- オフサイドは体のどの部分で判定するの?
- 手や腕が相手より前に出ていたらオフサイドになる?
- 肩はどこまでが「腕」で、どこからが判定に入るの?
オフサイドの判定に使う体の部分は頭・胴体・足で、手と腕は含みません。腕と肩の境目は「脇の下のいちばん奥」の高さで、そこより上の肩は胴体として判定に入ります。手や腕だけが相手より前に出ていても、オフサイドにはなりません。
この記事では、2026年9月時点で使われている競技規則2026/27の条文をもとに、体のどこで判定するのかを図で整理します。VARの線の引き方や半自動オフサイド(SAOT)、試験中の新しい考え方もあわせて紹介します。
判定に使うのは頭・胴体・足、手と腕は含まない
競技規則の第11条では、頭・胴体・足のどこか一部でも、ボールと相手の後ろから2人目の選手の両方より相手ゴールラインに近ければ、オフサイドポジションになると定めています。相手陣内にいることも条件です(ハーフウェーライン上は含みません)。手と腕は、ゴールキーパーを含むすべての選手について判定に入れません。
足は太ももからつま先、かかとまで全部が対象です。胴体には肩やお尻も含まれます。つまり「体の大部分は後ろでも、つま先1つが前ならオフサイドポジション」ということになります。
手と腕を外す理由について、競技規則そのものは説明していません。ただ、FIFAは2026年3月の発表で、判定に使うのは「得点に使ってよい体の部分(手と腕以外)」と表現しています。手や腕から直接得点するとハンドの反則になる(第12条)ので、その部分の位置は問わない、と考えると理解しやすくなります。
この決まりは守備側にも当てはまります。相手DFが手を後ろに伸ばしていても、その手でオフサイドラインは決まりません。線を引くのは、守備側の選手の頭・胴体・足のうち、いちばんゴールラインに近い部分です。
肩はどこから?腕との境目は「脇の下のいちばん奥」
第11条は、オフサイドを判定するときの腕の上限を「脇の下の最も奥の位置」までとしています。脇の下のいちばん奥の高さより下が腕で、そこより上は肩、つまり胴体の一部です。
よくある誤解は「腕の付け根から先はすべて腕」というものです。実際には、腕の付け根の上側にある肩の丸い部分は判定に入ります。肩だけが相手より前に出ていれば、オフサイドポジションです。
この境目は、ハンドの反則と同じです。第12条でも、ハンドを判定するときの腕の上限は脇の下の最も奥の位置とされています。ボールが当たればハンドになりうる部分は、オフサイドの判定には使わない、と覚えると整理しやすくなります。
腕だけ前ならオンサイド、つま先が前ならオフサイド
左の場面では、FWの腕がDFより前にありますが、頭・胴体・足はDFより後ろです。腕は数えないので、オフサイドポジションではありません。
まん中の場面は、体の大部分が後ろでも、前に踏み出したつま先がDFより前に出ています。足はつま先まで判定に入るので、オフサイドポジションです。
右の場面のように、後ろから2人目の選手と同じレベル(並んでいる状態)ならオフサイドポジションではありません。また、ボールより後ろにいるときも対象外です。条文は「ボールと後ろから2人目の選手の両方より前」を条件にしているためです。
実際の例:パリ五輪の日本対スペイン戦
テレ東スポーツ(2024年8月3日公開)。パリ五輪の準々決勝で、細谷真大選手のゴールがオフサイドで取り消された場面です
2024年8月2日(現地時間)のパリ五輪準々決勝で、日本は0-1の前半40分に細谷真大選手がDFを背負いながら反転してゴールを決めました。しかしVARのチェックでオフサイドとなり、得点は取り消されました。試合は0-3で敗れています。
映像では、細谷選手の足がほんのわずかにラインを越えているように見えます。体の大部分がDFより後ろでも、足の先が前ならオフサイドポジションになる、という典型的な場面でした。
VARはどこに線を引く?2Dラインの限界と3Dライン
Jリーグ公式チャンネル(2021年5月7日公開)。線を引いてもオンサイドに見えたゴールがなぜオフサイドだったのかを、当時の2D方式のラインの限界とあわせて話し合っています
VARがオフサイドを確かめるときは、まず味方がボールに触れた瞬間を決めます。競技規則では、ボールに最初に触れた瞬間を使い、ゴールキーパーが投げたときだけは最後に触れた瞬間を使うとされています。
次に、守備側と攻撃側それぞれで、頭・胴体・足のうちいちばんゴールラインに近い部分に線を合わせます。ここで難しいのが肩や頭のように、空中にある部分です。
Jリーグ公式サイトによると、2022年までの2Dラインはピッチの地面に接した位置でしか線を設定できませんでした。2023年からはJ1の全試合などで3Dラインを使い、肩やお尻の位置にも線を合わせられるようになっています。線を映せるカメラも2台から5台に増えました。
半自動オフサイド(SAOT)は2022年W杯から
FIFA公式チャンネル(2022年7月1日公開・英語)。カタール大会で使う半自動オフサイドの仕組みを、コッリーナ審判委員長らが説明しています
FIFAは2022年7月1日、カタール大会で半自動オフサイドテクノロジー(SAOT)を使うと発表しました。スタジアムの屋根の下に付けた12台の専用カメラで、選手1人あたり最大29か所の体の位置を1秒に50回追いかけます。ボールの中のセンサーは1秒に500回データを送り、蹴った瞬間を細かく特定します。
FIFAの説明では、29か所にはオフサイドの判定に関わる手足の位置が含まれます。システムが自動で作った線を、VARのスタッフが目で確かめてから主審に伝える流れです。
