FC東京を瓦斯(ガス)と呼ぶのはなぜ?由来を完全解説

「FC東京のことを『瓦斯(ガス)』と呼ぶのをよく見るけど、どういう意味?」「なぜFC東京は瓦斯と呼ばれるの?」「ガスサポって何?」——Jリーグに詳しい人たちの間では当たり前のように使われる「瓦斯(ガス)」というFC東京の呼称。この記事では、FC東京が「瓦斯」「ガス」と呼ばれる理由・その語源・東京ガスサッカー部からFC東京に至るまでの歴史を、初心者にもわかるように徹底解説します。知ればJリーグ観戦がもっと深くなる、FC東京と「瓦斯」の物語です。


「瓦斯」の読み方と意味——まずここから

まず前提として、「瓦斯」は「ガス」と読みます。日本語の音訳漢字で、英語・オランダ語の「gas(ガス)」をそのまま漢字に当てはめたものです。ガス灯・都市ガス・天然ガスなど、私たちが日常的に使う「ガス」の古い漢字表記が「瓦斯」です。

「瓦斯」基本情報

読み方 がす(ガス)
意味 「gas(ガス)」の音訳漢字。気体・燃料用ガス・都市ガスなどを指す
サッカー界での意味 Jリーグに加盟するサッカークラブ「FC東京」を指す隠語・呼称
由来 FC東京の前身「東京ガスサッカー部(東京瓦斯サッカー部)」から
主に使う人 他クラブのサポーター・Jリーグ古参ファン・ネット上のサッカーファン
FC東京サポーターの呼び方 多くは「東京」と呼ぶ。「ガス」と自称するサポーターは少数派

「瓦斯」という表記は、見た目の難読感とサッカー界特有の「仲間内の言葉」としての雰囲気から、ネット上のサッカーコミュニティで広まりました。FC東京について語るとき、「瓦斯」と書ける人は「Jリーグをよく知っている人」という一種のシグナルにもなっています。


FC東京が「瓦斯」と呼ばれる理由——東京ガスサッカー部という原点

FC東京が「瓦斯(ガス)」と呼ばれる理由は一つです。FC東京の前身が「東京ガスサッカー部」(正式名称は「東京瓦斯サッカー部」)だからです。

東京ガスサッカー部からFC東京への変遷

1935年 東京瓦斯(東京ガス)サッカー部創部。実業団チームとして活動開始。最初の公式戦記録は第6回関東実業団蹴球大会
〜1980年代 長らく東京都社会人リーグ・関東リーグを中心に活動。1986年に関東リーグへ昇格
1991年 全国地域リーグ決勝大会で優勝。JSL2部に昇格し全国舞台へ
1993〜96年 JFLに参加。Jリーグ発足後も各方面からのプロ化の誘いに対し、「東京ガスだけでは東京を背負うには荷が重すぎる」として慎重姿勢を保つ
1994年 天皇杯に初出場しベスト8進出。鹿島を破る金星を挙げ「東ガス旋風」を起こし、クラブのプロ化への機運が高まる
1997年 クラブ名を「東京ガスフットボールクラブ」に改称。天皇杯準決勝進出を果たし、プロ化へ向けた準備が加速
1998年10月1日 東京瓦斯・東京電力・テレビ東京・三菱商事など計161団体が出資し、運営法人「東京フットボールクラブ株式会社」設立。クラブ名を「FC東京」と改称
1999年〜 FC東京としてJリーグ(J2)に参入。「東京ガスサッカー部」としての歴史はここで幕を閉じた

「瓦斯」という呼称はFC東京が正式に採用しているものではありません。しかし「プロ化以前の呼称である東京ガスに由来する『ガス』が、現在でもFC東京を指す独自の呼称として残っている」——これはFC東京の歴史を語るうえで欠かせない文化的事実です。


「東京ガスサッカー部」の創部から90年——「瓦斯」の深いルーツ

「瓦斯」の呼称を理解するためには、東京ガスサッカー部が1935年の創部から1998年にFC東京へ移行するまでの63年間の歴史を知ることが大切です。単なる実業団チームではなく、長い時間をかけて培われた「東京ガスのサッカー部」としての文化と誇りが、「瓦斯」という呼称に込められています。

