- 48か国に増えた2026年のW杯は、番狂わせが多かった?少なかった?
- W杯の歴史で一番の番狂わせはどの試合?
- 日本のドイツ戦・スペイン戦は、数字で見るとどれくらいの金星だった?
48か国に増えた2026年のW杯は、番狂わせがこれまでで一番少ない大会でした。フットボール戦士が1930年から2026年までのW杯1,068試合を、試合前の強さの差から計算し直すと、勝つ見込みが30%未満のチームが勝ったのは2026年大会で54試合中3試合(5.6%)でした。1998〜2022年の大会では183試合中23試合(12.6%)です。
この記事では、全国際Aマッチ約5万試合の結果から各国の強さを数字にした「フットボール戦士レーティング」を使い、W杯の番狂わせを数えました。歴代の番狂わせランキング、日本代表が起こした番狂わせ、番狂わせを一番多く起こされた国も紹介します。
W杯の番狂わせは増えた?48か国の2026年は5.6%で最少
ここでいう「勝つ見込み」は、試合前の両チームのレーティングの差から計算した数字です。引き分けを半分の勝ちとして数えた見込みで、差が大きいほど弱いほうの見込みは小さくなります。開催国には地元の有利の分を足しています。
勝つ見込みが30%未満のチームが出た試合で、そのチームが勝った割合は、1930〜70年が14.7%、1974〜94年が17.0%、1998〜2022年が12.6%でした。どの時代もおおむね7〜8試合に1回は番狂わせが起きています。
ところが2026年大会は、54試合で弱いほうが勝ったのは3試合だけでした。グループステージでは42試合中3試合、決勝トーナメントでは12試合中0試合です。弱いほう全体で見ても、2026年大会の勝率は12.5%で、1998〜2022年の19.6%を下回りました。
W杯の番狂わせランキング歴代1位はカメルーン1-0ブラジル
W杯の歴史で一番の番狂わせは、2022年カタール大会のグループステージ、カメルーン1-0ブラジルでした。カメルーンの勝つ見込みはわずか4.4%です。ブラジルはすでに決勝トーナメント進出を決めていて、控え中心のメンバーでした。後半アディショナルタイムにアブバカルが頭で決め、ユニフォームを脱いで喜んだため2枚目の警告で退場になった試合です。
2位は同じ2022年大会のサウジアラビア2-1アルゼンチン(7.1%)です。アルゼンチンはこの大会で優勝しているので、優勝国を倒した試合としては歴代で一番の番狂わせになります。3位は1950年のアメリカ1-0イングランド(7.8%)で、長く「W杯史上最大の番狂わせ」と呼ばれてきた試合です。
上位10のうち3試合が2022年大会(カメルーン、サウジアラビア、チュニジア)で、13位にも同じ大会の韓国2-1ポルトガルが入っています。勝つ見込み30%未満の勝ちは2022年大会で7試合あり、全23大会で最多でした。チュニジア1-0フランスも、フランスが前の試合から9人を入れ替えた試合です。レーティングは出場メンバーまでは分からないので、控え中心のチームが負けた試合は順位が高めに出ます。
| 順位 | 大会 | 試合 | 勝つ見込み |
|---|---|---|---|
| 1 | 2022年 | カメルーン 1-0 ブラジル | 4.4% |
| 2 | 2022年 | サウジアラビア 2-1 アルゼンチン | 7.1% |
| 3 | 1950年 | アメリカ 1-0 イングランド | 7.8% |
| 4 | 2010年 | スイス 1-0 スペイン | 11.3% |
| 5 | 2018年 | 韓国 2-0 ドイツ | 12.0% |
| 6 | 1982年 | アルジェリア 2-1 西ドイツ | 12.7% |
| 7 | 1950年 | ウルグアイ 2-1 ブラジル | 13.5% |
| 8 | 2006年 | ガーナ 2-0 チェコ | 13.5% |
| 9 | 2002年 | セネガル 1-0 フランス | 14.6% |
| 10 | 2022年 | チュニジア 1-0 フランス | 15.4% |
※7位と8位は小数点以下2けた目で順位をつけています。それぞれの試合の詳しい背景は「W杯の歴代ジャイアントキリング一覧」の記事で紹介しています。
日本代表の番狂わせはスペイン戦が最大(勝つ見込み22.1%)
日本がW杯で起こした一番の番狂わせは、2022年カタール大会のスペイン戦(2-1)でした。日本の勝つ見込みは22.1%で、W杯で決着がついた830試合の中では24番目の番狂わせにあたります。2018年ロシア大会のコロンビア戦(2-1・23.3%)が33番目、2022年のドイツ戦(2-1・33.1%)が79番目です。
コロンビア戦は前半3分にコロンビアのカルロス・サンチェスが香川真司のシュートを手で止めて退場になり、日本はほぼ90分を11人対10人で戦いました。見込みの23.3%は試合前の数字なので、この退場は入っていません。
日本のW杯の勝利8試合のうち、勝つ見込みが50%未満だった勝ちは5試合、30%未満は2試合です。30%未満の勝ちが2回あるのは、アジアでは日本と韓国(2018年ドイツ戦、2022年ポルトガル戦)だけでした。
反対に、日本が番狂わせを起こされた試合もあります。2002年日韓大会の決勝トーナメント1回戦、トルコ戦(0-1)です。開催国の日本は地元の有利もあって勝つ見込みが76.2%ありましたが、敗れました。
番狂わせを一番起こされた国はドイツ(9回)
