パラグアイ代表は汚い?W杯2026のファウルと警告を48か国で比較

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こんな疑問を持つ方へ
  • パラグアイ代表は汚いって本当?ラフプレーが多いチームなの?
  • W杯2026のフランス戦で何があった?退場や審判の判定が話題になったのはなぜ?
  • よく聞く「マリーシア」って何?11月17日の日本戦も荒れるの?

パラグアイ代表は、数字で見ると「ファウルと警告がやや多いチーム」ですが、48か国の中で飛び抜けて多いわけではありません。W杯2026では1試合あたりのファウルが13.2回で48か国中12番目、選手への警告は1.80枚で8番目でした。ファウルの数だけなら、日本(13.8回)のほうが多かったほどです。

それでも「汚い」と言われるのは、2026年7月4日のフランス戦で、記録に残らない押し合いや挑発が目立ち、海外のメディアや解説者から強い批判が出たからです。この記事では、W杯2026の全104試合と、1970年以降の男子W杯のデータをフットボール戦士が集計し、批判の中身、アルミロンの退場、審判の話題、「マリーシア」の意味まで、事実と数字で整理します。

パラグアイ代表は汚い?W杯2026の数字ではファウル12番目・警告8番目

W杯2026 1試合あたりのファウルと警告ファウル(回)最多:ハイチ18.3日本13.8パラグアイ13.248か国の平均11.648か国中12番目に多い選手への警告(枚)最多:エジプト2.40パラグアイ1.8048か国の平均1.29日本1.0048か国中8番目に多い退場はパラグアイ1人(48か国中13か国で退場者あり)ファウルはESPN、警告・退場はFIFA公式の試合記録(全104試合)
W杯2026のチーム別の1試合あたりのファウルと警告(ESPNの試合データとFIFA公式の試合記録をもとにフットボール戦士が集計・作図)

結論から言うと、パラグアイは「ファウルと警告は平均より多いが、大会で一番荒いチームではない」というのが数字の答えです。W杯2026の5試合で、パラグアイが犯したファウルは66回(1試合13.2回)、選手への警告は9枚(1.80枚)、退場は1人でした。

48か国の平均は、ファウルが1試合11.6回、警告が1.29枚です。パラグアイはどちらも平均を上回りますが、ファウルはハイチ(18.3回)やパナマ(15.3回)、アルゼンチン(14.1回)のほうが多く、警告もエジプト(2.40枚)やカナダ(2.20枚)のほうが多くなっています。

また、パラグアイが5試合で受けたファウル(相手が犯したファウル)は62回で、犯した66回とほとんど変わりません。ファウルの数だけを見ると、「一方的に汚いプレーをしていた」とまでは言えない結果です。

ポイント:「汚い」という評判は、ファウルの数よりも、フランス戦での肘・押し合い・時間かせぎなど「反則として記録されなかったプレー」から生まれたものです。数字と印象にずれがあることを知っておくと、報道を冷静に読めます。

「汚い」と言われたきっかけはW杯2026のフランス戦

パラグアイ 0-1 フランス(2026年7月4日)パラグアイフランスファウル1311選手への警告03シュート515ボール保持(%)2476ファウル・シュート・保持率はESPN、警告はFIFA公式の試合記録
W杯2026ラウンド16、パラグアイ対フランスの主な数字(ESPNの試合データとFIFA公式の試合記録をもとにフットボール戦士が作図)

「パラグアイ代表 汚い」という検索が増えたのは、2026年7月4日(日本時間5日)にフィラデルフィアで行われたW杯のラウンド16、フランス戦のあとです。パラグアイは0-1で敗れ、70分のエムバペのPKが決勝点になりました。このPKは、ディエゴ・ゴメスがドゥエを倒したプレーを、主審がVARの助言を受けて映像で確かめてから与えたものです。

試合中は、ボール保持率が24%対76%とフランスが押し込み、パラグアイは5-4-1で守りを固めました。国内の報道では、次のような場面が伝えられています。

  • 前半33分、フランスのGKメニャンがボールをキャッチして倒れたところに、パラグアイのベラスケスが折り重なるように倒れ込んだ(中日スポーツ)
  • 前半38分、ゴール前へ走り込んだエムバペが、ガラルサの「チョップ」とされる接触で倒れたが、ファウルは取られなかった(THE ANSWER)
  • エムバペがパラグアイのクバスを手で押し、両チームの選手が入り乱れて主審が割って入った(中日スポーツ)

