久保建英のポジション・戦術・役割を徹底解説

久保建英の主なポジションと役割:右ウイングから偽9番まで

久保建英(くぼ たけふさ)は2001年6月4日生まれ、神奈川県川崎市出身のミッドフィールダーです。現在はスペイン・ラ・リーガの名門レアル・ソシエダに所属し、背番号14を背負ってプレーしています。身長173cm・体重67kg、利き足は左足という身体的特徴が、彼の戦術的な個性を大きく形作っています。

久保建英のメインポジションは右ウイング(RW)です。レアル・ソシエダでは2022年の加入以降、この右ウイングのポジションでもっとも多く起用されており、これまでに137試合に出場しています。利き足が左足であるため、右サイドに張ってカットインを仕掛ける「逆足ウイング」としてのスタイルが彼の戦術的な基盤となっています。

右ウイング以外にも、トップ下(AM)での出場が28試合、右サイドハーフ(RM)での出場が18試合あります。トップ下では攻撃のタクトを振るうプレーメイカーとして、右サイドハーフでは守備的なタスクもこなすバランサーとして機能します。さらに試合状況によってはセカンドストライカーや偽9番(フォルス・ナイン)に近い役割を担うこともあり、監督の戦術的要求に応じた柔軟なポジショニングができる点が大きな強みです。

逆足ウイングとしての戦術的意義

右サイドに左利きの選手を配置する「逆足ウイング」は、現代サッカーにおいて非常に有効な戦術オプションとして広く認知されています。右サイドに位置しながら利き足である左足でボールを受けると、自然と中央方向へのカットインが選択肢の筆頭に上がります。これにより、相手守備陣は「縦に突破されるか、内側に切り込まれるか」という二択を迫られ、対応が難しくなります。久保建英はこの構造的な優位性を最大限に活かし、右サイドからの鋭いカットインと左足シュート、あるいはコンビネーションプレーでチャンスを創出しています。

レアル・ソシエダにおける久保建英の戦術的役割を解説

レアル・ソシエダは組織的なポゼッションサッカーを志向するクラブであり、その中で久保建英はチームの攻撃を活性化するキープレーヤーとして欠かせない存在となっています。2022年7月に移籍金約650万ユーロ(約10.4億円)で完全移籍し、2024年2月には契約を2029年まで延長。クラブからの信頼の厚さが伺えます。なお、レアル・マドリードが移籍金の50%相当となる保有権を維持している点も、彼の市場価値の高さを示しています。

ソシエダでの各シーズン成績を振り返ると、2022-23シーズンは35試合9得点、2023-24シーズンは30試合7得点、2024-25シーズンは36試合5得点と、安定した出場機会と一定のゴール関与を記録しています。

ボール保持時の役割:カットインとコンビネーション

久保建英がボールを持つと、まず相手が意識するのはカットインからの左足シュートです。右サイドでボールを受けた彼は、ルックアップした状態で相手ディフェンダーの重心を読みながらドリブルを開始します。特徴的なのは、上半身を高く保ったままボールを細かく動かすドリブルスタイルで、これにより常に視野を広く確保しつつ、相手に奪いにいくタイミングを与えません。

2024-25シーズンのラ・リーガにおけるデータを見ると、1試合あたり5.06回のドリブルを仕掛け、そのうち2.46回が成功。この数値はリーグ内でも上位2%に入る水準であり、欧州7大リーグのU23ウインガーの中ではドリブル成功数3位という評価を受けています。

ボール非保持時の役割:守備貢献とプレッシング

現代のウイングには攻撃面だけでなく、守備への貢献も求められます。久保建英もソシエダの組織的なハイプレスに積極的に参加し、相手のビルドアップに制限をかける役割を担います。右サイドハーフで起用された場合は特に守備タスクの比重が増し、相手の左サイドバックやサイドハーフへのプレッシャーをかけつつ、ボール奪取後の速攻に直接関与するポジション取りをします。

日本代表での久保建英のポジションと戦術的貢献

日本代表においても、久保建英は攻撃の中心的存在として継続的に選出されています。代表でのポジションはクラブ同様に右ウイングまたはトップ下が基本ですが、監督の戦術設計によってインサイドハーフに近いポジションに配置されることもあります。

代表での久保建英の強みと課題

日本代表では、久保建英の個人打開能力は特に重要な意味を持ちます。組織的な崩しが難しい相手に対して、彼の1対1でのドリブル突破やカットインからのシュート・ラストパスは、膠着した試合を動かす起爆剤となります。2020-21シーズンにラ・リーガでドリブル成功数31回(メッシに次ぐ2位)、成功率48.4%を記録したことからも、そのドリブル能力の高さが証明されています。

一方で、代表チームではチームとしての連携精度がクラブほど高くないため、孤立する場面も生じることがあります。しかし2023-24シーズンには22歳以下の欧州5大リーグ選手の中でドリブル成功数6位(成功率62%、90分平均4.7回)を記録するなど、個人戦術の成熟度は年々向上しており、代表でもその能力を発揮できる頻度が増しています。

