PKを外してもやり直しになるケースとは?基本ルールをわかりやすく解説

サッカー観戦中、「PKを外したのに、なぜかやり直しになった」という場面を見て「どういうこと?」と疑問を持ったことはありませんか?実はPKのやり直しには、競技規則に基づいた明確な条件があります。
PKとは、ペナルティーエリア内で守備側の選手が直接フリーキックに該当する反則やハンドを犯した際に、攻撃側に与えられるキックのことです。ゴールから12ヤード(約10.97メートル)離れたペナルティーマークにボールを置き、キッカーとゴールキーパーが1対1で対峙する場面として知られています。
PKやり直しの基本的な考え方は非常にシンプルです。「ゴールが決まらなかったとき、どちらのチームが反則をしていたか」によって判断されます。ゴールが決まらず、かつ守備側(キーパーまたは守備側の選手)が反則をしていた場合は、キッカー側のチームに不利益が生じているため、PKがやり直しになります。一方で、攻撃側が反則をしてゴールが決まった場合もやり直しとなるなど、パターンは複数存在します。以下で具体的なケースごとに解説していきます。
やり直しかどうかを判断する基本的な考え方
審判がPKやり直しを判断する際の大原則は、「反則をしたのはどちらのチームか」「その結果、どちらに不利益が生じたか」という2点です。守備側が反則してゴールが決まらなければ攻撃側が損をしているのでやり直し。攻撃側が反則してゴールが入ればゴールは認められず守備側が損をしているのでやり直し、という構造で理解しておくと整理しやすくなります。
キーパーの反則によるPKやり直しの条件【ラインより前に出た場合】

観戦中に最も目にしやすい「やり直し」の原因のひとつが、ゴールキーパーによる反則です。
GKはキックの瞬間までゴールライン上にいなければならない
競技規則では、PKが蹴られる瞬間、ゴールキーパーはゴールライン上または後方に位置していなければなりません。なお2022-2023シーズンの規則改正により、「キックの瞬間に足が後方にある」ことも認められるようになりましたが、キック前に明らかに前へ出ている場合は反則となります。
副審(線審)はPKの際にゴールキーパーの立ち位置を確認する役割を担っており、キッカーがボールを蹴る前にGKがゴールラインよりも前に両足を出していた場合、副審が旗を上げて知らせます。
GKの反則でゴールが決まらなかった場合→やり直し
GKが前に出るなどの反則をしながらもPKをセーブした場合、つまりゴールが決まらなかった場合はPKのやり直しとなります。これはキッカー側のチームがGKの違反によって不利益を受けたと判断されるためです。
GKの反則でゴールが決まった場合→得点は認められる
一方、GKが反則をしていたとしても、キッカーがゴールを決めた場合は得点が認められます。GKの反則はキッカーにとって不利ではなく、実際に得点という最良の結果が出ているためです。この場合、守備側の選手に対して警告(イエローカード)が出されることもあります。
フィールドプレーヤーのペナルティエリア侵入違反がやり直しに影響するケース

PKが蹴られる瞬間、キッカーとGK以外の選手はペナルティーエリアおよびペナルティーアーク(半円状のエリア)の外にいなければなりません。この「侵入違反」もやり直しに関係する重要なルールです。
守備側の選手が侵入した場合
GK以外の守備側の選手がペナルティーエリア内に侵入した状態でPKが蹴られた場合、以下のように結果が分かれます。
- ゴールに入った場合:得点が認められます(攻撃側に不利益がないため)
- ゴールに入らなかった場合:PKのやり直しとなります(守備側の反則によって攻撃側が不利益を受けた可能性があるため)
攻撃側の選手が侵入した場合
攻撃側の選手がペナルティーエリアに侵入してPKが蹴られた場合は、以下のようになります。
- ゴールに入った場合:ゴールは認められず、PKのやり直しとなります
- ゴールに入らなかった場合:主審はプレーを停止し、守備側チームの間接フリーキックで再開されます
このように、攻撃側が反則しているにもかかわらずゴールが入ってしまった場合は「その得点を認めると守備側が不利益を受ける」としてやり直しとなり、入らなかった場合は「攻撃側の反則によって守備側の機会が奪われた」として間接フリーキックが与えられます。
両チームが同時に侵入反則した場合
攻撃・守備両方の選手が同時に侵入する反則をした場合は、原則としてPKのやり直しとなります。ただし、キッカーが後述するような重大な反則(不正なフェイントなど)を犯した場合はこの限りではありません。
キッカーに関する特別なルール:フェイントと2度蹴り
PKのキッカー自身にも守らなければならないルールがあります。
まずフェイントについて。助走中にリズムを変えたり、ステップを踏んだりするフェイントは認められています。しかし、軸足を踏み込んでキックモーションに入った後にボールをまたいだり、キックの動作を止めたりするような「キックフェイント」は禁止されています。このような反則を犯した場合、キッカーに警告が与えられ、ゴールが決まっていても守備側の間接フリーキックで再開となります。
次に2度蹴りについて。PKを蹴ったボールがゴールポストやクロスバーに当たってキッカーの元へ返ってきた場合、他の選手が触れる前にキッカーが再度そのボールに触れることは禁止されています。これを「2度蹴りのファール」と呼び、この場合は守備側の間接フリーキックで再開となります。
PKやり直しに関するよくある疑問Q&A【実際の事例付き】