勝つ見込みが70%を超えていたのに負けた回数が一番多いのはドイツで、西ドイツ時代を含めて9回ありました。2018年ロシア大会ではメキシコ(0-1)と韓国(0-2)に続けて敗れ、前回王者ながらグループステージで敗退しています。2位はブラジルの5回で、2022年のカメルーン戦もここに入ります。
ドイツとブラジルは、W杯に出た回数も試合数も多い国です。「勝って当たり前」の試合を数多く戦ってきたぶん、負けた回数も増えやすいことは差し引いて見る必要があります。
その大会で優勝した国が番狂わせで負けた例もあります。2010年のスペインは初戦でスイスに0-1(スイスの見込み11.3%)、2022年のアルゼンチンは初戦でサウジアラビアに1-2(同7.1%)で負けてから、そのまま優勝しました。1974年の西ドイツも、グループステージで東ドイツに0-1で敗れています(東ドイツの見込み19.4%)。
2026年はなぜ番狂わせが少なかった?差の大きい試合が54に増えた
出場国が32から48に増えた2026年大会は、試合数も64から104に増えました。勝つ見込みが30%未満の側がいる「差の大きい試合」は、2018年の28試合、2022年の30試合から、2026年は54試合とほぼ倍になりました。
それでも弱いほうが勝ったのは、ガーナ1-0パナマ(21.2%)、コートジボワール1-0エクアドル(22.6%)、南アフリカ1-0韓国(22.6%)の3試合だけです。2022年大会のような、10%台以下の見込みからの勝利はありませんでした。
ここから原因を言い切ることはできません。新しく増えた出場国と強豪との差が大きかった、グループ3位でも勝ち抜けられるので強豪が無理をしなくてよかった、といった見方はできますが、この集計で確かめたわけではありません。分かるのは「差の大きい試合が増えた大会で、番狂わせの割合は過去の大会より低かった」という事実までです。
データについて:勝つ見込みはどう計算した?
勝つ見込みは、国際Aマッチの公開データ(martj42/international_results・CC0)に入っている1872年からの約5万試合を、古い順にElo方式で計算した「フットボール戦士レーティング」から出しています。W杯本大会の試合は重みを大きくし、得点差が大きい勝ちほど点数が大きく動きます。FIFAランキングとは別の、フットボール戦士の独自の指標です。
計算の確かさを見るため、W杯の全試合を弱いほうの見込みごとに5つに分け、実際の成績(勝ち1・引き分け0.5)と比べました。見込み10〜50%の試合では、見込みと実際の差は2.3ポイント以内でした。一方、見込み10%未満の34試合では、見込みの平均7.5%に対して実際は19.1%でした。とても差が大きい試合では、計算ほど一方的にはならなかったことになります。
この集計には限界もあります。PK戦で決着した試合は、元のデータに勝者がないため引き分けとして数え、番狂わせには入れていません。出場メンバーや退場、すでに突破を決めていたかどうかも計算に入っていません。西ドイツは元のデータで「ドイツ」として記録されているため、ドイツの回数に合わせて数えています。
よくある質問
A. フットボール戦士の計算では、2022年カタール大会のカメルーン1-0ブラジルで、カメルーンの勝つ見込みは4.4%でした。ただしブラジルは控え中心でした。2位はサウジアラビア2-1アルゼンチン(7.1%)です。
A. 少なかったです。勝つ見込み30%未満のチームが勝ったのは54試合中3試合(5.6%)で、1998〜2022年の12.6%を下回り、時代別で最も低くなりました。
A. 2022年のスペイン戦(2-1)です。日本の勝つ見込みは22.1%で、W杯の830試合の中で24番目の番狂わせでした。2018年のコロンビア戦(23.3%)が33番目、2022年のドイツ戦(33.1%)が79番目です。
A. ドイツです。勝つ見込み70%超で負けたのは西ドイツ時代を含めて9回で、2位のブラジル(5回)を大きく上回ります。
A. いいえ。全国際Aマッチの結果からフットボール戦士が独自に計算したレーティングをもとにしています。FIFAランキングは1990年代に始まったもので、それ以前の大会には使えないため、1930年からのW杯をそろえて比べるために独自の指標を使いました。
まとめ:2026年のW杯は「番狂わせの少ない大会」だった
- W杯1,068試合を計算し直すと、勝つ見込み30%未満のチームが勝った割合は2026年大会が5.6%で、1998〜2022年の12.6%より低かった
- 歴代の番狂わせ1位は2022年のカメルーン1-0ブラジル(4.4%)、2位はサウジアラビア2-1アルゼンチン(7.1%)
- 2022年大会は30%未満の勝ちが7試合で、全23大会で最多の「番狂わせの大会」だった
- 日本の一番の番狂わせは2022年のスペイン戦(22.1%)で、830試合中24番目
- 番狂わせを一番多く起こされたのはドイツ(西ドイツ時代を含めて9回)
48か国に増えて差のある組み合わせが増えた2026年大会は、数字で見ると、その試合で強豪がきちんと勝った大会でした。次の2030年大会でも同じ傾向になるのか、番狂わせの数に注目してみてください。
※この記事の情報は2026年10月4日時点のものです。試合結果は公開データ(martj42/international_results)の2026年大会までの記録をもとに、フットボール戦士がElo方式で計算・集計しました。勝つ見込みは試合前のレーティングから出した値で、出場メンバーや退場は含みません。
フットボール戦士 
