「サッカーボールに座るのはよくない」と指導者やコーチから言われた経験がある人も多いと思います。
しかし、なぜサッカーボールに座るのはよくないのでしょうか?そもそもサッカーボールに座ってはいけないという考え方は合っているのでしょうか?
本記事ではサッカーボールに座るということの是非について解説していきます。

「サッカーボールに座るのはよくない」と、昔からコーチたちが口をそろえて注意してきたのには、いくつかの理由があります。特に日本のサッカー文化では、ボールを大切に扱う精神やチーム全体の安全管理が重視されてきました。ここでは、そうした伝統的な指導の背景にあるポイントを整理してみましょう。
サッカーにおいて「ボールは相棒であり、神聖なもの」という考え方は、世界的にも浸透しています。昔のコーチたちが選手に強く指導していたのは、単に「座る」という行為が見た目としてよくないからだけではありません。
ボールを乱雑に扱うことは、サッカーへのリスペクトが欠けていると見なされることがあるためです。かつて革製のボールは現代の合成皮革ほど頑丈ではなく、高価でもありました。大事な練習用具がダメになればチーム全体の練習計画に支障をきたす恐れもあり、なおさら「座らないように」という指導が徹底されていたわけです。
体重をかけて座ることで、空気圧のバランスが崩れたり、縫い目に負担がかかったりします。特に昔はボールの質が今ほど高くなかったため、余計に破損しやすかったのです。破れたボールは使いものにならず、チームの備品管理にも大きな痛手となります。
サッカーボールはバランスボールほど大きくはありません。そのため、思わぬタイミングでバランスを崩して転倒してしまうケースが考えられます。捻挫や打撲、腰を痛めるなどの事故を未然に防ぐ意味でも、コーチは「座らないように」と注意してきた背景があります。

昔は「サッカーボールに座るなんてあり得ない」と敬遠されていた行為も、現在では必ずしも一概に否定されなくなってきました。背景には、ボールの素材や品質が向上したこと、フィジカルトレーニングの観点が大きく変化したことなどが挙げられます。以下では、そうした現代的な視点を通じたサッカーボールへのアプローチを見ていきましょう。
かつては本革製のボールが一般的でしたが、現在は合成皮革(PU素材など)が主流です。これらの素材は水分や衝撃に強く、破れや変形が起きにくい構造になっています。
また、現在のボールはバルブ部分の設計が改良されており、エアポンプで適正な空気圧を保ちやすくなっています。適度に空気を抜いておけば、体重負荷をかけても一瞬で破損する可能性は昔に比べて下がりました。
その為、人間の体重がかかったくらいではボールが変形したり、パンクしたりする破損リスクはかなり小さくなったことから、破損リスクを理由とした「座ってはいけない論」は昔の考え方になりつつあります。
体幹トレーニングの知識や技術の普及によってボールに座る行為自体がトレーニングとして活用される事例もあります。
フィットネスやスポーツ科学の分野では、「不安定なものに乗るとコア(体幹)に強い刺激が入る」ことが実証されています。サッカーボールはバランスボールほどの安定感はなく、むしろ小さい分難易度が上がるため、短時間で体幹を鍛えやすいとされています。
ボール上に座り、背筋や腹筋を意識しながら骨盤を動かすエクササイズは、リハビリや腰痛予防にも取り入れられるケースがあります。ボール一つで簡単にチャレンジできるため、自宅でのトレーニング手段として注目されています。
「サッカーの練習・試合で使うボール」は神聖視する一方、「体幹トレーニング用ボール」という別カテゴリーの道具として割り切る考え方も生まれています。サッカー部やクラブチームの中には、専用のトレーニングボールを用意して、練習に使うゲームボールとは分けて使っているところもあります。
チームや指導者、あるいは国や地域の文化によって、「ボールに座る」ことへの受け止め方は異なるのが実情です。ボールに触れている時間が長い方が良いため、座るのは決して悪いことではないという考え方もあったりします。
トレーニング効果を評価しつつ、伝統的な指導やマナーにも配慮したうえで判断するという寛容的な価値観が主流になりつつあります。

