- 日本代表の歴代監督で、自分より強い相手(格上)に一番勝ったのは誰?
- 相手の強さを考えた「期待以上の成績」で比べると、順位は変わる?
- ドイツやスペインに勝った森保監督は、格下やW杯本大会ではどうだった?
日本代表の歴代監督で格上に一番勝ったのは、森保一監督です。1992年以降の日本代表522試合を調べると、森保監督は試合前のレーティングが日本より高い相手と23試合戦い、12勝5分6敗(勝率52.2%)でした。勝った数も勝率も、格上と10試合以上戦った監督8人の中で1位です。
ただし、試合前の「勝つ見込み」と実際の成績を比べた「期待との差」では、1992〜93年のハンス・オフト監督が1位で、森保監督は2位でした。強さの物差しには、フットボール戦士が国際Aマッチ約5万試合から計算している独自の指標「フットボール戦士レーティング」を使っています(FIFAランキングとは別のものです)。
格上に一番勝った日本代表監督は森保一(23試合で12勝)
格上との勝率は、森保監督の52.2%(23試合12勝)が1位、オフト監督の50.0%(16試合8勝)が2位でした。格上と10試合以上戦った監督で、半分以上勝っているのはこの2人だけです。一番低いのはジーコ監督の12.5%(16試合2勝)でした。
1992年以降、日本が格上と戦ったのは151試合で、51勝36分64敗(勝率33.8%)です。森保監督の時代を除くと128試合39勝(30.5%)なので、格上には3試合に1回も勝てないのがふつうでした。森保監督の12勝は、151試合で挙げた51勝のうち4分の1近くにあたります。
格上と10試合以上戦った監督8人の成績は、次のとおりです。
| 監督 | 在任 | 格上との試合 | 勝-分-敗 | 勝率 | 期待との差 |
|---|---|---|---|---|---|
| 森保一 | 2018〜26年 | 23 | 12-5-6 | 52.2% | +20.5 |
| ハンス・オフト | 1992〜93年 | 16 | 8-5-3 | 50.0% | +25.6 |
| 岡田武史(1回目) | 1997〜98年 | 10 | 4-1-5 | 40.0% | +4.8 |
| 岡田武史(2回目) | 2008〜10年 | 13 | 5-2-6 | 38.5% | −0.9 |
| アルベルト・ザッケローニ | 2010〜14年 | 13 | 5-1-7 | 38.5% | +8.1 |
| フィリップ・トルシエ | 1998〜2002年 | 22 | 7-7-8 | 31.8% | +9.7 |
| 加茂周 | 1995〜97年 | 20 | 4-5-11 | 20.0% | −3.0 |
| ジーコ | 2002〜06年 | 16 | 2-5-9 | 12.5% | −7.7 |
※格上との試合が10試合未満の6人(オシム4試合2勝、西野朗5試合2勝、ファルカン4試合0勝、ハリルホジッチ3試合0勝、アギーレ2試合0勝、原博実代行0試合)は順位から外しました。PK戦は引き分けとして数えています。
全試合の勝率で比べた歴代監督のランキングは、次の記事で紹介しています。
「期待との差」で見ると1位はオフト監督、森保監督は2位
同じ「格上」でも、少しだけ強い相手と、はるかに強い相手では勝ちやすさが違います。そこで、試合ごとに試合前の勝つ見込みを出し、実際の成績がそれをどれだけ上回ったかを比べました。
1位はオフト監督です。格上16試合の勝つ見込みは平均40.0%でしたが、実際の勝ち点の割合は65.6%で、差は+25.6ポイントありました。森保監督は見込み42.5%に対して実際63.0%で+20.5、3位はトルシエ監督の+9.7です。反対に、ジーコ監督(−7.7)、加茂周監督(−3.0)、岡田武史監督(2回目・−0.9)は見込みを下回りました。
オフト監督の時代の日本は、レーティングが1500〜1700点前後で、アジアの強豪の多くが格上でした。格上16試合のうち10試合はダイナスティカップ、アジアカップ、W杯予選のアジア勢との試合で、6勝4分0敗と負けていません。1992年のアジアカップでは格上のイランに1-0(三浦知良の決勝点)、決勝でサウジアラビアに1-0(高木琢也の決勝点)と勝って初優勝しました。1993年10月のW杯最終予選でも、韓国に1-0で勝っています。
ただ、オフト監督の格上との試合は16試合と少なく、1試合で数ポイント動きます。勝った数・勝率・期待との差のどれで見ても、上位はオフト監督と森保監督の2人です。
森保監督が格上に勝った12試合は?ドイツ・スペイン・ブラジル・イングランド
森保監督が格上に勝った12試合で、一番勝つ見込みが低かったのは2022年カタールW杯のスペイン戦(22%)です。0-1から後半に堂安律と田中碧が決めて2-1で逆転しました。同じ大会のドイツ戦(33%)も、堂安律と浅野拓磨のゴールで2-1の逆転勝ちでした。
W杯のあとも、2023年9月にドイツのヴォルフスブルクで4-1(32%)、2026年3月にロンドンのウェンブリー・スタジアムで三笘薫のゴールでイングランドに1-0(23%)と、強豪国に敵地で勝っています。2025年10月のブラジル戦(49%)は、0-2から南野拓実、中村敬斗、上田綺世の3点で逆転し、14試合目で初めてブラジルに勝ちました。
日本サッカー協会の公式チャンネル「JFATV」がブラジル戦の舞台裏を伝えた動画(2025年10月公開)。
アジアの格上にも勝っています。2019年のアジアカップ準決勝ではイランに3-0(大迫勇也の2点と原口元気)、韓国には2021年3月と2022年7月にどちらも3-0、2021年10月のW杯最終予選ではオーストラリアに2-1でした。
