サッカーでオウンゴールの得点はどちらのチームに入る?ルール解説

オウンゴールとは?基本的な意味と定義

サッカーの試合を観ていると、守備側の選手が誤って自分たちのゴールにボールを蹴り込んでしまうシーンを目にすることがあります。これが「オウンゴール(own goal)」です。英語の「own(自分自身の)」と「goal(ゴール)」を組み合わせた言葉で、略称は「OG」と表記されます。

オウンゴールとは、攻撃側の選手ではなく、守備側の選手自身のプレーによってボールが自チームのゴールに入り、得点として認められることを指します。ミスによるものが多いですが、意図的な場合も定義上はオウンゴールに含まれます。

かつて日本では「自殺点」という表現が使われていましたが、現在では使用が避けられています。これには歴史的な背景があり、1994年のFIFAワールドカップでオウンゴールを記録したコロンビア代表のアンドレス・エスコバル選手が、帰国後の7月2日に射殺されるという痛ましい事件が起きました。この出来事を受けて、日本サッカー協会は同年9月16日に「自殺点」という表現をやめ、「オウンゴール」に改めることを正式に発表しました。言葉の背景にも、サッカーの歴史が刻まれているのです。

オウンゴールの得点はどちらのチームにカウントされるのか

オウンゴールに関して最も多く寄せられる疑問が、「得点はいったいどちらのチームに入るのか?」というものです。結論から言うと、オウンゴールが発生した場合、得点は守備側(ゴールを決めてしまった側)の相手チームにカウントされます。

つまり、自チームのゴールにボールを入れてしまったチームは失点となり、相手チームが1点を得るという形になります。試合はその後、得点されたチーム(失点したチーム)によるセンターサークルからのキックオフで再開されます。

「攻撃側の得点」か「オウンゴール」かの判定原則

実際の試合では、守備側の選手にボールが当たってゴールに入るシーンは珍しくありません。しかし、そのすべてがオウンゴールとして記録されるわけではありません。公式記録における判定には、明確な原則があります。

基本的な原則として、「明らかなオウンゴール以外はすべて攻撃側選手の得点とする」という考え方が採用されています。Jリーグの記録基準にも同様の記述があり、攻撃側の選手が「得点しようと意図していた」かどうかが重要な判断軸となります。

たとえば、シュートが守備側の選手に当たってコースが変わりゴールに入った場合は、オウンゴールではなく攻撃側選手の得点とカウントされます。また、シュートが明らかにゴール枠外に外れていたとしても、攻撃側が得点しようとしていた意図があると判断された場合は、攻撃側選手の得点となります。たとえばシュートがゴールポストの右に外れてしまったが、そこにいた守備側選手に当たって入った場合も、攻撃側選手の得点として扱われます。

オウンゴールに関するFIFA・公式ルールの詳細

Jリーグ公式記録基準における「明らかなオウンゴール」の3要件

Jリーグの公式記録基準では、「明らかなオウンゴール」として認定される条件として以下の3つが定められています。

  • 明らかにシュートでないボールに守備側選手が意図的にプレーした場合
  • 明らかにシュートでないボールが偶然守備側選手に当たった場合
  • 守備側選手の明白なミス

これらの条件に当てはまる場合にはじめて、オウンゴールとして公式記録に残ります。逆に言えば、守備側の選手に当たってゴールに入ったとしても、これらの要件を満たさない場合は攻撃側選手の得点として処理されます。

ゴールポスト・バー跳ね返り後の「微妙なケース」

実際の試合では、シュートがゴールポストやバーに当たって跳ね返った後に守備側の選手が関与するシーンも見られます。このような微妙なケースについても、Jリーグの記録基準は明確な基準を示しています。

  • 跳ね返りのボールに守備側選手が意図的にプレーした場合オウンゴールとして記録
  • 跳ね返りのボールが守備側選手に偶然当たった場合攻撃側選手の得点として記録

つまり、守備側選手の「意図」があったかどうかが、この微妙なケースの判断を分ける重要なポイントとなります。

手を使ったオウンゴールの場合はペナルティキック

オウンゴールの原因が、守備側選手による意図的な「手でのボール操作」と判定された場合は少し異なる扱いになります。この場合は相手チームにペナルティキック(PK)が与えられます。通常のオウンゴールとして得点が認められるのではなく、反則に対するペナルティとして処理される点が特徴です。

