サッカーボールに座ると怒られるのはなぜ?古い価値観と現代的な視点

「サッカーボールに座るのはよくない」と指導者やコーチから言われた経験がある人も多いと思います。

しかし、なぜサッカーボールに座るのはよくないのでしょうか?そもそもサッカーボールに座ってはいけないという考え方は合っているのでしょうか?

本記事ではサッカーボールに座るということの是非について解説していきます。

「サッカーボールに座るのはよくない」と言われてきた3つの理由

「サッカーボールに座るのはよくない」と、昔からコーチたちが口をそろえて注意してきたのには、いくつかの理由があります。特に日本のサッカー文化では、ボールを大切に扱う精神やチーム全体の安全管理が重視されてきました。ここでは、そうした伝統的な指導の背景にあるポイントを整理してみましょう。

①道具を大切に扱う意識を持たせるため

サッカーにおいて「ボールは相棒であり、神聖なもの」という考え方は、世界的にも浸透しています。昔のコーチたちが選手に強く指導していたのは、単に「座る」という行為が見た目としてよくないからだけではありません。

ボールを乱雑に扱うことは、サッカーへのリスペクトが欠けていると見なされることがあるためです。かつて革製のボールは現代の合成皮革ほど頑丈ではなく、高価でもありました。大事な練習用具がダメになればチーム全体の練習計画に支障をきたす恐れもあり、なおさら「座らないように」という指導が徹底されていたわけです。

②ボールの変形・パンクのリスクを減らすため

体重をかけて座ることで、空気圧のバランスが崩れたり、縫い目に負担がかかったりします。特に昔はボールの質が今ほど高くなかったため、余計に破損しやすかったのです。破れたボールは使いものにならず、チームの備品管理にも大きな痛手となります。

③転倒によるケガのリスクを減らすため

サッカーボールはバランスボールほど大きくはありません。そのため、思わぬタイミングでバランスを崩して転倒してしまうケースが考えられます。捻挫や打撲、腰を痛めるなどの事故を未然に防ぐ意味でも、コーチは「座らないように」と注意してきた背景があります。

「サッカーボールに座るのはよくない」に対する現代的な視点

昔は「サッカーボールに座るなんてあり得ない」と敬遠されていた行為も、現在では必ずしも一概に否定されなくなってきました。背景には、ボールの素材や品質が向上したこと、フィジカルトレーニングの観点が大きく変化したことなどが挙げられます。以下では、そうした現代的な視点を通じたサッカーボールへのアプローチを見ていきましょう。

素材の進化による破損リスクの低減

かつては本革製のボールが一般的でしたが、現在は合成皮革(PU素材など)が主流です。これらの素材は水分や衝撃に強く、破れや変形が起きにくい構造になっています。

また、現在のボールはバルブ部分の設計が改良されており、エアポンプで適正な空気圧を保ちやすくなっています。適度に空気を抜いておけば、体重負荷をかけても一瞬で破損する可能性は昔に比べて下がりました。

その為、人間の体重がかかったくらいではボールが変形したり、パンクしたりする破損リスクはかなり小さくなったことから、破損リスクを理由とした「座ってはいけない論」は昔の考え方になりつつあります。

体幹トレーニングとしてあえてボールに座ることも

体幹トレーニングの知識や技術の普及によってボールに座る行為自体がトレーニングとして活用される事例もあります。

フィットネスやスポーツ科学の分野では、「不安定なものに乗るとコア(体幹)に強い刺激が入る」ことが実証されています。サッカーボールはバランスボールほどの安定感はなく、むしろ小さい分難易度が上がるため、短時間で体幹を鍛えやすいとされています。

ボール上に座り、背筋や腹筋を意識しながら骨盤を動かすエクササイズは、リハビリや腰痛予防にも取り入れられるケースがあります。ボール一つで簡単にチャレンジできるため、自宅でのトレーニング手段として注目されています。