数字で見ると、ファウルはパラグアイ13回・フランス11回で大差はありません。それなのに選手への警告はパラグアイ0枚・フランス3枚だったことが、「パラグアイは反則しても罰せられなかった」という見方につながりました。

海外メディア・選手は何と言ったか

試合後には、フランス側と海外のメディアから厳しい言葉が出ました。主なものを、誰がどこで言ったかとあわせて表にまとめます。

だれがどこで内容(要約)
エムバペ(フランス)試合後の取材「汚いプレーをするなら、こちらもできることを示した」(Goal日本版の訳)
デシャン監督(フランス)試合後の会見相手のベンチから侮辱があったと苦言(BBC)
シェルキ(フランス)試合後「30回もファウルして警告が1枚も出ないのは理解できない」(Goal日本版)
ジョー・ハート(元イングランド代表GK)BBCの中継パラグアイの選手たちの振る舞いを「恥ずべきもの」と批判(BBC)
ドイツ紙「ビルト」ハイライト動画の見出し「フランス、暴力集団を叩き出す」(THE ANSWER)

※発言は各報道の要約・翻訳です。出典はGoal日本版(2026年7月5日)、BBCの試合記事(2026年7月5日)、THE ANSWER(2026年7月5日)。

ただし、シェルキの「30回」は試合データ(13回)と合いません。BBCの試合記事も、ファウル数13対11は「試合の中身を表していない」と書いています。批判の多くは、ファウルの回数ではなく、反則を取られなかった接触や挑発に向けられたものだと読むのが正確です。

一方で、パラグアイ国内のメディアは、チームの体を張った守り方を支持したと伝えられています(The Times of Central Asia、2026年7月5日)。ブラジルの「グローボ・エスポルチ」の分析記事は、セットプレーでの押し合いや不要な抗議など、パラグアイがフランスを挑発しようとしていた点を指摘しています。

「暴力」「炎上」と検索されるのはなぜ?

「暴力」という言葉は、ドイツの大衆紙ビルトが見出しに使った「暴力集団」や、ガラルサの「チョップ」の場面から広まったものです。FIFA公式の試合記録で確かめると、W杯2026でパラグアイの選手が暴力的な行為で退場になった試合はありません(唯一の退場は、次の章のアルミロンの「口を覆う」行為です)。

「炎上」は、試合そのものとは別の出来事も含んでいます。フランス戦の後、パラグアイの上院議員がSNSにエムバペへの人種差別的な投稿をし、エムバペ本人が7月6日にXで批判しました。この投稿には、フランスのマクロン大統領、パラグアイ政府、FIFAのインファンティーノ会長がそろって非難の声明などを出しています(時事通信、2026年7月7日)。投稿したのは政治家で、パラグアイ代表の選手やスタッフではありません。

退場(レッドカード)はアルミロンの1枚だけ。理由は「口を覆った」新ルール

FIFA公式チャンネル「Highlights | Türkiye 0-1 Paraguay」(2026年6月公開)。アルミロンが退場になったトルコ戦です。

W杯2026でパラグアイから出た退場は、6月19日のトルコ戦のミゲル・アルミロン(10番)の1人だけです。前半アディショナルタイム(FIFAの記録では45+3分)に一発レッドカードが出ましたが、理由はラフプレーではありません。

アルミロンは、試合が止まって両チームがもめた場面で、トルコのメルト・ミュルドゥルに手で口元を隠しながら話しかけました。VARの介入を受けて、イバン・バルトン主審(エルサルバドル)が映像を確かめ、レッドカードを出しています(サッカーキング・ゲキサカ、2026年6月20日)。

ポイント:口を覆う行為への退場は、差別的な発言を隠すことを防ぐため、2026年4月にIFAB(ルールを決める国際サッカー評議会)が決めたものです。きっかけは2026年2月のチャンピオンズリーグ、ベンフィカ対レアル・マドリードでの騒動で、通称「ヴィニシウス・ルール」と呼ばれます。W杯でこのルールが適用されたのは、アルミロンが初めてでした。

パラグアイは後半を10人で戦い、1-0で逃げ切りました。アルミロンは次のオーストラリア戦(6月25日)でメンバー表に名前がなく、ラウンド32のドイツ戦で戻っています(FIFA公式の試合記録)。

