横浜Fマリノスと横浜FCが仲悪いと言われる理由とは?横浜ダービーの歴史

こんな疑問を持つ方へ

  • 「マリノスと横浜FCって仲が悪いって聞いたけど、なんで?」
  • 「横浜ダービーで発煙筒が投げ込まれたってニュースが気になる」
  • 「横浜フリューゲルスの消滅とマリノスって何か関係があるの?」
  • 「サポーター同士の対立ってどこまで深刻なの?」
  • 「マリノスと横浜FCって対戦成績はどうなってるの?」

「マリノスと横浜FCは仲が悪い」——そう検索したあなたは、おそらくあの発煙筒事件のニュースを見たか、横浜ダービーの熱狂ぶりを聞き及んだのではないでしょうか。同じ横浜市を本拠地とする2つのJリーグクラブの間には、単なるスポーツのライバル関係を超えた、25年以上にわたる歴史的因縁が横たわっています。この記事では、なぜマリノスと横浜FCが「仲悪い」と言われるのか、その根っこにある歴史と数々のトラブルを徹底解説します。


2クラブの関係を理解するための基礎知識

まず、横浜F・マリノスと横浜FCがどういうクラブかを簡単に整理しておきましょう。

2クラブ基本比較表

項目 横浜F・マリノス 横浜FC
創設 1972年(日産自動車サッカー部) 1999年(市民クラブとして発足)
ホームスタジアム 日産スタジアム(約72,000人収容) ニッパツ三ツ沢球技場(約15,000人収容)
チームカラー トリコロール(青・赤・白) 青・白
J1タイトル 5回(1995・2003・2004・2019・2022) なし
クラブの起源 日産自動車社員チームが母体。横浜フリューゲルスを1999年に吸収合併 横浜フリューゲルス消滅に反発したサポーターたちが立ち上げた市民クラブ

この表を見るだけでも、両クラブの間にただならぬ因縁があることが見えてきます。横浜FCの起源こそが、2クラブの関係を複雑にしている最大の要因なのです。


「仲悪い」の原点——横浜フリューゲルス消滅という歴史的事件

マリノスと横浜FCの関係を語る上で、絶対に外せない歴史があります。それが1999年の「横浜フリューゲルス消滅」です。これこそが、2クラブの溝の根っこにある出来事です。

横浜フリューゲルスとは——消えた名門クラブ

クラブ名の意味 「フリューゲルス(Flügels)」はドイツ語で「翼」の意味
創設 全日空(ANA)と佐藤工業が共同出資するクラブとしてJリーグ創設時から参加
強さ 楢崎正剛、三浦淳宏、前園真聖ら日本代表選手を擁した強豪。天皇杯2回優勝
消滅の理由 親会社の一つ・佐藤工業の経営破綻により1998年10月に消滅が突然発表された
最後の試合 1999年1月1日の天皇杯決勝。清水エスパルスを2-1で下し、優勝して歴史に幕を閉じた
合併先 横浜マリノスに吸収合併→「横浜F・マリノス」(クラブ名の「F」がフリューゲルスの名残)

消滅が突然発表されたとき、フリューゲルスのサポーターたちは猛反発しました。スタジアム前での座り込み、Jリーグへの抗議、全国で50万人以上の署名活動——あらゆる手段を尽くしましたが、「企業の論理」には勝てませんでした。そして、フリューゲルスが消滅したことに絶望したサポーターたちが、自分たちの手で新クラブを立ち上げることを決意します。それが横浜FCの誕生です。

横浜FC誕生の経緯

1999年1月、フリューゲルスの愛称「フリエ」を運営会社名に含めた「株式会社横浜フリエスポーツクラブ」を設立し、横浜FCが誕生。日本初の市民クラブとして、サポーターが出資して運営する新しい形のクラブがスタートした。JFLに参加し、2001年からJリーグ(J2)に加盟。エンブレムの「不死鳥(フェニックス)」と「青いリボン」は、フリューゲルス消滅に抵抗した「青いリボン運動」の記憶が由来となっている。

つまり横浜FCは、「フリューゲルスを吸収合併したマリノスに対抗する形で生まれたクラブ」という側面を持っています。この出自が、マリノスと横浜FCの関係を単なる地域ライバル以上のものにしているのです。


横浜ダービーの歴史——2007年から現在まで

横浜FCが2007年にJ1に昇格したことで、フリューゲルス消滅以来9年ぶりに「横浜ダービー」が実現しました。それ以来、両クラブがともにJ1に所属するたびに熱いダービーが繰り広げられています。

横浜ダービー 主な対戦記録(Jリーグ公式戦)

年度 結果・特記事項 主な出来事・備考
2007年 横浜FC先勝・マリノス大勝 第1戦はJ1初勝利をダービーで飾った横浜FC。第2戦はマリノスが8-0の歴史的大勝。「最後のダービー」という煽り文句で5万人超の観衆を集めた
2020年 コロナ禍特別措置 新型コロナ対策で横浜FCサポーターの入場禁止。5,000人制限の中での開催
2023年 マリノス優勢 ダービーの盛り上がりは一方的で、マリノスにとっては「歯牙にもかけない」試合との指摘も
2025年7月5日 マリノス サポーター問題行為 三ツ沢でマリノスサポーターが発煙筒・花火を使用。73名以上が無期限入場禁止処分に。2025年のダービーでの最大の事件となった