一方で、格上と戦う機会は減りました。森保監督の111試合のうち、格上は23試合(20.7%)だけです。オフト監督の時代は28試合中16試合(57.1%)が格上でした。日本のレーティングが上がり、多くの国が「格下」の側に入るようになったためです。森保監督の格上との試合は、2018〜2022年が16試合9勝、2023年以降が7試合3勝2分2敗でした。
格下にはどうだった?格上に強い監督でも見込みどおり
格上に強かった監督が、格下にも強いとは限りません。森保監督の格下との試合は88試合で64勝12分12敗、期待との差は−1.0でした。勝つ見込みが高い試合で、ほぼ見込みどおりの成績を残したことになります。オフト監督は格下12試合で+4.4でした。
1992年以降の格下との試合371試合を合計すると、期待との差は−2.2です。8人のうち格下でプラスだったのは加茂周監督(+6.8)とオフト監督の2人だけでした。岡田武史監督(1回目)の−24.1は、格下との試合が7試合しかない中での数字です。
勝つ見込みが75%以上だったのに負けた「痛い負け」は、次の記事にまとめています。森保監督は見込み75%以上の60試合で3敗でした。
W杯本大会で格上に勝った監督は3人だけ
W杯本大会で格上に勝ったことがあるのは、森保監督、岡田武史監督(2回目)、西野朗監督の3人だけです。森保監督は格上と5試合戦って2勝2分1敗で、勝ちは2022年のドイツ戦とスペイン戦、引き分けは2022年のクロアチア戦(PK戦で敗退)と2026年のオランダ戦(2-2)、負けは2026年のラウンド32のブラジル戦(1-2)でした。
岡田監督(2回目)は2010年大会でカメルーンに1-0(本田圭佑の決勝点)、デンマークに3-1と2勝し、ベスト16に進みました。西野監督は2018年大会の初戦でコロンビアに2-1(香川真司のPKと大迫勇也のヘディング)で勝っています。
ジーコ監督(2006年)、岡田監督(1回目・1998年)、ザッケローニ監督(2014年)は、W杯本大会で格上に1度も勝てませんでした。なお、トルシエ監督の2002年大会の4試合は、どの相手も試合前のレーティングが日本より低く、計算上は「格上との試合」がありません。
データについて:格上と期待との差はどう決めた?
集計には、国際Aマッチの公開データ(martj42/international_results・CC0)に入っている1872年から2026年10月6日までの49,941試合を、古い順にElo方式で計算した「フットボール戦士レーティング」を使いました。対象は1992年5月30日(オフト監督の初戦)から2026年10月5日のニュージーランド戦までの日本代表522試合で、試合は日本代表 戦績データと同じものにそろえています。
格上は「試合前のレーティングが日本より高い相手」で、ホームかアウェーかは考えていません。そのため、日本のホームで少しだけ強い相手と戦った試合のように、勝つ見込みが50%を超える「格上」もあります。この違いをならすために、勝つ見込みとの差もあわせて見ました。格上との試合が10試合未満の監督は、1試合で数字が大きく動くので順位から外しています。
勝率の記事では「前年末に世界30位以内の相手」を強い相手として数えたので、森保監督の数字は33試合14勝と、この記事とは違います。試合数も、勝率の記事は2026年9月28日までの109試合、この記事は10月5日までの111試合です。レーティングは出場したメンバーや試合の重みを知らないので、主力を休ませた親善試合も、W杯本大会も同じ式で計算しています。
よくある質問
A. 森保一監督です。1992年以降、試合前のレーティングが日本より高い相手と23試合戦い、12勝5分6敗(勝率52.2%)でした。勝った数・勝率とも、格上と10試合以上戦った監督で1位です。
A. 試合前の勝つ見込みと比べた「期待との差」では、オフト監督が+25.6ポイントで1位、森保監督が+20.5ポイントで2位です。オフト監督は格上との試合が16試合と少ない点に注意が必要です。
A. 2022年カタールW杯のスペイン戦(2-1)で、試合前の日本の勝つ見込みは22%でした。2026年3月のイングランド戦(1-0・23%)が続きます。
A. 森保監督(2勝)、岡田武史監督(2回目・2勝)、西野朗監督(1勝)の3人です。
まとめ:格上に一番勝ったのは森保監督、期待との差ではオフト監督
- 格上に一番勝った日本代表監督は森保一監督。23試合12勝5分6敗で勝率52.2%
- 試合前の勝つ見込みと比べた期待との差では、オフト監督(+25.6)が1位、森保監督(+20.5)が2位
- 1992年以降の格上との試合は151試合51勝。森保監督を除くと勝率30.5%
- 格下との試合では、森保監督も88試合で期待との差−1.0と、ほぼ見込みどおり
- W杯本大会で格上に勝ったのは森保監督・岡田監督(2回目)・西野監督の3人
格上との成績は、日本がまだ弱かった1990年代前半のオフト監督と、ドイツ・スペイン・ブラジル・イングランドを破った森保監督の2人が抜けています。日本が強くなった今は、格上と戦う機会そのものが減っています。
※この記事の情報は2026年10月10日時点のものです。試合結果は公開データ(martj42/international_results)の2026年10月6日までの記録をもとに、フットボール戦士がElo方式で計算・集計しました。勝つ見込みは試合前のレーティングから出した値で、出場メンバーや試合の重みは含みません。
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