「サッカー選手としてのマナー」に対する価値観の変化

「サッカーの練習・試合で使うボール」は神聖視する一方、「体幹トレーニング用ボール」という別カテゴリーの道具として割り切る考え方も生まれています。サッカー部やクラブチームの中には、専用のトレーニングボールを用意して、練習に使うゲームボールとは分けて使っているところもあります。

チームや指導者、あるいは国や地域の文化によって、「ボールに座る」ことへの受け止め方は異なるのが実情です。ボールに触れている時間が長い方が良いため、座るのは決して悪いことではないという考え方もあったりします。

トレーニング効果を評価しつつ、伝統的な指導やマナーにも配慮したうえで判断するという寛容的な価値観が主流になりつつあります。

トッププロ達もサッカーボールに座っている

一昔前は「サッカーボールの上に座るなんて絶対にダメ」と言われ続けてきました。しかし、近年ではそのような価値観がほとんど無くなりつつあり、メディアやSNSなどでプロサッカー選手がリラックスしてボールに腰かけている様子が垣間見えることがあります。

このような写真からも「サッカーボールに座る」という行為は世界的にみても、必ずしも悪いという価値観だけではないということが分かります。

サッカーボールに座ることに対するみんなの意見・口コミ

上の世代ほど「サッカーボールの上に座ってはいけない」という価値観が強いようです。一方で若い世代ではサッカーボールに座ることに対する抵抗は少ないようです。

サッカーボールに座ることに関するよくある質問(FAQ)

サッカーボールに座るのは本当にダメなのでしょうか?
一概に「絶対ダメ」とは言えません。一昔前はサッカー文化の観点やボールの破損リスク、選手自身のケガ防止という観点から禁じられてきた背景があります。現代ではボールの質向上から、変形やパンクのリスクがほぼ無いため、座るという行為が悪いことではないとされつつあります。
なぜ昔のコーチたちは「座るな」と指導していたのですか?
かつては革製のボールが主流で、破損しやすく高価だったためです。また、道具に敬意を払い、サッカー文化やマナーを守る意味合いも強くありました。さらに、転倒によるケガを防ぐ目的もあって、厳しく指導していた背景があります。
座ることでボールが壊れるリスクはどれくらいありますか?
昔に比べて合成皮革などの耐久性は向上し、破損リスクは大幅に低下しました。とはいえ、リスクがゼロというわけではありませんので、空気圧や使用頻度によっては変形・破損の原因になる可能性は否定できません。特にパンパンに空気を入れたまま長時間座ると、バルブや縫い目に大きな負荷がかかります。
チームやコーチによって意見が分かれるのはなぜ?
サッカーボールに対する考え方は、文化や伝統、指導方針などに大きく左右されます。「道具を大切に扱う精神」を重視する人もいれば、「適切な用途で使うならアリ」という人もいて、見解はさまざまです。所属しているチームや指導者の意向に合わせつつ、自分の目的を明確にして判断するとよいでしょう。

結局のところサッカーボールに座るのは良い?悪い?

結局のところ個人個人の価値観の違いなので、どちらも間違いではないと言えそうです。

「ボールの上に座るなんてボールに対するリスペクトが無い」という価値観も間違いではないですし、「できる限り長い時間ボールに触れる為にボールに座るのは決して悪いことではない」という価値観も間違いではないです。

個人的には現代のサッカーボールは質が上がり、人間の体重程度では変形したりパンクしたりするリスクがほぼないのであれば、座ることは特に問題はないような気がします。

それに多くのプロ選手たちも実際にサッカーボールには座っていますし、ボールに座っているからといって、ボールに対してリスペクトがないという価値観はやや古いように感じます。むしろ、「ボールに座るくらいボールが好き」という考え方もできます。

サッカーボールに座るという行為に対して、しっかりと子供たちへ説明できるように、自分の価値観を決めておくといいと思います。

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