アルミロンは初戦のアメリカ戦でも、VARで相手DFへの警告が取り消され、代わりに自分がシミュレーション(ファウルを受けたふり)で警告を受けています。トルコ戦の後、グスタボ・アルファロ監督は判定を受け入れつつ、「厳格になり過ぎて、サッカーの本質が失われるのではないかと懸念している」と話しました(時事通信、2026年6月21日)。

審判への批判は?フランス戦のタンタシェフ主審に集中

日付(現地)相手・結果主審(国)ファウル警告退場
6月12日アメリカ 1-4 負けマッケリー(オランダ)1750
6月19日トルコ 1-0 勝ちバルトン(エルサルバドル)1511
6月25日オーストラリア 0-0テュルパン(フランス)910
6月29日ドイツ 1-1(PK4-3)勝ちジャイエド(モロッコ)1220
7月4日フランス 0-1 負けタンタシェフ(ウズベキスタン)1300
合計(5試合)6691

※主審・警告・退場はFIFA公式の試合記録、ファウルはESPNの試合データをもとにフットボール戦士が作成。警告・退場は選手に出たものだけ(ベンチのスタッフへの警告は含まない)。

「パラグアイ代表 審判」で検索されるのも、ほとんどがフランス戦の判定です。主審はウズベキスタンのイルギス・タンタシェフでした。上の表は、パラグアイの5試合の主審と、カード・ファウルの数です。

表のとおり、警告が一番多かったのは初戦のアメリカ戦(5枚)で、フランス戦は0枚でした。フランス戦の判定には、スイスの大衆紙「ブリック」が「審判は真横にいた」と見出しを立て、ドイツのニュース局「n-tv」も審判団が試合をコントロールできていなかったと批判しました(THE ANSWER、2026年7月5日)。

つまり、フランス戦の批判は「パラグアイが汚い」と「主審が甘かった」の2つがセットになっています。警告を出すかどうかは主審が決めることなので、「警告0枚」はパラグアイの選手だけでなく、判定への評価でもあります。

マリーシアとは?南米サッカーの「ずる賢さ」とパラグアイ

プレーの例ルール上の扱い
リードしている時にボールをゆっくり運ぶ、陣形を下げて守る反則ではない(戦術)
ファウルを誘うための大げさな転倒見抜かれればシミュレーションで警告
プレー再開を遅らせる(相手GKの上に倒れ込む・ボールを渡さない)遅延行為として警告の対象
ボールと関係のない場面で、肘や腕で相手を倒すファウル。悪質なら警告や退場
相手と話すときに手で口を覆うW杯2026では退場の対象(アルミロンの例)

※競技規則の一般的な扱いと、本文で紹介した報道をもとにフットボール戦士がまとめたもの。実際の判定は主審が決めます。

「マリーシア」はポルトガル語で「ずる賢さ」を意味する言葉で、南米サッカーの文化として紹介されることが多い言葉です。審判の見ていないところでの小さな反則、相手を挑発して冷静さを失わせる言動、時間の使い方など、ルールのすき間を突く駆け引き全般を指します(時事通信、2026年6月21日)。

パラグアイのフランス戦は、まさにこの「マリーシア」が話題になった試合でした。ただし、上の表のとおり、マリーシアと呼ばれるプレーにも、ルール上は問題のない駆け引きから、本来は反則になるものまで幅があります。

時事通信は、アルミロンの退場を「グレーゾーンが狭まる現代で『マリーシア』の境界線がまた一歩動いた」と表現しています。VARと新しいルールで、昔なら見逃されていたずる賢さが罰せられるようになってきているのが今のW杯です。

歴代のW杯でもカードは多い?1970〜2022年の警告・退場

男子W杯の1試合あたりの警告(1970〜2022年)15試合以上の国のうち南米と日本チリ2.44パラグアイ2.05アルゼンチン1.88ウルグアイ1.87全チーム平均1.71日本1.68コロンビア1.63ブラジル1.26ペルー0.62パラグアイは20試合で警告41枚・退場2人退場は1試合0.10人で、全チームの平均(0.10人)と同じ出典: Fjelstul World Cup Database(CC BY-SA 4.0)
男子W杯の国別の1試合あたりの警告(1970〜2022年・15試合以上の国。Fjelstul World Cup Databaseをもとにフットボール戦士が集計・作図)

