ゴールキックとフリーキックの基本的な違いとは?

サッカーを観戦していると、試合の流れが止まってキックで再開される場面が何度もあります。そのとき「あれはゴールキック?それともフリーキック?」と迷ったことはありませんか?この2つはどちらも「キックで試合を再開する方法」ですが、その発生する条件・目的・ルールがまったく異なります。
まず大きな違いを一言でまとめると、次のようになります。
- ゴールキック:ボールがゴールラインを割ったときに発生する「試合再開の方法」
- フリーキック:ファウルや反則があったときに発生する「ペナルティの方法」
ゴールキックは競技規則第16条で定められており、攻撃側の選手が最後に触れたボールが相手側のゴールラインを割って外に出た場合(かつ得点にならなかった場合)に、守備側チームがゴールエリア内からキックして試合を再開させるルールです。
一方のフリーキックは競技規則第13条で定められており、試合中に何らかのファウルや不正行為が行われたとき、反則を受けた側が反則のあった地点から相手の妨害を受けずにキックして試合を再開するルールです。
この根本的な発生条件の違いを押さえておくと、試合中の判定がぐっとわかりやすくなります。それでは、それぞれをさらに詳しく見ていきましょう。
ゴールキックになる場面・条件をわかりやすく解説

ゴールキックが与えられるのは、攻撃側の選手が最後にボールに触れて、そのボールが相手のゴールラインから外に出た場合です。得点になればゴールですが、枠を外れたり、ゴールポストに当たってラインを越えたりした場合にゴールキックとなります。
コーナーキックとどう違うの?
ゴールラインからボールが出た場合、ゴールキックになるかコーナーキックになるかは「最後にボールに触れた選手がどちらのチームか」によって決まります。
- 攻撃側が最後に触れた→ ゴールキック(守備側ボール)
- 守備側が最後に触れた→ コーナーキック(攻撃側ボール)
たとえばシュートが相手ディフェンダーに当たってゴールラインを割った場合は、守備側が最後に触れているのでコーナーキックになります。この判断は試合中に素早く行われるため、よく混乱が生じますが、「最後に触れたのは誰か」を意識すると整理できます。
ゴールキックを蹴るのはGKだけ?
プロの試合ではゴールキーパーがゴールキックを蹴るシーンがほとんどですが、実はルール上は誰が蹴っても構いません。フィールドプレーヤーがゴールキックを行うことも認められています。
ゴールキックに関する重要なルール
ゴールキックにはいくつかの重要なルールがあります。しっかり押さえておきましょう。
- 蹴る位置:ゴールエリア内(小さい四角形のエリア)の任意の地点から蹴ることができます。
- オフサイドなし:ゴールキックのときはオフサイドのルールが適用されません。ディフェンスラインより前にいる選手にパスを出してもオフサイドにはなりません。
- 2019年ルール改正:2019年のルール改正により、ゴールキックが与えられているチームの選手はペナルティエリア内でパスを受けることが可能になりました。それ以前はペナルティエリアを出てからでないと味方選手が触れることができず、違反するとやり直しになっていました。現代のサッカーでよく見られる「GKからのショートパスでのビルドアップ」は、この改正があってこそのプレーです。
- 相手選手の制約:相手チームの選手はゴールキックが蹴られるまで、ペナルティエリアの外で待機しなければなりません。ただし、守備側がクイックスタートを選択した場合は相手選手がペナルティエリア内にいても問題ありません。
- 直接ゴールへの入球:ゴールキックで蹴ったボールが直接相手のゴールに入った場合は、得点として認められます。
フリーキックになる場面・条件をわかりやすく解説

フリーキックは、試合中にファウルや反則が起きたときに与えられます。反則を受けたチームが、反則のあった場所からキックして試合を再開できるのが基本的な仕組みです。たとえば相手選手に足を引っかけられて転倒した場合、転倒した地点がフリーキックの位置となります。
フリーキックには「直接フリーキック」と「間接フリーキック」の2種類があり、それぞれ与えられる反則の内容が異なります。
直接フリーキックとは?
直接フリーキックとは、キックしたボールが他の選手に触れなくても直接ゴールに入れば得点が認められるフリーキックです。主に身体的な接触を伴う反則に対して与えられます。
直接フリーキックとなる主な反則例:
- ハンド(GK以外の選手がボールを手で扱う)
- キッキング(相手を蹴る)
- プッシング(相手を押す)
- トリッピング(相手をつまずかせる)
- ホールディング(相手を押さえる・掴む)
- ジャンピングアット(相手に飛びかかる)
- ストライキング(相手を打つ・殴る)
また、攻撃側チームがペナルティエリア内で直接フリーキックに該当するファウルを受けた場合は、すべてペナルティキック(PK)に変わります。PKはゴールから約10.97メートル(12ヤード)離れた地点から行われます。
間接フリーキックとは?
間接フリーキックとは、キックしたボールが必ず他の選手に触れてからでないとゴールが認められないフリーキックです。審判が片腕を真上に上げてシグナルを出し、他の選手がボールに触れるまでその腕を上げ続けるのが特徴です。直接ゴールに蹴り込んでも得点にはならず、ゴールキックで試合が再開されます。
間接フリーキックは主に身体的接触を伴わない反則に対して与えられます。
間接フリーキックとなる主な反則例:
- オフサイド
- シミュレーション(ファウルを受けたように見せかける行為)
- オブストラクション(相手のプレーを妨害する)
- スローインした選手が続けてボールに触れる
- 危険なプレー(ボールに関係しない場所で足を頭より高く上げるなど)
また、ゴールキーパーに関する以下の反則も間接フリーキックの対象です。
- 味方からのスローインをキーパーが手で触れる
- キーパーがボールを6秒以上手で持ち続ける
- 味方から足で返されたボールにキーパーが手で触れる(いわゆるバックパスルール)
フリーキック時の「壁」のルール
フリーキックの際、守備側の選手はボールから9.15メートル以上離れなければなりません。この距離を守るため、審判がバニシングスプレー(時間が経つと消える特殊なスプレー)でラインを描いて壁の位置を示すこともあります。
間違えやすいシーン別!ゴールキックかフリーキックか判断する方法