一昔前は「サッカーボールの上に座るなんて絶対にダメ」と言われ続けてきました。しかし、近年ではそのような価値観がほとんど無くなりつつあり、メディアやSNSなどでプロサッカー選手がリラックスしてボールに腰かけている様子が垣間見えることがあります。
このような写真からも「サッカーボールに座る」という行為は世界的にみても、必ずしも悪いという価値観だけではないということが分かります。
監督やコーチからボールに座るなって怒られるサッカー少年達へ。メッシも座ってるってマウント取れるでな☺️ pic.twitter.com/jSkt2JkbaL
— 市役所辞めた民 (@tensyokusitai07) December 19, 2022
嵐の前の静けさ pic.twitter.com/zXMkd2A0PI
— リオネル・メッシ™ (@JapanMessi3) July 13, 2024
PA❤️⚽️ pic.twitter.com/3baB2W2ygm
— Andrés Iniesta (@andresiniesta8) September 22, 2023
😊中村敬斗の笑顔と、サッカーボールに座る伊東純也
— 日本サッカー情報 丨Holasports (@Holasports_jp) February 19, 2025
🫶Merci
📸IG:levrai_mickael &mickael_photographie #中村敬斗 #伊東純也 pic.twitter.com/SDE02EGZKD
おはようございます☀
— フォルトゥナ ・デュッセルドルフ (@F95_jp) January 9, 2023
Marbellaキャンプ2️⃣日目の準備はできていますか🇪🇸⚽️??#フォルトゥナ | 🔴⚪️ | #田中碧 pic.twitter.com/fVULA6ZlqB
日本での「ボールに座るな」文化を一蹴する男、冨安 pic.twitter.com/m0pNW58wYc
— 除け者の獣の毛の物怪 (@Roku_ars) September 10, 2021
小笠原満男から柴崎岳へ。そして、柴崎岳から佐野海舟へ。 pic.twitter.com/PoNQxTtG8v
— 田中滋 / ✨YouTube開設✨ (@gel_tanaka) September 13, 2023
話を聞いてもらう
— しおコーチ◾︎ジュニアサッカーコーチ&サッカーアパレルGiNGA代表 (@ginga_official) May 19, 2023
聞かせる
聞きたいと思わせる
これもサッカー指導者の腕の見せ所です
ボールに座るな!の意見もあるけど、ボールに座った方が子ども達の目線も高くなるし、ボールで遊ばないので聞いてもらいやすい環境になる pic.twitter.com/6W69HlTTod
サッカーボールに座るな!ボールは友達や!みたいなこと昔よくコーチ怒られてたけど、はい!といいつつ散々蹴ってるのに今さら友達は無理あるんちゃうかなと思っていたことをふと思い出した
— 上野皓平 (@Koooohey51g) April 7, 2023
ベテランの指導者は選手がサッカーボールに座ると「座るな!」と怒る方が多い。
— にーの (@happy_385) October 18, 2024
確かに昔のボールは変形しやすかったけど、今のボールはそんなことない。
低学年の選手達がちょこんと座っているのって可愛いくないですか?
「『ボールの上に座ってはいけません。ボールは友達です。みなさんは友達の上に座りますか?座りませんよね。だからボールの上にも座らないでください。』ってサッカーの時に先生が言ってたんだけど…じゃあ、ボール蹴るのってもっとダメじゃない?友達蹴ったらダメだよねえ?」
— たこ@おうち英語(小5&小2) (@tacoeigo) January 13, 2025
と息子が言ってる😂
⚽️ サッカー部あるある
— SDエイバル (@sdeibar_jp) October 9, 2024
💢 ボールの上に座ると怒られる pic.twitter.com/AaSLFzD4jB
サッカーボールの上に座るな的なやつ、最近全然聞かないけど昔はなんであんなにうるさく注意してたんだろう。
— yuyabu🍥 (@yuyabu2) August 25, 2023
私が通っていたサッカースクールでは、コーチが話してる間はみんなボールに座って話を聞いていたんですが、ボールは友達だから座るなって指導している所もあるみたいですね。
— KNT (@kntdattaKNT) March 19, 2023
考え方はそれぞれでいいと思いますがボールを蹴飛ばす事についてはどう考えているんでしょうか?
サッカーボール⚽️の上に座って指導するコーチの下で俺ならやりたく無いな💦
— 一本柳光唏(ぽんやな) (@MasaniMasaaki) October 2, 2024
私も『古クサ!』と言われるかも知れませんが、サッカーやってる時からの教えがまだ残っていて、サッカーボールの上に座るな!と思ってしまいます。
— B-B love (@team_rswin) January 19, 2024
『ボールは友達!…』大空翼の言葉ですが、『友達の上に座るな!』とコーチに怒られてから座らなくなりました。
サッカーもバスケも好きな自分としてはボールを足蹴にするなんて!って感覚が全くわからない。
— AK-soccer⚽ (@akynon_soccer) April 1, 2024
サッカーボールに座るな!もあるね。
イニエスタ座ってたやん。
子供が座ってるのかわいいやん?
だめなん?
そもそもボール叩いたり蹴ったりしてるのに大事にしろって、何をどこまで大事にするの?
本来座る目的じゃないものに座らせてるんだから怒る人は怒るでしょ、サッカーボールに座るなって怒られたこともあるし
— 茜宮ありすちゃん📌🫧 (@Iori_Yuukido) June 17, 2023
サッカーの日本代表がボールの上に座っててさ、ボールの上に座る人間を日本代表にするんだって想っちゃったワシがおる
— タナトス🌸🍶🌸@麻雀居酒屋店長 (@tanatosu_oboro) February 1, 2024
最近知ったのだがバスケやサッカーってボールに座るという事に否定的な考えが多いみたいなんだな。以前バランスボールでトレーニングしてたからボールに座ってはいけないという概念がなかったのでちょっと驚き。
— Zero (@regretK) February 27, 2023
サッカーボールの上に座る座らない問題、コーチの話聞く時くらい座っても体育座りなんてさせるより良いと思う
— Tsuyoshi (@tsuyoC_fS) September 24, 2023
そもそも蹴っ飛ばしまくってんのにそんなんで形変わらんやろ今のボール
話聞いてりゃどう座ってようが寝てなきゃいいんでねえだろうか
サッカーボールの上って座っちゃいけないの?🤔この前とあるサッカーイベントに参加した時、あるお母さんが子供がサッカーボールの上に座ってたらめっちゃ怒ってた🫣(お互い何回も😅)
— ちゃんこ (@liyuanzhij16624) July 22, 2024
けど、とあるサッカースクールではサッカーボールの上に座って話を聞くように言われるんだけど、、、どっち?
上の世代ほど「サッカーボールの上に座ってはいけない」という価値観が強いようです。一方で若い世代ではサッカーボールに座ることに対する抵抗は少ないようです。