2026年W杯では、改良版のSAOTがW杯で初めて使われると、FIFAが2026年6月3日に発表しました。はっきりしたオフサイドは、VARを通さず副審に直接伝わります。ただし判断するのは位置だけで、プレーに関わったかどうかは審判が判断します。出場する全選手の体を3Dスキャンし、システムに取り込むとしています。
プレミアリーグは2025年4月12日の第32節からSAOTを使っています。Jリーグについては、2026年9月時点でSAOTの導入を伝える公式発表は見つけられませんでした。なお競技規則2026/27の第5条には、オフサイドの判定に「SAOTの使用を含む」テクノロジーを使えることが書き加えられています。
「半自動オフサイドテクノロジー」が日本で調べられた量の推移(日本語版Wikipediaの閲覧数・1日平均を月ごとに集計。出典: Wikimedia Pageviews API/フットボール戦士が集計)
フットボール戦士の集計では、日本語版Wikipedia「半自動オフサイドテクノロジー」の閲覧数は、カタール大会があった2022年12月が1日平均72回で最も多くなりました。2026年北中米大会の期間も1日平均14回で、大会前90日(3回)の4.6倍です。
「体の一部でも並べばオンサイド」は試験中
2026年9月時点のルールは、体の一部でも前に出ればオフサイドポジションです。これに対して、「体の一部でも相手と並んでいればオンサイドにする」という新しい考え方が試されています。
IFAB(国際サッカー評議会)の公式発表で確かめられる流れは次のとおりです。2025年3月1日に北アイルランドのベルファストで開いた年次総会で、攻撃的なサッカーを後押しするため、オフサイドの追加の試験を行う大会を積極的に探すと決めました。2025年10月の諮問委員会では、試験中の「別のオフサイドの考え方」について、ルールを変える前にさらに分析と試験が必要だとされています。
2026年2月28日の年次総会でも、オフサイドの試験を続けることが確認されました。競技規則2026/27の前書きには、IFABが2026/27に「オフサイドの新たな考え方」の検討に重点的に取り組むと書かれています。ただ、IFABの公式発表には、試験の中身の細かい説明はありませんでした。
中身を説明しているのはFIFAです。2026年3月31日の発表によると、カナダ・プレミアリーグで2026年4月4日の開幕から「デイライト(すき間)」方式の試験が始まりました。得点に使ってよい体の部分(手と腕以外)の一部でも、後ろから2人目のDFと並んでいればオンサイドです。DFとのあいだにすき間があって初めてオフサイドになります。
FIFAのグローバル・フットボール開発責任者、アーセン・ヴェンゲル氏は、この試験を「重要なパイロット」と話しています。ただし2026/27の競技規則改正に第11条は入っておらず、試験の結果も公式には発表されていません。手と腕を判定に使わない点は、この新しい考え方でも同じです。
データで見る:「体のどの部分」はどれくらい調べられている?
フットボール戦士の記事がGoogleの検索結果に表示された回数を集計しました。2025年5月22日〜2026年9月21日で、この記事は10,572回、オフサイドの再開位置の記事は11,436回でした。オフサイドについては「どこから再開するか」と同じくらい、「体のどこで判定するか」が調べられています。
検索語別に見ると、「オフサイドライン 体のどの部分」だけで412回表示されていました。サイト全体で表示回数が多かった上位1,000語のうち、オフサイドに関する語は10語あり、9語が再開位置、1語がこの記事のテーマでした。
よくある質問
A. 入ります。脇の下のいちばん奥の高さより上は肩(胴体)として扱われ、そこが相手より前に出ていればオフサイドポジションです。
A. オフサイドではありません。手と腕は、ゴールキーパーを含むすべての選手で判定に使いません。
A. なりません。守備側も手と腕は数えず、頭・胴体・足のうち、いちばんゴールラインに近い部分で線を引きます。
A. はい、オフサイドポジションになります。足はつま先・かかとまで判定に入るためです。そのうえで、プレーに関わったときに反則になります。
A. オンサイドです。後ろから2人目の選手、または最後の2人と同じレベルなら、オフサイドポジションではありません。
まとめ:オフサイドの判定は頭・胴体・足で、手と腕は数えない
- オフサイドの判定に使うのは頭・胴体・足で、手と腕は含まない
- 腕の上限は脇の下のいちばん奥。そこより上の肩は判定に入る
- 守備側の手と腕もラインには使わない。GKも同じ
- つま先・かかとが前ならオフサイドポジション、並んでいればオンサイド
- 2026/27でも第11条は変わらず、「並べばオンサイド」の考え方は試験中
判定の基準は「得点に使ってよい体の部分がどこにあるか」です。次にオフサイドの判定を見るときは、腕ではなく肩・胴体・足の先がどこにあるかに注目すると、線の意味がわかりやすくなります。
※この記事の情報は2026年9月25日時点のものです。出典:JFA「サッカー競技規則2026/27」(第5条・第11条・第12条・前書き)、IFAB「Laws of the Game 2025/26」Law 11、IFAB公式サイトのニュース(2025年3月1日・2025年10月28日・2026年2月28日)、FIFA(2022年7月1日・2026年3月31日・2026年6月3日発表)、プレミアリーグ公式サイト(2025年4月1日)、Jリーグ公式サイト(2023年2月1日)、サッカーマガジンWEB・THE ANSWER(2024年8月3日)、Jリーグ公式・FIFA公式・テレ東スポーツのYouTubeチャンネル。
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