創部期〜アマチュア時代(1935年〜1980年代)

1935年、東京ガス(当時の表記は「東京瓦斯」)のサッカー部として創部。長らく東京都の実業団リーグを中心に活動してきましたが、1980年代に入って本格的な強化に着手。1986年に関東リーグへ昇格し、全国レベルの競合と戦い始めます。

プロ化への模索と「東ガス旋風」(1990年代)

1993年にJリーグが開幕したとき、東京ガスサッカー部は依然としてアマチュアのJFLに在籍していました。各方面からプロ化の打診を受けながらも、「東京ガス一社では東京を背負うには荷が重すぎる」という判断から慎重姿勢を貫きました。転機となったのは1994年の天皇杯。初出場にも関わらず鹿島アントラーズを撃破してベスト8に進出し、「東ガス旋風」と呼ばれる旋風を巻き起こします。この快進撃がクラブのプロ化への意識を大きく前進させました。

「東京ガスフットボールクラブ」への改称と集大成(1997〜98年)

1997年、プロ化に向けた準備の一環としてクラブ名を「東京ガスフットボールクラブ」に改称。同年の天皇杯では準決勝まで進出し、1998年のJFLでは優勝を果たします。この実績と、東京都が味の素スタジアム(当時:東京スタジアム)の建設を決定したことが後押しとなり、1998年10月1日に東京フットボールクラブ株式会社が設立され、翌1999年からFC東京としてJリーグに参入することになります。


FC東京と東京ガスの現在の関係——「親会社」ではなく「母体」

「FC東京は東京ガスの親会社を持つクラブ」と思っている方もいますが、これは正確ではありません。FC東京と東京ガスの関係は、他のJリーグクラブの「企業チーム」とは明確に異なる独特の形をしています。

FC東京の運営形態の特徴

設立時の出資団体数 1998年の設立時に計161団体が出資。東京ガス・東京電力・テレビ東京・三菱商事など大企業から区市町村まで多様な主体が関わった
東京ガスの持株比率 設立当初より約5%程度の持株比率に留まる。「特定の企業の影響を受けない独立性」が方針として掲げられた
親会社の有無 東京ガスは親会社ではなく、あくまで主要株主・母体。他のJリーグ企業チームとは異なる多元的な出資形態
歴代社長の出身 歴代の代表取締役社長にはいずれも東京ガス出身者が就いてきた。東京ガスの影響力は人事面でも続いている
現在の主要株主 東京ガス・三菱商事・清水建設・三井物産・東京きらぼしFG・東京メトロポリタンテレビジョン・MIXI(2022年から経営権取得)が中核

2022年には、IT企業のMIXI(ミクシィ)がFC東京の経営権を取得し、子会社化しています。MIXIは2018年よりFC東京の胸スポンサーを務め、その後株主として加わっていましたが、2022年からは筆頭株主として経営を主導する立場になりました。これにより、東京ガスから始まった「複数企業の共同出資」という形態は維持しながら、MIXIが新たな「顔」となる体制へと移行しています。

FC東京の出資・経営の歴史的な変遷

時期 体制の特徴
1998〜2010年代前半 東京ガス・東京電力・ENEOS(旧日石三菱)をはじめとするエネルギー企業が中核。実質的に「東京ガス色」が強い体制
2010年代後半〜2021年 東電・ENEOSが離れ、東京ガスの比重がより強まる。三菱商事・清水建設・三井物産などが継続。MIXIが2018年から参画開始
2022年〜現在 MIXIが経営権を取得し子会社化。中核株主として東京ガス・三菱商事・清水建設・三井物産・東京きらぼしFG・東京メトロポリタンテレビジョンが継続参画