※Wikipedia・各クラブ公式発表をもとに作成。詳細な全対戦成績は変動があるため公式サイトで確認を

横浜FCのホーム・三ツ沢ではマリノスが苦手としていた一方、マリノスのホーム・日産スタジアムでは横浜FCが一度も勝てない時期が続くなど、会場によって結果が大きく異なるのも横浜ダービーの特徴です。


サポーター間のトラブル史——なぜここまで対立が深まったか

マリノスと横浜FCの「仲が悪い」と言われる最大の理由は、両クラブのサポーター間で起きた数々のトラブルです。Wikipediaの横浜ダービー記事に記録されている主な事件を時系列で整理します。

横浜ダービーをめぐる主なトラブル(公式発表・Wikipedia等をもとに作成)

事件の内容
2007年 三ツ沢開催試合当日に、マリノスサポーターが不法侵入して横浜FCへの侮辱的な垂れ幕を掲示。同年別試合の前日深夜にはマリノスサポーター3名が横浜FCサポーター3名に暴行を加え、2008年に傷害容疑で逮捕される
2008年 横浜FCサポーターによる横浜F・マリノスの広告への意図的な破損・投棄行為が発生。マリノスが警察へ届け出て横浜FCに抗議。横浜FCが事実を認め、当該サポーター団体が謝罪
2012年 天皇杯3回戦の試合開始前、横浜FCサポーターが侮辱目的と思われる大型横断幕を掲出。横浜FCが後日謝罪文を掲載し、首謀者を無期限入場禁止処分
2018年 天皇杯3回戦でのマリノス主管試合にて、横浜FCサポーターが犠牲者への黙祷を無視してチャントを継続。世間のバッシングを受け、横浜FCクラブが声明と謝罪
2025年 三ツ沢で行われたJ1第23節にて、マリノスサポーターが覆面・目出し帽姿で発煙筒やロケット花火を横浜FCサポーターエリアおよびキッチンカー周辺に投げ込む。ベビーカーの親子のそばに落下した映像がSNSで拡散し大騒動に。マリノスは73名以上を無期限入場禁止処分、4サポーター団体を無期限活動禁止処分とした

どちらかのサポーターが問題行為をするたびに、もう一方が反発する——この悪循環が長年にわたって積み重なってきました。特に2025年の発煙筒事件は、ベビーカーを押す親子連れのすぐそばへの投下という映像がSNSで拡散し、Jリーグファン全体から強い批判を受けました。


2025年発煙筒事件——横浜ダービー史上最悪の事態

2025年7月5日に行われたJ1第23節・横浜FC対横浜FM戦(三ツ沢)での出来事は、横浜ダービー史上でも最も深刻な事件となりました。その詳細をまとめます。

2025年7月5日 発煙筒事件の概要(両クラブ公式声明をもとに作成)

起きたこと マリノスサポーターが行進隊列を組み、覆面・目出し帽姿で横浜FCサポーターエリアへ発煙筒・ロケット花火を複数回投入
被害 キッチンカー付近の看板に発煙筒が直撃。ロケット花火がスタッフの顔・肩に当たり衣服を損傷。ベビーカー親子のそばへの落下映像がSNS拡散
試合への影響 安全確保のためマリノスサポーター側の開門が大幅遅延。多くのサポーターがキックオフ後に入場。マリノスは該当者へのチケット代金を返金
試合結果 横浜FC 1-0 横浜F・マリノス(マリノスが0-1で敗戦)
処分(マリノス側) 73名以上を無期限入場禁止処分。4サポーター団体を無期限活動禁止処分。Jリーグからマリノスに厳重注意処分
今後の対応 Jリーグ・両クラブが連携し、法的措置を視野に入れた対応を検討。横浜FMは一定期間、横断幕・旗・応援グッズ使用禁止と横断幕申請制を採用

特に衝撃的だったのは「計画性」です。マリノスが最下位に沈んでいたダービーという特殊な状況で、事前に発煙筒・花火を準備し、顔を隠した状態で実行されたこの行為は、単なる感情的な行動ではなく組織的なものとみなされました。Jリーグの裁定委員会も「予見は困難であり、あいまいな被害者的側面もある」としつつ、行為の悪質性を認め厳重注意処分としています。


「仲悪い」は本当か——クラブと選手の関係は?