ここでは、試合観戦中や指導中に特に混乱しやすいシーンを取り上げ、正しい判断方法を解説します。
シーン①:シュートが枠を大きく外れてゴールラインを割った
このシーンはゴールキックです。攻撃側(シュートを打ったチーム)の選手が最後に触れたボールがゴールラインを割ったので、守備側チームのゴールキックで再開となります。フリーキックになるためにはファウルが必要なので、ここではフリーキックにはなりません。
シーン②:ペナルティエリア内でディフェンダーがボールを手で触れた
このシーンはフリーキック(ペナルティキック)です。ゴールライン付近でのプレーであっても、ハンドという反則が発生しているのでフリーキックの対象となります。しかもペナルティエリア内での直接フリーキックに該当するため、PKが与えられます。
シーン③:間接フリーキックのボールが直接ゴールに入った
このシーンは得点にはなりません。間接フリーキックを直接蹴り込んでも、他の選手に触れていないためゴールは認められず、相手チームのゴールキックで再開となります。
シーン④:スローインで投げたボールが直接ゴールに入った
スローインも同様で、直接ゴールに入った場合は得点として認められません。相手チームのゴールキックで再開となります。フリーキックではなくゴールキックになる点に注意が必要です。
シーン⑤:ゴールキックを蹴ったボールがそのまま相手ゴールに入った
これは得点として認められます。ゴールキックで蹴ったボールが直接相手ゴールに入った場合は、正式なゴールとして認められます。非常に稀なケースですが、ルール上は有効なゴールです。
審判のシグナルで見分ける方法
判定に迷ったときは審判のシグナルを確認しましょう。
- 直接フリーキック:腕を横向きにしてファウルの地点を指す
- 間接フリーキック:片腕をまっすぐ真上に上げる(他の選手がボールに触れるまで継続)
- ゴールキック:ゴールエリア方向を腕で指し示す
特に間接フリーキックは審判が腕を上げ続けているのが特徴的なので、観戦時に意識して見ると違いがよくわかります。
ゴールキックとフリーキックに関するよくある疑問Q&A

Q:ゴールキックはゴールキーパーしか蹴れないの?
A:いいえ、ルール上は誰でも蹴ることができます。ゴールキックは守備側チームの選手であれば、ゴールキーパーでもフィールドプレーヤーでも蹴ることが可能です。ただし、プロの試合ではほとんどの場合ゴールキーパーが蹴ります。
Q:ゴールキックのときオフサイドを気にしなくていいの?
A:はい、ゴールキックのときはオフサイドは適用されません。そのため、相手ディフェンスラインより前にいる選手がゴールキックのボールを直接受けても、オフサイドにはなりません。これはコーナーキックやスローインの時も同様です。
Q:フリーキックとペナルティキックはどう違うの?
A:ペナルティキック(PK)はフリーキックの一種です。攻撃側の選手がペナルティエリア内で直接フリーキックに相当するファウルを受けた場合、通常のフリーキックではなくPKが与えられます。PKはゴールから約10.97メートルの地点から行われ、GKとキッカーの1対1という特別な形式で行われます。なお、間接フリーキックに相当する反則がペナルティエリア内で起きた場合はPKにはならず、エリア内の地点から間接フリーキックとなります。
Q:2019年のゴールキックのルール改正って何が変わったの?
A:2019年以前は、ゴールキックで蹴ったボールはペナルティエリアの外に出るまで誰も触れることができませんでした。ペナルティエリア内で味方選手がボールに触れるとやり直しとなっていたのです。しかし2019年の改正以降、ゴールキックを蹴ったチームの選手はペナルティエリア内でもボールを受けることができるようになりました。この改正により、現代サッカーで主流となっているGKを起点にしたショートパスによるビルドアップが戦術的に活用されるようになっています。
Q:バックパスでGKが手で触れたらどうなるの?
A:味方フィールドプレーヤーが足でパスしたボールをGKが手で触れることは反則です(いわゆるバックパスルール)。この場合、相手チームに間接フリーキックが与えられます。ただし、ヘディングや胸トラップなど足以外の部位でのパスをGKが手で受けることは問題ありません。
Q:ゴールキックとコーナーキックはどう見分けるの?
A:ボールがゴールラインを割ったとき、最後にボールに触れた選手がどちらのチームかで判断します。攻撃側が最後に触れていればゴールキック、守備側が最後に触れていればコーナーキックです。試合中は審判がどちらかのゴールポスト近くまたはコーナーフラッグの方向を指して知らせてくれます。
ゴールキックとフリーキックの違いは、「ボールがラインを割ったか」「ファウルがあったか」という発生原因の違いが核心です。この基本を押さえておくだけで、試合観戦中の判定への理解がぐっと深まります。子どもにサッカーを教える際にも、まずこの2つの違いからわかりやすく説明してみてください。ルールを正しく理解することで、サッカーの楽しさはさらに広がっていきます。
フットボール戦士 