波中継できないんだからオワコンだよね
— じゅげむじゅげむ (@jun1_0803) February 14, 2025
いくら外資が入ってこようとJリーグを仕切ってる人間達のアマチュア根性がのさばってる限りはオワコンのままでしょ。
— guyguysoo (@AntiAoitori) February 15, 2024
今回の町田含め地上波に取り上げられるのはマイナスなニュースばかりでほんとオワコンなJリーグ、過度な管理主義がこの一端を担っていることを考えてほしいわ。
— YSG (@YSG_22) October 15, 2024
Jリーグはオワコン。時代はヨーロッパリーグ
— あくえ (@aqueway) March 16, 2024
やっぱりJリーグって興行とかビジネスとしてはオワコンなんよな。
— せーちゃん (@vissel_s10) November 28, 2023
サッカーをビジネスやと思うなって意見もあるけど、ビジネスとして見なあかんのは当たり前よな。
ビジネスとして上手くいくから、選手に金払えて、良い選手が来てくれてリーグが盛り上がるし、新スタとかもできてく訳で。 https://t.co/sj9G7oi5a8
Jリーグの試合前シュート練習にJリーグオワコン化の一つの要因が隠れていると聞いたので見てみたら、確かにお膳立てされた状態にもかかわらずシュート枠外に外し過ぎだな。このレベルの低さがファン数増加率低迷の原因になっているとの話は本当らしい。
— ふもふも早苗@本垢入れ替えました (@humohumogame) July 5, 2024
しかしアレが首位なんだからなぁ。Jリーグオワコンって言われてもしゃーなしですわ。
— うめぽん🤖 (@umepon0080) September 21, 2024
Jリーグはオワコン、もう良くない方向に向かいすぎてるし
— ひろ@・×・🐰 (@hiroreds_0527) February 22, 2025
普通に浦和もこのままだととんでもない事になるからまぁやばいってのが感想
改善どうこう不安も通り越して怖いまでに達してる
Jリーグとかオワコンすぎるやろ。
— くりケバ🌰 (@zbT1v0NofbRVArL) June 13, 2024
首位のチームが大学生に負けて、ネチネチしてるってやば😂 https://t.co/DSG7rf8eBT
jリーグオワコンです
— ムラ (@kuma_no_esa) July 24, 2024
シーズン半分で主力抜かれまくるリーグほんまつまらん
リーグ自体の価値が低すぎる

ここまで「オワコン」と言われる理由を見てきましたが、はたして本当にオワコンなのでしょうか?
実は、Jリーグの入場者数はオワコンどころかむしろ年々増えてきているのがわかります。例えば、2024年の総入場者数は過去最多の1,254万人を記録しました。
以下はJリーグ公式試合の年間入場者数の推移です。
2024シーズンは、Jリーグ公式試合における年間総入場者数が12,540,265人となり、これまで最多だった2019シーズン(11,043,003人)を超えて記録を更新した。
また、明治安田Jリーグ(J1・J2・J3)の総入場者数が11,932,080人となり、リーグ戦の入場者数のみで、イレブンミリオン(1,100万人)を超える結果となった。
カテゴリー別に見ると、J1:7,734,871人、J2:2,913,415人、J3:1,283,794人となり、平均入場者数は前年比でJ1:107%、J2:111%、J3:112%と、全てのカテゴリーで上回った。
J1最終節では、1節あたりの合計入場者数が初めて30万人を超える302,381人となり、平均3万人を超える盛況となった。なお、Jリーグ公式試合以外(明治安田Jリーグワールドチャレンジ、Jリーグインターナショナルシリーズ、AFCチャンピオンズリーグ)も含めた総入場者数は、12,891,547人と1,300万人に迫る数値となった。
この推移から、コロナ禍で大きく落ち込んだ観客動員が、2022年以降急速に回復し、2024年には過去最高を更新したことがわかります。特にJ1の人気クラブや地域密着型クラブの貢献が大きく、リーグ全体の底上げが感じられます。
もし本当にオワコンであれば入場者数は年々減っていくはずですが、そうなっていないということはJリーグはまだまだオワコンではないと言える重要な根拠の一つです。
クラブ名 | 平均観客数 | 最大観客数 | 最小観客数 | 試合数 |