- サッカーボールに座るのは本当にダメなのでしょうか?
- 一概に「絶対ダメ」とは言えません。一昔前はサッカー文化の観点やボールの破損リスク、選手自身のケガ防止という観点から禁じられてきた背景があります。現代ではボールの質向上から、変形やパンクのリスクがほぼ無いため、座るという行為が悪いことではないとされつつあります。
- なぜ昔のコーチたちは「座るな」と指導していたのですか?
- かつては革製のボールが主流で、破損しやすく高価だったためです。また、道具に敬意を払い、サッカー文化やマナーを守る意味合いも強くありました。さらに、転倒によるケガを防ぐ目的もあって、厳しく指導していた背景があります。
- 座ることでボールが壊れるリスクはどれくらいありますか?
- 昔に比べて合成皮革などの耐久性は向上し、破損リスクは大幅に低下しました。とはいえ、リスクがゼロというわけではありませんので、空気圧や使用頻度によっては変形・破損の原因になる可能性は否定できません。特にパンパンに空気を入れたまま長時間座ると、バルブや縫い目に大きな負荷がかかります。
- チームやコーチによって意見が分かれるのはなぜ?
- サッカーボールに対する考え方は、文化や伝統、指導方針などに大きく左右されます。「道具を大切に扱う精神」を重視する人もいれば、「適切な用途で使うならアリ」という人もいて、見解はさまざまです。所属しているチームや指導者の意向に合わせつつ、自分の目的を明確にして判断するとよいでしょう。

結局のところ個人個人の価値観の違いなので、どちらも間違いではないと言えそうです。
「ボールの上に座るなんてボールに対するリスペクトが無い」という価値観も間違いではないですし、「できる限り長い時間ボールに触れる為にボールに座るのは決して悪いことではない」という価値観も間違いではないです。
個人的には現代のサッカーボールは質が上がり、人間の体重程度では変形したりパンクしたりするリスクがほぼないのであれば、座ることは特に問題はないような気がします。
それに多くのプロ選手たちも実際にサッカーボールには座っていますし、ボールに座っているからといって、ボールに対してリスペクトがないという価値観はやや古いように感じます。むしろ、「ボールに座るくらいボールが好き」という考え方もできます。
サッカーボールに座るという行為に対して、しっかりと子供たちへ説明できるように、自分の価値観を決めておくといいと思います。