「ガスサポ」とは?——FC東京サポーターの呼称とその文化

FC東京のサポーターは「ガスサポ」と呼ばれることがあります。これも前身の「東京ガスサッカー部」に由来する呼称です。

FC東京の様々な呼称

東京 FC東京サポーターが最も多く使う呼称。「東京」と呼ぶのが正式な気持ちに近い
FC東京 フルネームでの呼称。公式放送・メディアでも広く使われる
ガス / 瓦斯 主に他クラブのサポーターやネット上のサッカーファンが使う。Jリーグの古参ファンに多い
F東 / F東京 Jリーグ公式の略称。スポーツ紙の紙面制限などで使われる。FC東京サポーターは嫌う傾向あり
青赤軍団 ユニフォームの青と赤のカラーに由来するニックネーム

「ガス」の呼称をめぐる面白い事実

FC東京サポーター自身はどう呼ぶか
アンケート調査では、FC東京サポーターで「ガス」「瓦斯」と呼ぶ人はほとんど存在しない。自クラブを「東京」と呼ぶのが主流
他サポーターはどう呼ぶか
FC東京サポーター以外のJリーグファン(特に古参)は「ガス」「瓦斯」と呼ぶ人が多い。前身クラブを知っている世代ほどこの呼称に親しみを持つ
ネット上での普及
「ガス」の漢字表記として「瓦斯」を使うスタイルがネット上のサッカーコミュニティで定着。一種の「サッカーファンのリテラシー」として機能している

このように、「瓦斯」という呼称には「FC東京を長年見てきた古参のサッカーファン」という含意があります。プロ化前の東京ガスサッカー部を知っている世代や、Jリーグ草創期からの熱心なファンが使うことが多く、単なるニックネーム以上の「歴史を知っているか」というシグナルにもなっています。


エンブレムにも宿る「瓦斯」の記憶——炎のTマークの意味

FC東京のエンブレムにはアルファベットの「T」が炎に包まれたデザインが採用されていました(2023年まで使用されていたエンブレム)。この炎は「東京ガスを前身とするクラブ」というルーツへの敬意と記憶が込められていると言われています。

FC東京エンブレムとガスの関係

炎に包まれた「T」マーク 「T」は「Tokyo(東京)」の頭文字。炎のデザインは前身が東京ガスであることへの由来という説がある。ガスの炎を象徴するとも解釈できる
2024年からの新エンブレム 2024年シーズンより新しいエンブレムに変更。より現代的でシンプルなデザインに刷新。クラブの新時代へ向けたリブランディングの一環

クラブのビジュアルアイデンティティが新しくなっても、「瓦斯」「ガスサポ」という呼称はJリーグの文化として引き継がれています。東京ガスサッカー部から数えれば創部は1935年。プロクラブとしては1999年スタートですが、その歴史の重さは90年近くにわたります。


他のJリーグクラブにも存在する「瓦斯」的な呼称——Jリーグのニックネーム文化

FC東京の「瓦斯(ガス)」のように、前身チームや企業名に由来する呼称・ニックネームはJリーグの他クラブにも存在します。これはJリーグ独特のファン文化のひとつです。

Jリーグクラブの前身・企業に由来する呼称の例

クラブ名 呼称・ニックネーム 由来
FC東京 瓦斯(ガス) 前身の「東京ガス(東京瓦斯)サッカー部」から
ガンバ大阪 脚(きゃく) 「ガンバ」をそのまま漢字一文字に変換した2ch・ネット由来の呼称。「がんばる」の動詞「頑張る」の脚部分から
川崎フロンターレ 川崎 地名そのものから。「フロンターレ」が省略されて「川崎」とシンプルに呼ばれることが多い
横浜F・マリノス マリノス 正式名称の後半部分から自然と省略された形

※呼称の由来・使われ方はファンコミュニティ内での慣習によるもの。クラブが正式に採用しているニックネームとは異なる場合がある

このような「前身や由来に基づく呼称」の文化は、欧州サッカーにも通じる普遍的な現象です。前述のウェストハム・ユナイテッドが「ハマーズ」と呼ばれるのが鉄工所労働者の歴史に由来するように、FC東京の「瓦斯」もクラブの歴史的ルーツを体現した呼称です。


Q&A——「FC東京 瓦斯」についてよくある疑問

Q1. 「瓦斯」と「ガス」はどちらが正しい?