---|---|---|---|---|
浦和レッズ | 37,518.5 | 55,184 | 16,787 | 19 |
FC東京 | 33,224.9 | 57,885 | 15,828 | 19 |
名古屋グランパス | 27,650.4 | 40,498 | 10,083 | 19 |
ガンバ大阪 | 26,096.4 | 34,653 | 16,021 | 19 |
サンフレッチェ広島 | 25,609.4 | 27,545 | 22,774 | 19 |
横浜F・マリノス | 24,842.6 | 47,926 | 8,504 | 19 |
鹿島アントラーズ | 23,026.7 | 52,860 | 11,848 | 19 |
アルビレックス新潟 | 22,430.3 | 33,885 | 13,368 | 19 |
ヴィッセル神戸 | 21,811.3 | 49,541 | 10,961 | 19 |
川崎フロンターレ | 21,076.3 | 23,603 | 18,318 | 19 |
東京ヴェルディ | 20,976.2 | 53,026 | 10,060 | 19 |
セレッソ大阪 | 17,903.3 | 21,962 | 11,040 | 19 |
FC町田ゼルビア | 17,609.7 | 48,887 | 5,240 | 19 |
北海道コンサドーレ札幌 | 17,085.5 | 26,677 | 7,702 | 19 |
ジュビロ磐田 | 13,817.4 | 32,995 | 8,355 | 19 |
京都サンガF.C. | 13,535.3 | 20,323 | 6,569 | 19 |
柏レイソル | 12,070.4 | 14,472 | 7,530 | 19 |
湘南ベルマーレ | 11,315 | 13,192 | 6,803 | 19 |
サガン鳥栖 | 9,800.3 | 17,563 | 5,886 | 19 |
アビスパ福岡 | 9,698.5 | 17,161 | 5,472 | 19 |
2024年シーズンの観客動員数ランキングでは、浦和レッズがJ1トップを維持しました。平均3万人以上を動員し、サポーターの熱狂的な応援がスタジアムを埋め尽くしています。FC東京も安定した人気を誇り、平均3万人以上の観客を集めています。
J2では清水エスパルスが異例の5万人超を記録した試合もあり、カテゴリーを問わず高いポテンシャルを持つクラブが存在します。これらのクラブは、都市部の立地や歴史的なサポーター文化を背景に、Jリーグの牽引役となっています。
2部リーグで5万人超えって今までに聞いたことないんですけど。(笑)
— 紫風-Shifuu-🟣🐦🔥@0円ゲーフラの奴 (@shifuu_passion3) September 28, 2024
J2でこれだけ人数が集まるのなら、Jリーグはまだまだ捨てたもんではないな。
誰やねん、Jリーグオワコンとかほざいていた奴は。
すげーぞ、Jリーグ。
面白いぞ、Jリーグ。#Jリーグ#J2最多入場者数#満員御礼#伸びしろですねぇ pic.twitter.com/SwccSU4PCW
53026人!!
— MissionSportsCEO満田#MSBS ビジネススクール主宰:バルサ電通JFAで働いたCEO (@MissionSportsJ) February 25, 2024
ヴェルディ対マリノス
素晴らしい👍 pic.twitter.com/Nq2H0Pu3yX
10年くらい前までは「Jリーグはメディアで話題にもなってない。もうオワコン」「プロ野球の視聴率は落ちる一方。未来なし」などと罵りあうネット文化があったけど、いま、Jリーグとプロ野球はともに歴代最高レベルの観客数を記録するようになっているのは、なんとも興味深いところである。
— Acogi-P (@AcogiP) February 13, 2025
👏👏👏👏👏
— 24時💙🖤 (@24hour_gamba) December 8, 2024
誰だよ、Jリーグはこのまままだとオワコンだと言うてのは? https://t.co/KHx5pT1Cud
【御礼】2025明治安田Jリーグ
— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) February 16, 2025
開幕節(第1節)における最多入場者数を更新!🎉
これまでの開幕節の過去最多であった2017年の入場者数を超えて、360,186人と最多入場者数を更新しました!