Q1. キーパーが少し前に出ていただけでもやり直しになるの?
A. 副審がゴールキーパーのライン越えを確認し、かつPKがセーブされた(ゴールにならなかった)場合はやり直しになります。ただし、実際の試合ではGKが多少前に出ることは珍しくなく、副審が明確に確認できた場合に限って旗が上がります。微妙なケースでは見逃されることもあり、審判の判断に委ねられる部分もあります。
Q2. PKがポストに当たって外れた後にやり直しになることはある?
A. あります。例えばGKが前に出ていた(反則あり)状態でPKがポストに当たって外れた場合、守備側の反則+ゴールならず=攻撃側に不利益、という判断でやり直しになります。ポストに当たって外れたかどうかではなく、「反則があったかどうか」と「ゴールが決まったかどうか」が判断基準です。
Q3. PKやり直し後にまた外したら?
A. やり直し後も通常のPKと同じルールが適用されます。もし再びやり直し条件が成立すれば、再度やり直しになることもあり得ます。ただしやり直し後にGKがセーブした場合は、反則がない限り通常のプレー再開となります。
Q4. PKを蹴る前に副審が旗を上げたら蹴り直しになるの?
A. 副審が旗を上げても、主審が最終的な判断をします。副審はGKの動きなどを確認して主審に知らせる役割を担いますが、試合を止めるかどうかは主審の判断です。GKの反則が確認されてゴールにならなかった場合、主審がやり直しを命じます。
Q5. PK戦でもやり直しのルールは適用される?
A. はい、PK戦(延長後のペナルティーマークからのキック)においても、同じルールが基本的に適用されます。GKの前出やフィールドプレーヤーの侵入が確認されれば、やり直しになる場合があります。
PKのやり直しルールまとめ:覚えておきたいポイントと審判の判断基準

ここまで解説してきたPKやり直しのルールを、わかりやすく整理してまとめます。
やり直しになるケース一覧
- 守備側(GK・守備側フィールドプレーヤー)が反則をして、かつゴールが決まらなかった場合
- 攻撃側のフィールドプレーヤーが侵入反則をして、かつゴールが決まった場合
- 攻撃・守備両チームが同時に反則をした場合(重大反則を除く)
やり直しにならないケース
- 守備側が反則をしていてもゴールが決まった場合(得点が認められる)
- 攻撃側が侵入反則をしてゴールが決まらなかった場合(守備側の間接フリーキックで再開)
- キッカーが不正なフェイントをした場合(守備側の間接フリーキックで再開)
審判の判断基準:3つのチェックポイント
審判がPKやり直しを判断する際には、大きく以下の3点を確認しています。
- 反則があったかどうか:GKの前出、フィールドプレーヤーの侵入、キッカーの不正フェイントなど
- どちらのチームが反則したか:守備側か攻撃側かによって処置が異なる
- ゴールが決まったかどうか:同じ反則でも、ゴールの結果によって処置が変わる
この3点の組み合わせによって、「やり直し」「得点認定」「間接フリーキック」のいずれかが選択されます。
観戦をもっと楽しむために
PKのやり直しルールは、一見複雑に見えますが「どちらが反則して、どちらが損をしたか」という基本原則を押さえておくと、試合中の場面をずっとスムーズに理解できるようになります。次にPKやり直しの場面に出会ったときは、「ゴールが決まったかどうか」「どちらの選手が何をしたか」という視点で見てみてください。審判の判断の意味が、きっと手に取るように分かるはずです。
サッカーのルールは毎年IFABによって見直されており、細かい部分が改正されることもあります。観戦をより深く楽しむためにも、競技規則の基本を知っておくことは大きな助けになります。
フットボール戦士 