故意のオウンゴールと処分

オウンゴールはミスによるものが大半ですが、稀に故意に自陣のゴールへボールを入れるケースも存在します。こうした意図的なオウンゴールは、八百長や不正行為とみなされる場合もあり、所管する協会・連盟からチームや関係者に対して出場停止などの処分が下されることがあります。また、意図的にオウンゴールをしたと判断された選手は退場処分となります。

歴史上もっとも極端な事例として知られるのが、2002年10月31日にマダガスカルのサッカーリーグで行われたASアデマ対SOレミルヌの試合です。SOレミルヌは前節での不可解な審判の判定に抗議するため、故意にオウンゴールを繰り返し、最終的に1試合で149点ものオウンゴールを記録するという前代未聞の事態となりました。これは1試合における最多オウンゴール記録として知られています。この行為に対してSOレミルヌの監督・選手には出場停止やスタジアムでの観戦禁止などの厳しい処分が科されました。

オウンゴールが記録される選手・チームへの影響

公式記録上の表記:どの選手が記録されるのか

オウンゴールが起きたとき、得点者の欄にはどう記載されるのか気になる方も多いでしょう。日本の公式記録では、「オウンゴール」とのみ表記され、どの選手によるものかは記載されません。これは選手への配慮も含めた記録上の扱いであり、個人に対してオウンゴールの「得点」が帰属することはありません。

なお、得点者・オウンゴールの最終的な判断はマッチコミッショナー・主審・実行委員によって行われます。現場の複数の関係者が連携して正確な記録を残す体制が整えられています。

EURO2024で「得点王」がオウンゴールに?

国際大会でもオウンゴールが話題になることがあります。EURO2024(UEFA欧州選手権2024)のグループステージ18試合消化時点で、「得点王」はなんと5点のオウンゴールという状況になり、大きな話題となりました。2位には唯一の複数得点者としてドイツ代表MFジャマル・ムシアラがランクインしていました。これは現代サッカーにおいてオウンゴールがいかに頻繁に発生しているかを示す興味深いデータです。

オウンゴールに関するよくある疑問とQ&A

Q. キーパーが自分でゴールに入れてしまった場合もオウンゴール?

A. はい、ゴールキーパーが自チームのゴールにボールを入れてしまった場合もオウンゴールとなります。フィールドプレーヤーだけでなく、キーパーも含めた守備側全選手のプレーが対象です。

Q. コーナーキックから直接ゴールに入った場合は?

A. コーナーキックから直接ゴールに入った場合は、通常はキッカー(攻撃側選手)の得点となります。ただし、守備側選手が意図的に関与してゴールに入った場合は状況によって判定が変わることがあります。

Q. シュートがDFの背中に当たって入った場合はオウンゴール?

A. この場合はオウンゴールにはなりません。シュートが守備側の選手に当たってコースが変わった場合は、すべて攻撃側選手の得点としてカウントされます。守備側の選手が意図的にボールに関与していないため、攻撃側の得点として処理されます。

Q. オウンゴールをした選手は何らかのペナルティを受けるの?

A. 通常のミスによるオウンゴールに対して、ルール上のペナルティはありません。ただし、意図的にオウンゴールをしたと判断された場合は退場処分となります。また、試合全体の文脈によっては所管する協会等から追加の処分が下されることもあります。

Q. 「オウンゴール」と「自殺点」は同じ意味?

A. 意味としては同じですが、「自殺点」という表現は現在では使用が避けられています。1994年のFIFAワールドカップでオウンゴールをしたコロンビアのエスコバル選手が帰国後に射殺されるという悲劇を受けて、日本サッカー協会が「オウンゴール」という呼称に改めた経緯があります。

Q. オウンゴールの最多記録はどのくらい?

A. 1試合での最多記録は、2002年10月31日にマダガスカルのリーグ戦で記録された149点です。SOレミルヌが前節の判定への抗議として故意にオウンゴールを繰り返したもので、通常の試合では考えられない特異なケースです。

まとめ

オウンゴールとは、守備側選手のプレーによって自チームのゴールにボールが入ることで、得点は必ず相手チームにカウントされます。試合の流れを大きく変えることもあるこのプレーですが、実際に「オウンゴール」として記録されるかどうかは、守備側選手の意図的なプレーかどうか、シュートの意図があったかどうかなどを総合的に判断した上で決定されます。

判定の基準は一見複雑に思えますが、「明らかなオウンゴール以外はすべて攻撃側の得点とする」という大原則を覚えておくと、試合観戦中のさまざまなシーンをより深く理解できるようになるでしょう。サッカーのルールを正しく知ることで、試合観戦の楽しみがさらに広がります。