イエローカードとレッドカードがW杯で使われ始めた1970年大会から2022年大会までで見ると、パラグアイは20試合で警告41枚、1試合あたり2.05枚でした。これは15試合以上戦った40か国のうち10番目の多さで、全チームの平均1.71枚を上回ります。南米の国ではチリ(2.44枚)に次ぐ多さです。

一方で、退場は2002年大会の2人(スロベニア戦とドイツ戦)だけで、1試合あたり0.10人。全チームの平均とほぼ同じです。退場の多さで目立つのは、カメルーン(26試合で9人)やアルゼンチン(72試合で8人)、ウルグアイ(39試合で6人)のほうです。

大会試合警告退場成績
1986年450ベスト16
1998年480ベスト16
2002年4112ベスト16
2006年380グループリーグ敗退
2010年590ベスト8
2026年591ベスト16

※1986〜2010年はFjelstul World Cup Database(CC BY-SA 4.0)、2026年はFIFA公式の試合記録をもとにフットボール戦士が集計。警告は2枚目のイエローを含む。1930・1950・1958年の出場はカード制度の前なので含めていません。

2026年の1試合1.80枚は、過去の大会の平均(2.05枚)より少なめです。「昔からカードが多めのチーム」ではあるものの、2026年大会で急に荒くなったわけではありません。ちなみに、2010年大会の日本戦(0-0・PK戦でパラグアイの勝ち)では、警告は日本4枚・パラグアイ1枚でした。

よくある質問

Q1. パラグアイ代表は本当に汚いチームですか?

A. 数字では「ファウルと警告がやや多いチーム」です。W杯2026のファウルは1試合13.2回で48か国中12番目、警告は1.80枚で8番目でした。「汚い」という評判は、主にフランス戦の押し合いや挑発から来ています。

Q2. パラグアイ代表のレッドカード(退場)は何枚でしたか?

A. W杯2026ではトルコ戦のアルミロンの1枚だけです。理由はラフプレーではなく、相手と話すときに口を手で覆ったことで、2026年から導入された新しいルールが初めて適用されました。

Q3. フランス戦でパラグアイに警告が出なかったのはなぜですか?

A. 主審のタンタシェフ(ウズベキスタン)がカードを出さなかったためです。ファウル数はパラグアイ13回・フランス11回でしたが、反則を取られなかった接触が多く、主審の判定にも海外メディアから批判が出ました。

Q4. マリーシアとはどういう意味ですか?

A. ポルトガル語で「ずる賢さ」を意味し、南米サッカーで審判の死角を突くプレーや挑発、時間の使い方などの駆け引きを指す言葉です。反則にならない駆け引きから、警告・退場になるものまで幅があります。

Q5. 11月17日の日本対パラグアイも荒れますか?

A. 試合前に予想はできません。この試合はシンガポール・ナショナルスタジアムで日本時間22時10分キックオフの親善試合で、90分で終了し延長・PK戦はありません。W杯の決勝トーナメントとは条件が違うため、フランス戦のような展開になるとは限りません。両国の対戦成績や力の差は、下の関連記事で比べています。

まとめ:パラグアイ代表は「汚い」より「カードがやや多い」チーム

  • W杯2026のファウルは1試合13.2回(48か国中12番目)、警告は1.80枚(8番目)。日本のファウル(13.8回)より少なかった
  • 「汚い」と言われたきっかけは、2026年7月4日のフランス戦。ファウルは13対11でも、パラグアイの選手には警告が1枚も出なかった
  • 退場はトルコ戦のアルミロンの1人だけで、理由は「口を覆った」新ルール。暴力行為による退場はない
  • 審判への批判は、フランス戦のタンタシェフ主審に集中した
  • 1970〜2022年のW杯でも警告は1試合2.05枚と多めだが、退場は平均並み

パラグアイは、守備を固めて体を張り、相手のリズムを崩す戦い方をするチームです。その中に、反則すれすれの「マリーシア」が含まれるのも事実ですが、数字で見ると大会の中で突出して荒いチームではありません。チームの強さや戦い方の全体像は、パラグアイ代表は強い?FIFAランキング33位・W杯2026ベスト16の実力で詳しく紹介しています。

※この記事の情報は2026年10月11日時点のものです。W杯2026のファウル数はESPNの試合データ、警告・退場・主審はFIFA公式の試合記録、1970〜2022年はFjelstul World Cup Database(CC BY-SA 4.0)をもとにフットボール戦士が集計しました。データの提供元によって、ファウルやカードの数が少し違うことがあります。