A. どちらも同じ意味です。「ガス」がカタカナ表記で、「瓦斯」はその漢字(音訳漢字)表記です。ネット上では漢字の「瓦斯」と表記することが多く、難読感と知識感を示せることから、サッカーファンコミュニティで広まっています。口頭では「ガス」、テキストでは「瓦斯」というように使い分けられることが多いです。

Q2. FC東京サポーターは「瓦斯」と呼ばれることを嫌がりますか?

A. サポーターによって異なります。プロ化前から東京ガスサッカー部を応援してきた古参サポーターには、「ガス」に親しみを感じる方もいます。一方、プロクラブ「FC東京」としての独自性を大切にしたい立場からは、「東京」と呼んでほしいという意識が強いです。自称として「ガス」を使うFC東京サポーターはごく少数で、多くは「東京」と自称します。基本的には前身との歴史的な繋がりを大切にするリスペクトある呼称として捉えられています。

Q3. 東京ガスは今もFC東京のスポンサー・株主ですか?

A. はい、現在も東京ガスはFC東京の主要株主の一つであり、クラブに関わり続けています。FC東京の取締役会にも東京ガス出身者が名を連ねており、「母体企業」としての関係は今日も続いています。ただし、2022年にMIXIが経営権を取得したことで、クラブ運営の主導権はMIXIに移っています。

Q4. 「瓦斯」「ガス」という呼称はいつ頃から広まったのですか?

A. 明確な起源は特定しにくいですが、FC東京が1999年にJ2に参入した当初から「東京ガスサッカー部を知っているファン」が「ガス」と呼んでいたとされます。2000年にJ1に昇格して「東京旋風」を巻き起こし、クラブの認知度が全国的に広まる中で「ガス」という呼称も各地のサポーターに広がりました。ネット掲示板・SNSの普及とともに「瓦斯」という漢字表記が定着していったという流れがあります。

Q5. 「ガスサポ」はFC東京サポーターの自称ですか?それとも他称ですか?

A. 主に他クラブのサポーターが用いる呼称です。FC東京のサポーター自身もまれに使うことがありますが、自称として定着しているかというと、多くのFC東京サポーターは「東京サポーター」と自称するのが一般的です。「ガスサポ」は前身を知っている古参Jリーグファンが親しみを込めて呼ぶ場合や、他サポーターが識別のために使う場合が多いです。


まとめ——「FC東京 瓦斯」の全貌

この記事のポイントまとめ

「瓦斯」の読み方と意味 「がす(ガス)」と読む。サッカー界ではFC東京を指す隠語・呼称
由来 FC東京の前身「東京ガスサッカー部(東京瓦斯)」から。1935年創部の歴史ある実業団チームが源流
誰が使うか 主に他クラブのサポーターやJリーグ古参ファン。FC東京サポーターは「東京」と自称するのが主流
東京ガスとの現在の関係 親会社ではなく主要株主・母体。2022年よりMIXIが経営権を取得して筆頭株主に
プロ化の経緯 1998年に161団体の出資で東京フットボールクラブ株式会社設立。翌1999年からFC東京としてJ2に参入
「瓦斯」の文化的意味 Jリーグの前身・ルーツを大切にするファン文化の象徴。欧州の「クラブニックネーム文化」とも共通する普遍的現象

「瓦斯(ガス)」という二文字には、1935年から始まった東京ガスサッカー部の歴史と、「東京をホームタウンにする都民のためのクラブ」として多くの団体が力を合わせてFC東京を作り上げた情熱が詰まっています。「瓦斯」と書ける人は、FC東京のことをただのJリーグクラブとしてではなく、90年近い歴史を持つ「東京のサッカー文化の結晶」として理解しているのかもしれません。次に「瓦斯」という文字を見かけたとき、そこに込められた深い歴史を思い出してみてください。