久保建英のプレースタイルと戦術的特徴:ドリブル・パス・守備貢献

久保建英のプレースタイルを理解するうえで欠かせないのが、「視野の広さ」と「技術の精度」の両立です。ドリブル中も常にルックアップしているため、カットインしながら逆サイドへの展開パスを出したり、ワンツーでポケットを突いたりと、ドリブルをゴールへの手段だけでなくスペース創出のツールとしても活用します。

ドリブルの質:数字が証明する突破力

先述のとおり、久保建英のドリブル能力はデータでも高く評価されています。2024-25シーズンには1試合平均5.06回のドリブルを仕掛けてそのうち2.46回を成功させ、これはラ・リーガ上位2%の水準です。さらに欧州7大リーグのU23ウインガーの中でドリブル成功数3位にランクインしており、若手の中では欧州トップクラスの突破力を持つ選手として認知されています。

特筆すべきは、単なるスピードや身体能力に頼らず、緻密な重心移動・フェイントの多彩さ・ボールタッチの繊細さによってドリブルを成立させている点です。173cmという決して大柄ではない体格で欧州の大型ディフェンダーを相手に渡り合えるのは、技術とインテリジェンスの賜物といえます。

パスとゲームメイク:インサイドハーフ・トップ下としての顔

久保建英のもう一つの重要な側面が、ゲームメイク能力です。トップ下で起用された28試合では、「動きの中で創造する10番」として、狭いスペースでのボールキープ・くさびのパス受け・スルーパス供給といったプレーメイカー的役割を果たしました。テクニカルな視点から見ると、彼のプレーはウイングとしての個人打開と、トップ下・インサイドハーフとしてのゲームコントロールを高いレベルで兼ね備えており、これが「万能型アタッカー」としての評価につながっています。

守備への貢献:現代型アタッカーとしての責任感

久保建英は守備面でも手を抜かない選手として知られています。前線からの積極的なプレッシングでボール奪取の起点になるだけでなく、守備時には自陣深くまで戻るシーンも見られます。右サイドハーフで18試合に起用されているという事実が示すように、監督から守備面でも信頼されていることは明らかです。攻守両面でチームの戦術に貢献できる点が、ソシエダにおける不可欠な存在としての地位を支えています。

久保建英の今後の戦術的進化と最適ポジションを考察

2025年現在、久保建英の市場価値は2500万ユーロ(約40億円)と評価されており、2023年12月に記録した最高値6000万ユーロ(約98億6000万円)からは下落しているものの、依然として世界的に注目される選手であることに変わりありません。年俸も推定250万ユーロ(約4億円)と着実に上昇しており、欧州でのキャリアは確かな実績とともに積み上がっています。

右ウイングのさらなる深化か、新ポジションへの挑戦か

現時点での久保建英の最適ポジションは、依然として右ウイングであると考えられます。137試合という圧倒的な出場数が示すように、このポジションで彼は最大限の能力を発揮しており、チームへの貢献度も高い。ドリブルの突破力、左足からのシュート精度、カットイン後の選択肢の豊富さ——これらはすべて右ウイングというポジションで最も効果的に活きます。

一方で、トップ下での28試合出場が示すように、彼にはゲームメイク能力も十分に備わっています。今後キャリアが成熟するにつれ、よりゲームの中心でボールに関与するインサイドハーフやトップ下への転換も選択肢として浮上してくるでしょう。欧州トップクラブへのステップアップを視野に入れたとき、ウイングとしての爆発力を保ちながら中盤での配球能力を伸ばすことが、さらなる高みへの鍵になるかもしれません。

久保建英が日本サッカーにもたらすもの

久保建英の存在は、日本サッカー界全体にとっても大きな意義を持ちます。FC東京アカデミーを経て16歳5か月22日でJ1デビュー(歴代3位の年少記録)を果たし、バルセロナのカンテラ「ラ・マシア」に日本人として初めて合格したという経歴は、後進の選手たちに世界を目指すためのロールモデルを示しています。ラ・リーガという欧州トップレベルの舞台で毎シーズン30試合以上に出場し、安定した成績を残し続けることの難しさと価値を、久保建英は体現し続けています。

サッカー戦術の観点から見ても、久保建英のプレーはドリブル・パス・ポジショニング・守備貢献といった複数の要素が高度に統合された、現代型アタッカーの理想的なモデルの一つといえるでしょう。彼の試合を「戦術的な目線」で見ることで、サッカー観戦の楽しさはさらに深まるはずです。右サイドでボールを受けた瞬間、どのような選択肢が生まれ、相手がどう対応し、久保建英がいかに状況を打開するのか——そのプロセスを追うことが、久保建英というプレーヤーを最大限に楽しむ鑑賞術といえるでしょう。