皆さま、誠にありがとうございます✨️
今シーズンもJリーグをよろしくお願いいたします!🤝#Jリーグ開幕 pic.twitter.com/yH9Yv4A7zu
Jリーグって実は今季が史上最多入場者数なんですよね。人気が落ちてるどころか今までにないくらい人気が上がっているわけでして。まあJリーグって観てて面白いよおすすめ。
— リベロの河童 (@39ft) November 26, 2024

若年層を取り込むためには、試合の「タイパ(タイムパフォーマンス)」を意識した改革が必要です。
例えば、試合時間を短縮する実験や、ハーフタイムにエンターテインメント性を加える工夫が考えられます。VARの運用をスムーズにし、ルールを簡略化することで、初心者にもわかりやすい試合運営を目指すべきです。
これにより、サッカー未経験の若者や家族連れが気軽にスタジアムに足を運べる環境が整うでしょう。
SNSを活用したプロモーションは、今後のJリーグに欠かせません。TikTokやYouTube Shortsでのハイライト動画配信、選手の日常を発信するコンテンツを増やすことで、若者へのリーチが拡大します。
2025年からは、無料配信キャンペーンやインフルエンサーとのコラボを強化し、カジュアル層への訴求を図るべきです。
DAZNとの連携で、試合の冒頭10分を無料公開するような施策も、新規ファンの獲得に繋がるでしょう。
若手選手の流出を抑えるには、Jリーグでの出場機会と報酬を充実させることが重要です。
例えば、若手選手の起用を義務付けるルールや、Jクラブと海外クラブのパートナーシップを強化し、帰国後のキャリアパスを明確化する取り組みが考えられます。
育成クラブへの報奨金制度を拡充すれば、若手を育てつつリーグに残すインセンティブが生まれます。これにより、国内でのスター選手の定着が期待できるでしょう。
ファンとの距離を縮める取り組みも重要です。スタジアム外でのイベントや選手との交流会を増やし、サポーターとの絆を深めましょう。
デジタル技術を活用したバーチャル観戦体験や、シーズンチケット購入者向けの特典拡充も効果的です。
地域イベントとの連携で、家族連れや新規ファンを取り込む機会が増えれば、スタジアムの賑わいも一層増すでしょう。

- Jリーグは本当に人気がないのですか?
- 一部で人気低迷が指摘されますが、2024年の総入場者数は過去最多の1,254万人を記録しました。人気はクラブや地域によって異なり、「オワコン」と一概には言えません。
- 若手選手の海外流出はどうやって止めればいいですか?
- 全に止めるのは難しいですが、国内での出場機会や待遇を改善し、地域との結びつきを強化することで、Jリーグに残る魅力を高めることが大切です。
- 昇格降格制度は廃止すべきですか?
- 廃止については意見が分かれますが、若手起用で降格免除などの柔軟な運用を導入すれば、クラブ経営の安定とリーグの活性化が両立できるかもしれません。

Jリーグはメディア露出の減少、若手選手の流出といった課題に直面していることは事実です。しかし、2024年の観客動員数が過去最多を記録し、地域密着クラブの成功や若手選手の活躍など、明るい兆しも多く見られます。
「オワコン」と呼ぶには早計であり、リーグにはまだ大きな潜在力があると言えるでしょう。
Jリーグが更に輝くためには、試合運営の改革、メディア戦略の強化、育成システムの充実、ファンとの交流促進が欠かせません。2025年以降、これらの施策が実行されれば、サッカー文化の担い手として、また地域の誇りとして、Jリーグは新たな黄金時代を迎える可能性があります。ファンの声に耳を傾け、未来を切り開く一歩を踏み出してほしいと願っています。