ここで少し視点を変えてみましょう。「マリノスと横浜FCが仲悪い」というのは、正確にはどの層の話なのでしょうか。

「仲悪い」の実態——層別整理

関係性 補足
一部サポーター 非常に対立している(特に熱狂的なゴール裏) トラブルを起こすのはごく一部
一般サポーター 「ライバル意識はある」が、日常的に激しく対立はしない 試合日には緊張感があるが、平常時は問題なし
クラブ(組織) 公式には協力関係。2025年の事件では両クラブが連携して対応 クラブ同士は敵対していない
選手・スタッフ ピッチ上では激しく戦うが、プロとして相互リスペクト 移籍で両クラブを行き来する選手もいる

「マリノスと横浜FCが仲悪い」というのは、正確には「一部の熱狂的サポーターの間で対立意識が根深い」ということです。クラブ組織としては公式に協力関係にあり、2025年の発煙筒事件でも両クラブが連携して対処に当たりました。ただし、横浜FCは「自分たちの存在意義を懸けた試合」として毎回ダービーに臨むため、普通のリーグ戦とは異なる緊張感があることは確かです。


Xの声——横浜ダービーへのリアルな声

X(旧Twitter)で見られる横浜ダービーへの声(テーマ別)

発煙筒事件への反応(サッカーファン全体)

「ベビーカーの親子のそばに発煙筒って…完全にアウトでしょ。スポーツを楽しみに来た人への脅威でしかない」「Jリーグが世界最高水準のサポーター文化って言われてたのに、こういう事件が起きると悲しくなる」「マリノスのまともなサポーターがかわいそう。一部の過激派のせいで全員が迷惑被ってる」

マリノスサポーターの声

「あの連中のせいで自分たちが試合に入れなかった。絶対に許せない」「無期限入場禁止は当然。クラブが毅然と対応してくれたことには感謝してる」「横浜ダービーがあんなことになって本当に恥ずかしい。あの人たちはマリノスのサポーターじゃない」

横浜FCサポーターの声

「ダービー勝ってうれしかったけど、あんな事件の直後だったから複雑な気持ちがある」「横浜FCとしてもこういうことが続くのは望んでいない。健全なダービーをしたい」「フリューゲルスの頃から続く因縁は大事にしたいけど、こういう形じゃない」

ダービーの「仲悪い」文化についての声

「マリノスと横浜FCの仲悪いってよく聞くけど、フリューゲルス消滅の話を知ったら複雑な気持ちになった。歴史的な経緯があるんだな」「結局ライバル関係って健全な競争があってこそ。煽り合いや暴力は要らない」「三ツ沢でのダービーはいつも緊張感がある。それがいいんだけど、度が過ぎるのは違う」

※X上のユーザーの声を参考に、代表的な意見をテーマ別にまとめたものです


「盛り上がらないダービー」という複雑な現実

実はサポーター文化の観点から、横浜ダービーをめぐっては「本当のダービーになっていない」という声も長年あります。

横浜ダービーが「一方的」と言われる理由

横浜FCのホーム・三ツ沢ではダービー色が強く出る一方で、マリノスのホーム・日産スタジアム(収容72,000人)での対戦では、マリノスが圧倒的な大差で勝つことが多く「本当のダービーというレベルではない」という声もあります。マリノスにとっての真のライバルは「川崎フロンターレ(神奈川ダービー)」であり、横浜FCより川崎との戦いの方が感情的な強度が高いという声も聞かれます。横浜FCからすれば「マリノスに認めてもらうために戦っている」という構図になっており、マリノスサポーターからは「歯牙にもかけていない」という本音も漏れ聞こえます。

だからこそ横浜FCの四方田監督は「自分たちの存在意義だとか、横浜という大きな都市の中でステータスを上げるためには、絶対に結果を出さなければいけない」と語るのです。横浜FCにとってこのダービーは、単なる1試合を超えた「自分たちの存在を証明する戦い」なのです。


まとめ——マリノスと横浜FCが「仲悪い」理由

マリノスと横浜FCの「仲悪い」関係——5つの根本原因

①歴史的因縁 横浜FCは、マリノスに吸収合併されたフリューゲルスのサポーターたちが立ち上げたクラブ。誕生の経緯からして、マリノスへの対抗意識が根本にある
②格差への意識 J1タイトル5回のマリノスに対し、タイトルなしの横浜FC。クラブ規模・資金力・スタジアム収容人数まで全てで大差がある
③繰り返されるトラブル 2007年の暴行・不法侵入から2025年の発煙筒事件まで、両サポーター間のトラブルが繰り返されてきた。各事件が新たな対立感情を生む悪循環
④「存在意義」を懸けた戦い 横浜FCにとってダービーは「横浜という都市でのステータスを上げる」試合。それがゆえに過剰な感情が生まれやすい
⑤一方向の煽り合い マリノス側は「歯牙にもかけない」スタンス、横浜FC側は「認めさせたい」スタンスという非対称な関係が、独特の緊張感を生んでいる

マリノスと横浜FCの「仲悪い」は、単なるスポーツの敵愾心にとどまらない、日本サッカー史上最大の悲劇の一つ「フリューゲルス消滅」を根っこに持つ複雑な関係性です。2025年の発煙筒事件は、その対立が決して過去のものではないことを示しました。しかし、暴力やルール違反で「認めさせる」ことはできません。横浜ダービーが本当の意味で「Jリーグを代表するライバル戦」になるためには、ピッチ上の結果でのみ歴史を塗り替えていくしかないのです。